143:年越し配信!

『リス兄、リス姉、こんばんは! 白姫ゆかだよ♪』

 ボクはいつもの挨拶をして配信を開始した。

 年末って事で他Vtuberも沢山配信している中、いつもより人数は少ないけどそれでも多くの人が来てくれたみたいでボクはとても嬉しかった。


:ひゃっはああ新鮮なゆかちゃんだぜええええ

:まってた

:配信待ってたよー

:紅○見ながら聴いてるよー

:他のVとゆかちゃんで迷ったけど今年の年越しはゆかちゃんで決まりだぁ!

:ゆかちゃんこんばんはー

:ゆかちゃん眠く無い?大丈夫?

柿崎ゆる:ゆかちゃんおはよう?


 多くの人が早速コメントをくれたみたい。

 でも、多すぎて多くの人のコメントが流れていっちゃうのは少し寂しいかも。


『みんな、ありがとう♪

 今日は特に何かやる訳じゃないんだけど、やっぱり一年に一回の大晦日だし、こうやって配信するのも新鮮でいいよね!』


 今日は今言ったように完全な雑談配信で、たまにはまったりとリス兄、リス姉とお喋りするのもいいよね。


:久しぶりのまったり配信いいね

:雑談枠は久しぶりかな?

:前いつだったか記憶に無いかも

:ゲームやってる事多かったもんねー

:でもそれはそれで楽しかったけど

:参加型のゲームは楽しかった

柿崎ゆる:私はゆかちゃんの声が聴けるだけで十分満足だけど...

:ゆるママさん...

:ゆるママに同意せざるを得ない


『ふふっ、そう言って貰えるとボクも嬉しいな。 でも思い返して見ると今年は色々あったよね⋯⋯』

 コメント欄では少し前を振り返る人達がいて、ボクもつられて今年を振り返っていた。


 春頃に先輩に彼氏が出来たと勘違いして衝動的にVtuberを始めると決めて、薫お姉ちゃん、由良お姉ちゃんと出会って、たまたま華お姉ちゃんに出会って、コスプレもいっぱいしたよね。


 ⋯⋯コスプレに関してはちょっと恥ずかしいと思う事も多いけど、最近ちょっと楽しいかなって思ってるボクがいたりするけど。


 そんな事を頭に浮かべながら、ボクはしみじみとそう言った。


:確かに、ゆかちゃん見つけた時は衝撃だった

:Vtuberって基本表に出てこないのに現実に出てくるなんて想像もしてなかったよね

:ふわちゃんとかもなんだかんだで身体は映らないから企業勢は徹底してるよね

:かつて着ぐるみ着て出た奴が居てだな......

:あぁ...黎明期の新興事務所が乱立してた時期のあれか...

:あれはあれで面白かったけどなw

:まさかシュバルツさんの息子さんがゆかちゃんだなんて誰が想像出来ただろうか

:ほんまそれよ

柿崎ゆる:私も依頼された時完全に女の子かと思ったからね...

:唐突な裏情報で草

:ゆるママ初見でゆかちゃんを女の子と思うのは無理ないよ...


 みんなもボクを見つけた頃やお父さんがシュバルツである事が判明した話で盛り上がっているみたい。


『⋯⋯一応これでも歴とした男なんだけど、おかしいね?』

 ボクはジト目で画面を見つめながらそう言った。


:お、おかしいね

:うん、ナニガイケナインダロウネー

:可愛いからヨシ!

:もう呪うならシュバルツさんを呪うしか...

:大体シュバルツさんから受け継いでるとしか思えないもんな...

:いやまてゆかちゃんのリアルママが超絶美幼女と言う可能性も...

:いやないでしょ

柿崎ゆる:シュバルツさんは会ったことあるけど...

:おまわりさんこっちです?

:ごめんなさい

:すまんかった


 お父さんの話になったと思ったら今度は急にお母さんの話になってる⋯⋯でも受け継いだのは両方からなんだよね。


『もはやどっちから受け継いだのかわかんないだよねボク⋯⋯』


:えぇ...

:とりあえずゆかちゃんママはおそらく美人さんと言う事だけは理解した

:シュバルツさん、溺愛っぷりやばいもんね

:意地でも話してくれないし...可愛いって事以外

:まぁ、Vtuberが話す事でも無いかw

:それは言えてるw


『うん、お父さんのお母さんの溺愛っぷりはやばいよね、普段表には出さないけど、今実家では甘々なんだろうなぁ⋯⋯』


 ボクは実家でのお父さん達を想像しただけで砂糖が口の中に広がったような気がしてきた。


:想像しただけでお砂糖ドバドバ出てきた

:おかしいな、ブラックコーヒーが甘いぜ

:奇遇だな、俺もだ

:緑茶があまい......

:俺すき焼き食べてるんだけど、すき焼きってこんなに甘いっけ?

:皆口の中お砂糖ドバドバで草

柿崎ゆる:ど、どんな風なのか気になるかも...


 みんな、ボク以上にお砂糖が口の中に入って来てるみたいでちょっと笑えてきちゃった。


『あはは、そんなに糖分取ったら大変だよ?

 それにしても、濃い、一年だったね⋯⋯』


 ボクはしみじみとそう言うと、今度は皆に言いたい事があったから、それを皆に伝える事にした。


『そういえばみんなに言いたい事があったんだけど、聞いてくれるかな?』


:なになに?

:俺たちでよければ

:ばっちこいだよー

:ゆかちゃんなになにー?

柿崎ゆる:何かな?

:気になるます


 皆が聞いてくれるって言ったからボクはそのまま続けて言った。


『今年一年本当にありがとう、みんながいなかったらここまで頑張れて無かったと思うんだ⋯⋯ボク来年も頑張っていくから良かったら、来年も応援してくれると嬉しいな!』

 ボクはずっと言いたかった感謝の言葉を皆に伝えた。


 ちょっと恥ずかしいけど、感謝の気持ちを伝えるのは、大事だと思ってるから。


:そんなの言われなくても当然!

:俺たちこそ来年も動画や配信見させてもらうからよろしく頼みます!!!!

:ゆかちゃんが生きがいだから.....

:こちらこそ!!!!

柿崎ゆる:私の方こそ来年もよろしくね、ゆかちゃん

:俺はいつでもゆかちゃんを応援してる!!


『みんな、ありがとう!』

 ボクは笑顔でお礼を言った。

 そしてふと時計を見ると、もう数分で今年が終わるタイミングになっている事に気が付いた。


『あっ、もうこんな時間になってる』


:あー、もう今年も終わりかー

:早かったなぁ

:一瞬だったよね

:ちょっと前まで夏だった気がするんだけど

:長いようで早いよね、 1年って

柿崎ゆる:本当あっという間だったね...


 そして、24時になり、一月一日がやってきた。


『みんな、あけましておめでとう!

 今年も一年よろしくね!』

 ボクは日付の変わった瞬間に、皆に対して新年の挨拶をした。


 するとコメントが一瞬完全に途切れた。


『あれ?もしかしてサーバー落ちちゃったのかな?』

 ボクがそう言った瞬間——


石油王

ゆかちゃんあけましておめでとう

今年も応援してるぞ

¥10000


にーとちゃん

ゆかちゃんあけおめ!

今年も頑張ってね!

¥10000


柿崎ゆる

ゆかちゃんあけましておめでとう!

今年も一年よろしくね!

¥10000


YURA

ゆかちゃんあけおめ!

今年もよろしくねっ!

¥10000


世界の予言者

ゆかちゃんあけましておめでとう!

今年もよろしく!

¥10000


名無しのお兄ちゃん

ゆかちゃんあけましておめでとう

今年もよろしくお願いします!

¥10000


名無しのお姉ちゃん

ゆかちゃんあけましておめでとう。

今年も一年よろしくお願いするわね。

¥10000


Rin

ゆかちゃんあけおめことよろ!

今年も精一杯応援させてもらうね!

¥10000


ちくわ大明神

あけましておめでとうございます

今年も一年よろしくお願いしますちくわ

¥10000


 いつも見るメンバーから普段見ないような人まで赤スパだけでもかなりの人数、それに他にも沢山スパチャを投げてくれてる人がいて、ボクは驚きのあまりフリーズしてしまった。


『⋯⋯?』


:ゆかちゃん?

:まさかスパチャ多すぎてフリーズした?

:フリーズゆかちゃん可愛い

:おーい?大丈夫?


『み⋯⋯』


:おっと気付いた?

:これやらないと気が済まなくてな...

:絶対投げるって決めてたんだー

:初めてゆかちゃんにスパチャ投げちゃった!


『みんな投げすぎだよおおおおおおお!!!!????』

 ボクがそう言うしか出来なかったのは無理もないよね?


 それからはスパチャのお礼を言って配信は終了したよ。


 今日、ふわちゃんが来なかったのはやっぱり、事務所の方のイベントのせい...かな?


------(その頃のふわちゃん)------


「ああああああああああ、ゆかちゃんにあけおめスパチャ送れませんでしたあああああああ」

「いや、流石に今日は諦めるの」

 私は休憩のタイミングで一緒に休憩に入ったなのちゃんにそう愚痴を溢した。

 流石にこの場所にスマホを持ってきていじる余裕は無いので、ゆかちゃんの配信を見に行くことも出来ない。


「うぅ⋯⋯誰ですか、カウントダウンライブやるなんて決めたの⋯⋯」

「いや、毎年の事なの、投げたいなら次の配信で投げるがいいの」

「そうなんですけど、やっぱリアタイで投げたいじゃないですか⋯⋯」

「気持ちは非常にわかるの、わかるマンなの」

 なのちゃんは慣れたもので私を宥めてくれた。

 私はちょっと悲しみを背負いながら、後のライブも全力で駆け抜けていった。

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