バレンタインSS!

※今回のお話はなろう版に出ているキャラが登場していますので、ネタバレはちょっと⋯⋯と言う方はスルー推奨です!


 今日はバレンタイン当日。

 僕は珍しく朝から配信をしようと準備をしていた。


「うん、材料は昨日買ってきたから問題なし⋯⋯っと!」

 そして材料の確認を終えた僕はカメラをセットして、トラッキングの装置を身に付けた。


「恵ちゃんから貰ったこのトラッカー凄いなぁ⋯⋯これ着けたら3Dモデルでお料理まで出来ちゃうんだもんね⋯⋯」

 僕はその時の用途によってトラッカーをセット場所を変えたりしているんだけど、これが本当に便利。


 パソコンとは無線でリンクされているから少しだけラグがあるけど、普通に配信している側としては特に大きな問題にはならないからね。


 これがゲームとかのラグだと大変なんだけど。


「⋯⋯よし、今日は告知してないから、こっそりと始めよう! 薫さん達には内緒にしたいけど、バレちゃうかな?」

 一人そう呟きながら、僕は配信を開始した。



『みんなおはよう! 白姫ゆかだよ♪』


:えっ!? 朝から!?

:びっくりした!!!!

:うおおおおお!!!まさか朝から配信とは!

:ひゃっはああああ!!!モーニングゆかちゃんだあああ!!!

:突然でびっくりしたよー

:嬉しい...


『えへへ、驚かせちゃってごめんね!

 実は今日は普段からお世話になってるゆるママやふわちゃん、なのちゃん辺りにバレンタインのチョコをあげようかなって思ってそのチョコを作っていこうと思うよ!』


:ちょっと、どうやったらふわちゃんになれるかな、一回死ねばいい?

:ちょっと生まれ直してくる

:こんな世界、間違ってる

:おぎゃあ

:生まれるの早いやついて草


『死んでも意味ないよ!? 生きようね!?』


:ゆかちゃん見れなくなるのは損失だったわ

:それな

:くそう、ゆかちゃんのチョコ羨ましい⋯⋯

:ほんまそれ!!!!!

:前世でどんな徳を積めばいいんだよ...


『正直あげられるならみんなにも配りたいんだよ?』


:ほしい

:ください...

:たべたいよぉ...

:ほちい...


『でも皆の分手作りしようと思ったら工場レベルの量作らないと⋯⋯ね?』


:うん、無理

:ゆかちゃん壊れちゃう

:それは死ぬw

:ぎゃああああああ考えたくないやつううううう


『と言うことで早速作って行くよ!

 といっても手の込んだものは大変だからシンプルで美味しいやつを作るよ!』


:おっ良いね良いね

:どんなのかな?

:見て楽しむよ⋯⋯


『今日はトリュフチョコ!

 少しだけ手間はかかるけど、なめらかな食感がクセになるチョコレートだね!』


:トリュフ好き!

:あれ美味しいよね

:自分ではなかなか買わないけど、もらったら嬉しいやつ


『まずは生チョコを作るために生クリームを温めるよ!』


:おー!

:わー!

:生クリームごくごく!!!!

:飲むな

:飲んじゃだめ!!!

:カロリーお化けじゃん...


『これが温まったらあらかじめ刻んで置いたチョコを中に入れて溶かしていくよ!』


『こうやって混ぜ混ぜ⋯⋯っと

 あと少しだけ洋酒を入れて⋯⋯』


:カメラの映像と料理映像がちゃんとリンクしてる⋯⋯すげぇ⋯⋯

:これが繋ちゃんのチカラ⋯⋯

:これは繋ちゃんMVPですわ


『ん? 皆もそう思う?

 これ本当凄いよね⋯⋯しかもボクをちゃんと認識して3Dモデルに変換してくれるこのソフトも凄いんだよねぇ』


:技術の進歩ってすげええええええ

:いやこれは本当凄い

:ゆかちゃんがリアルにいるようにしか見えない


『よし、混ざったから、氷水にボウルを入れて固まるまで混ぜていくね!』

『固まってきたら、スプーンで軽く取ってバットの上に乗せて、冷蔵庫で固めるよ!』


:既に美味しそう

:美味しそう

:食べたい

:ほしい!!!!


『ここで既に美味しそうだよね!』


『じゃあ固まるまではマシュマロでも読もうかな?』



 そしてマシュマロを読んでいると、そろそろ良い時間になってきた。


 マシュマロを読んでいる間にテンパリングをしておいたから、取り出したチョコを丸めて、そのチョコを絡めてコーティングした物と、丸めたチョコにココアパウダーをまぶしたものと二つを作っていこうと思うよ。


『よし、それじゃあマシュマロはこれで終わりで最後の仕上げをやっていくよ!』


:はーい!

:テンパリングしたって事はコーティングするのかな?

:溶かしたチョコだけでも美味しそう


『冷蔵庫から取り出したチョコを手でこうやって丸めて⋯⋯さっきのチョコに絡めて⋯⋯後は冷やしたら完成だよ!』

『もう一個はこうやって丸めたところにココアパウダーをかけたら完成! これも冷蔵庫で冷やしていくよ!』


:おぉー!

:ぱちぱちぱち!

:8888

:美味しそう!

:うぁー!食べたい!


『固まるまで結構時間がかかるから、今日の配信はここまで! バレンタインに手作りする子は、こんな事やってたりするんだから、大変だよねぇ⋯⋯』


:自分で言うのか⋯⋯

:えぇ...

:そうなんだよねぇー

:本命チョコは大体これくらい手間かけるよねー

:ゆかちゃんの場合クオリティ高すぎて全員が勘違いしそうw


『いやいや、それはないと思うよ!

 それじゃ、またね!』


:お疲れ様ー!

:ゆかちゃんお疲れー!

:おつおつ!!

:ゆかちゃんおつかれさまー!


------この配信は終了しました------


♢(喪女オフコラボ企画中)


「何で私達はこんなところでこんな話をしているんでしょうかねぇー」

「それをふわりさんが言うんですか?」

「そうにゃ! う、ウチは喪女じゃないにゃ!」

「強がらなくていいの、さくらちゃん」

「そ、そんな憐れむような目で見ないで欲しいにゃああああ!!」

「ところで、何でボクまで呼ばれたのかな?」

「何となくですかねー?」

 いまなんじの事務所で薫、華、綾乃、恵、さくらの5人はヤケ酒でもしているかのようなテンションで話をしていた。


 もちろん、この様子は配信されており、沢山のリスナーがやってきてはその会話の酷さに草を生やしまくっていた。


「そろそろ、ゆかちゃんの配信の時間ですかねー」

「そう言えばもうそんな時間にゃ?」

「ここで見ちゃいます?」

「それは良いと思うの」

「⋯⋯まぁ、ボクも見ようかな?」

 そろそろ開始の時間⋯⋯と思っていると、配信が始まらない。


「ゆかちゃんが予定時間に配信を開始しない!?」

「な、何かあったんじゃ!?」

「し、心配なのにゃ!」

「ボク、ちょっと心配なので直接おうちに⋯⋯」

「みんな待つの、おちつのく!」

「「「「なのちゃん(先輩)も落ち着いて!」」」」

 そんなやりとりをしていると、突然部屋のドアが開いた。


『ゆるママ、ふわりお姉ちゃん、なのお姉ちゃん、さくらちゃん、繋ちゃん、ハッピーバレンタイン! ボクからチョコレートのプレゼントだよっ!』


「「「「「」」」」」


『ちょ、ちょっと皆!?』


『し、死んでる⋯⋯』


 その後生き返った皆に改めてチョコレートを渡したよ。


 でも、どうして一回死んだんだろうと思って聞いたら感極まっちゃったんだって。

 そこまで喜んで貰えて嬉しいけど、皆大丈夫かな⋯⋯?



「こ、このチョコはもしかして⋯⋯」



「まさかこのチョコレート⋯⋯」



「こ、このチョコはまさか⋯⋯」



「これはまさかするの?」


「ボクじゃなければ勘違いしてしまうね⋯⋯いやでももしかして⋯⋯」



「「「「「本命⋯⋯とか?」」」」」


「「「「「いやないよね⋯⋯」」」」」


 そんなことがあったとかなかったとか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る