153:シュバルツとコラボ配信!(前編)

「皆さんこんばんは、閃光のシュバルツでございます」

『リス兄、リス姉こんばんは!

 白姫ゆかだよ!』


 いつもの挨拶からスタートした配信、コメント欄には見知ったコメント以外にも、お父さんの配信を見ているリスナーさんのコメントが多く見られる。


:シュバルツさんこんばんはー

:ひゃっはー!新鮮なゆかちゃんだー!!!

:シュバルツさんあけましておめでとうございますー

:ゆかちゃんあけましておめでとうー

:シュバルツさんあけおめですー

:シュバルツさんこんばんはー

:二人ともこんばんはー


 リスナーさんからのコメントの多くがあけおめコメントで、よく考えたらVライブは個人で配信している人が多く、いまなんじのようなカウントダウンライブをしていないって言うのもあってリスナーがバラけていたのかも。


「はい、皆さんあけましておめでとうございます⋯⋯と言っても私のカウントダウン配信を見ていた人からすると二回目かもしれませんが、今年もよろしくお願い致しますね」

『リス兄、リス姉に、お父さんのリスナーさんも改めてあけましておめでとう!

 今年も一年よろしくね!』


 ボク達は改めて新年の挨拶をするとコメント欄では早速今日の配信内容が知りたいと言ったコメントで溢れかえった。


:シュバルツさん、今日は何をするの?

:お正月っぽい配信なのかただのコラボなのか

:ゆかちゃんが可愛いから何でもいいよあたし

:シュバルツさんのかっこよさも負けてないよ

:それで結局のところ何やるのかな?

:僕も気になる

:私も気になるー

疾風のナイトハルト:先輩とうとうゆかちゃんとコラボっすか

:ナイトハルトさんまで来たー

:ナイトハルトさん来て草


「おや、ナイトハルト君じゃないですか、今日は配信は夜からでしたっけ。

 それと今日ですが、ゆかちゃんと一緒に買ってきた福袋の開封をして行こうと思いますので良ければお付き合いくださいね」

『ボクがゲームの福袋で、お父さんがVRの周辺機器の福袋らしいよ!』


:ゲームの福袋、と言う事はゆかちゃんはそのゲームを配信するのかな?

:楽しみー

:昔は中身の見える福袋が流行ったけど、最近クローズドが流行ってきてるからワクワク感あるよね

:シュバルツさん本当VR系のガジェット好きですよね

:ガジェット系福袋、在庫処分...うっ、頭が...

:ゲーム福袋、シリーズ物、うっ...頭が...


 コメントでは楽しみと言う声や、福袋で痛い目を見た人が頭を抱えるようなコメントが書き込まれてる。


 確かに有名でも当たって嬉しくないゲームって結構あるからそのあたりが福袋で出ると悲しくなっちゃうよね。


 それでそのお店で買わなくなるなんて事も良くある話だったり。


 小さい頃大外れ引いた時はリアルに泣きそうになったっけ⋯⋯


「それでは、早速私の福袋から開封といきましょうか」

『うん! どんなのが入ってるのかな?』


 そしてお父さんは手袋を着けた状態で大きな福袋を開封していく。


:ちなみにこの福袋はいくらしたんですか?

:この大きさだと三万くらいしそう

::大きさだけで判断するの難しいなこれ

ゲームなんて小さくても高いのは高いしなー


 コメントでは福袋の金額予想がされてるけどお父さんはすぐにそれに答えた。


「この福袋は五万円でしたね」

『えっ!? け、結構高くないかな!?』

「VRの周辺機器は結構高い物が多いですしそんな物ですよ?」


:たっか

:それをポンと買えるのいいなぁ

:五万円なら割とありかも

:袋的に有名チェーンだし、内容も期待出来そう


 コメントを横目に中身に興味が完全に移ってしまったお父さんはコメントに構わず袋に手を入れた。


「ん、結構大きい物が入ってますね」

『どれくらい大きいの?』


「んー、そうですね、ゲーム機より大きそうな感じですね、出してみましょうか」


 そう言って袋の中から大きな箱を取り出すお父さん。


:こ、これって

:まじかー

:これ五万円で入ってるってまじ?

:なにこれ?

:なんぞこれ


「こ、これは⋯⋯」


 物を持ちながらわなわなと震えるお父さん。

 一体これは何なんだろう?


「最近発売された、VR拡張デバイスじゃないですか⋯⋯安価モデルみたいですが、これ定価八万円以上ですよ!?」

『VR拡張デバイス? ボク知らないんだけど、どう言うやつなの?』


「勿論教えましょうとも!

 これは、PCにまず専用アプリを導入して、中に入っている特殊なシールを貼ると、HMDに装着されたカメラを通じて、そのシールの位置を把握でき、アプリで設定したVRコンのボタンを押すとそれをHMDの画面内に表示出来るって言う優れものなんですよ!

 ただデメリットもあるんですが、HMD側が非対応だと使えないのでこれからに期待の新ガジェットですね」

『う、うん、そうなんだ⋯⋯』


 物凄く楽しそうな顔をして説明をするお父さん。

 正直何が凄いのかボクには分からないんだけど、凄いんだね⋯⋯


:シュバルツさんが壊れた!?

:しまったガジェットオタクだ!

:凄くイキイキしてるw

:ゆかちゃんがドン引きしてて草

:おーいシュバルツさん戻っておいでー


「はっ!? ついつい熱くなってしまいました」

『お父さんおかえり?』

「いきなり凄い物が出てきてついつい興奮してしまいました⋯⋯申し訳ありません」


 ボクも凄い物が出たらテンションが上がるだろうし気持ちはわかるかも。


:気持ちは分かる

:福袋で当たり枠引くとテンション上がりますよね

:良かった俺だけじゃなかったんだな

:あれはテンション上がりますわ

:さぁさぁ次いきましょ!


「それでは次いきましょうか⋯⋯あれ?」

『どうかしたの?』


 お父さんは袋の中をガサゴソとしているけどどうしたんだろう。


「あ、あと一つしかありません⋯⋯」

『えっ?』


 しょぼん、と顔文字みたいな表情をしたお父さんがそう言った。


:あー、質で勝負の福袋だったのか

:良いやつ入ってると良くあるパターンだね

:ラストは何かな?

:ちょっとテンション下がってるシュバルツさん可愛い

:わかるー

:子供っぽい感じがこう、ね?


 コメントではあるあるだと言う声やしょんぼりしてるお父さんについて話す人の姿が。



「とりあえず見てみましょうか⋯⋯ん?」

『それは⋯⋯?』


 袋から出てきたのはそこそこ大きな箱で、大きく商品名が書いてあった。


「らくらくキーボード固定君?」

『安直なネーミングだね⋯⋯』


:地雷商品にありがちな安直すぎるネーミング

:たまに当たりもあるだろ!

:名前でどんな商品か分かってしまう

:実際どんなんなんだろ


「え、えーと、本来セット出来ない場所にキーボードを置きたい時にこれを使えば一撃解決⋯⋯ですか」

『本当なら結構便利だよね?』


「キーボードは下の方に置きたい人なんかには良いかもしれないですね。

 ちょっと固定力次第ではありですねこれ」

『後で試してみるの?』

「それもいいですね、後で使ってみましょうか」


:使った感想聞いてみたいかも

:地味な便利アイテムなの良心的だね

:定価五千円以上だからかなりいいね

:ただ内容があっさりすぎるから盛り上がりに欠けるねw


「それは確かに言えてますね、それこそ私としてもらくらくキーボード固定君が十個出てくるみたいなカオスな物を期待してた部分もあるんですが、普通に当たりで困惑してます」

『それだったら次はボクの福袋だね!』


:ゲームの福袋の開封大好き

:どんなクソゲーが含まれているのか

:絶望の未来しか見えないんだけど

:まぁまぁ、最近はだいぶ良くなってるらしいじゃん


『クソゲー前提なのやめてくれないかな!?

 それじゃ開封していくからねっ!』


 そして次はボクのゲーム福袋を開封するためにテープを剥がし始めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る