失恋したのでVtuberはじめたら年上のお姉さんにモテました【コミカライズ5巻発売中！】

バレンタイン二日目！？！？

　これはバレンタイン二日目のお話。

「私とした事が優希くんにチョコレートを渡すのを忘れてしまった⋯⋯」

「⋯⋯お姉ちゃん、私のチョコは？」

「あっ、もちろん貰ってきてるよ。

　冷蔵庫にちゃんと仕舞ってあるよ」

「やったー！　開けていいよね！」

「由良用だから取らないよ⋯⋯」

「ふっふっふー、楽しみだなぁー」

　由良は優希くんから貰ったチョコの包装を取ると、その中にあるチョコレートを見て固まった。

「ねぇお姉ちゃん」

「どうしたの？」

「⋯⋯これ本命レベルのクオリティじゃない？」

「由良もそう思う？」

「これ人によっては勘違いしちゃうよ？」

「だよねぇ⋯⋯」

　ただ優希くんにそんなことを言ったら顔を真っ赤にして違いますよ！？なんて否定するんだろうけど。

「うーん⋯⋯美味しい⋯⋯」

「本当、美味しいよね」

「これはやばいね、レベチだよ！」

「「⋯⋯女子力、本当高いなぁ」」

「って事でまさか貰えると思ってなかったし、お返しのチョコレート、作りたいんだ。

　由良、手伝って貰えないかな？」

「任せたまえ！」

　そして私は由良と一緒にオーソドックスな生チョコを作る事にした。

　型をハート型にするかで迷い続けたのはここだけの話。

♢

「みなさーん！こんふわりん！」

「こんにちなの」

「こんにちはなのにゃー！」

「⋯⋯どうして今日もボクは一緒なんだい？」

:またこのメンバーで草

:喪女部結成か！？

:喪女部は草

「皆さん、知っていますか？

　今日が何の日か」

「⋯⋯？　今日何かあったの？」

「全く知らないにゃ」

「ボクもわからないね」

:今日なんかあったっけ？

:全然わからないな

:ん？　なんかある？

:わかんねー！

:わからん！

「知らないんですか！？

　今日はバレンタインデー二日目なんですよ！？」

「「「えっ」」」

:草

:ねぇよwww

:バレンタインは2/14だけだよwww

:何言ってんだこいつwww

:いや草

:二日目www

「と言うことで、今日はゆかちゃんにお返しをする為のチョコを作りたいと思いますー！」

「「「えっ」」」

:皆置いてけぼりwww

:聞いてないって顔してるwww

:ひでぇwww

:草www

「あの、ボクは幼児を思い出したから⋯⋯」

「そのイントネーションは犯罪なの、待つの繋」

「あああああああ！！！！！

　ボクは料理は全然なんだよぉ！！」

「弱点は料理力だったのかにゃ、初耳だにゃ」

「知らなかったの、覚えておくの」

:カオス度が最近の中で高いな今日の配信w

:幼児を思い出すなwww

:イントネーションが犯罪のそれw

:草しか生えないwww

「さぁ、作りますよ？　繋さん？」

「高級な市販品買わせておくれえええええええ！！！！」

「お金よりも気持ちを込めるの！！！！」

「そうだにゃ！！お金で解決なんてブルジョワのする事だにゃ！！」

「ブルジョワで良いよもう！！！！」

:認めるなよwww

:そんなにも、料理下手なのかwww

:見てみたいwww

　そして流れのままチョコレートを作る事になった4人だったが、不穏な空気が流れ始めた。

「あの⋯⋯繋さん？」

「愛情って込めると、燃えるんですね⋯⋯あはは⋯⋯」

「どうやったらチョコレートに火が着くんですか！？」

「なのなのななーの♪ なのなのなー♪」

「何なのにゃその変な鼻歌は！」

「現実逃避してただけなの」

「⋯⋯あの、皆さんいいですか？」

　スタッフさんが見かねてこちらへやって来ると、新しい材料を渡してくれた。

「あの、スタッフさん？」

「これは⋯⋯」

「メッセージをチョコペンで書くタイプのやつ⋯⋯なの」

「スタッフにまで見捨てられたのかにゃ⋯⋯哀れかにゃ繋ちゃん⋯⋯」

「こんなのあんまりだよおおおお！！」

　無事に繋以外の三人はチョコレートを完成させたけれど、繋はチョコペンでメッセージを描く物を使って完成させた。

「良いもん⋯⋯後でゴダイバ買ってくるもん⋯⋯」

「ちょっと同情するの⋯⋯」

「あそこまで酷いとは⋯⋯」

「そう言う意味ではゆかちゃんって優良物件なのにゃね」

　そんな事を話しながら、配信を終えると、四人は優希にチョコレートを渡しに向かうことにした。

♢

「ふぅ、昨日はお仕事で会えなかったけど、夕方なら家にいるって言ってたし、チョコレート渡さないとだよね⋯⋯」

　わたしはようやく作れた時間でチョコレートを作って優希くんに渡すために優希くんの家に向かっていた。

　2月15日になっちゃったけど、許して欲しいな。

　そして優希くんの家に向かうと——

「「「「「「「えっ？」」」」」」」

　何だか凄い人数が部屋の前に集合してしまっていた。

「もしかして、皆さん優希くんに？」

「⋯⋯そうですね」

　そして誰かが先にピンポンを押していたのか、優希くんが部屋から出て来た。

「はーい⋯⋯えっ、どうしてこんな大人数で！？」

「昨日のお返しですよー」

「昨日のお返しなの」

「昨日のお返しだよ、良かったら食べてね」

「お返しなのにゃ！」

「⋯⋯ははは、市販品でごめんよ」

「優希くん、はい、どうぞ！　チョコレート美味しかったよ！」

「優希くん、これ、受け取ってくれるかな？」

「えっ、えっと、ありがとうございます！」

　凄い人数で来てしまったから早々に帰る事にしたんだけど、優希くんがわたしを呼び止めた。

「先輩には明日渡そうかと思ったんですが、どうせなので僕からも今日プレゼントしますね！」

　そう言って優希くんは部屋の中に戻って、可愛い包装に包まれたチョコレートをくれた。

「優希くん、ありがとう！」

　まさか貰えるとは思っていなかったわたしはるんるん気分でお家へ帰って行った。

　ちなみにチョコレートは凄く美味しかったよ。