132:ぷち閑話(由良視点)

 私の名前は由良。

 今お姉ちゃんと優希くんの三人で東京の観光をしてるの。


 昨日お姉ちゃんと優希くんがなんだか良い雰囲気になってから私の口の中がずっと甘いんだけど、誰か助けてくれないかな?


 それにしてもね、間接キスだけであんなに顔を真っ赤にしちゃって昔のお姉ちゃんは一体どこに行っちゃったのかな?


 女子校にいる王子様みたいな雰囲気の喋り方をしていたあの頃のお姉ちゃんは完全にどこかへ行ってしまったよね?r


 しかも優希くんも優希くんだよ。

なんなのあの恥ずかしがり方。

 可愛すぎるよ。

 人目が無かったら抱きしめてたレベルの可愛さだったね、うん。


 と、まぁ昨日を振り返るのはここまでにして、問題は今だよ。


 今私達はお昼ご飯を食べに来てるんだけど、二人ともお互いになんか意識しちゃって私凄く居心地が悪いんだよね。


 いや、居心地って言うか目の前で尊みの過剰摂取って言った方がいいのかな?


 今はたまたま見つけた美味しそうなパスタのお店でお昼を食べてるんだけど、お姉ちゃんはなんか優希くんにもう一回あーんしてあげたそうな顔しながら手持ち無沙汰にしてるし、優希くんはお姉ちゃんと目が合う度に顔を背けているんだよね。しかも顔を赤らめながら。


 何この尊い状況。

 というか私トマトソースとなすのパスタを食べてるんだけど、めっちゃ甘い。

 しょっぱいものが甘く感じるって相当だよこれ。


 そして手持ち無沙汰にしていたお姉ちゃんがついに動き出した!


「ね、ねぇ優希くん」

「ど、どうしましたか?」

「あの、私のパスタ良かったら一口食べてみない?カルボナーラ好きだって言ってたよね?」

「あ、あの!?」

「や、やっぱり嫌だよ⋯⋯ね」

 違うよお姉ちゃん。


「僕、食べてるのカルボナーラですよ⋯⋯?」

「あっ⋯⋯そ、そうだったね⋯⋯」

 お姉ちゃん大丈夫!?


 私の今の気分はまるで孫をみるおばあちゃん。 微笑ましいものを見るような目で二人を見つめている。


 ⋯⋯あれ?

 私ここにいる意味ある?


 いや、それを言い出したら元も子もないよね。


 そしてパスタを食べ終えて気が付くとお姉ちゃんが私をじーっと見つめてきていた。


 ぐっ!と親指を立ててお姉ちゃんにウインクを返してあげた。


「(違うよ由良あああああ!!)」

 なんか困ってる雰囲気だしよくわかんないけど頑張れ!お姉ちゃん!


「あの、次はどこへ向かう予定ですか?」

 優希くんが動いた!


「えっ、えっとね......。」

 ちらっと私を見るお姉ちゃん。

 ルート決めてたって言ってたのに何でそんなにあわあわしてるの?


「ごめんね、本当は次行こうと思ってたところメモしてあったんだけど、無くしちゃって⋯⋯」

 結構ガチな困り方だった!!??


 というかお姉ちゃん、なんでスマホに入力しておかなかったの......?


「それだったら適当にどこかぶらぶらしませんか?」

「うーん⋯⋯どこか行きたいところとかある?」


「えーと⋯⋯特には無いですけど、あっ、それだったら僕行ったこと無いのでスカイツリー行ってみたいです!」

「それなら、行ってみよっか」

「うん、いこいこ!」


 そして行き先が決定した私達はスカイツリーへ移動を始めた。


 押上駅で降りた私たちは歩いてすぐ見えるスカイツリーへ向かって歩いていった。


「もうここも出来て結構経つのに綺麗なままだね」

「前は東京タワーが名所だったんだっけ?」

「確かそうだったと思う。ただ、コミケ以外で東京はあまり来ないから、覚えてないんだよね。」


「うわー、凄くおっきいですね。」

「高さ634mもある日本一高いタワーって言われてるからね。昔世界一って言ってたけどそのままなのかな?」

「私も覚えて無いや⋯⋯」

「日本一のタワー、下から見上げても上見えないどころか首が痛くなっちゃいますね」

「流石にこれは見上げるのは難しいかな?」

「ずっと上に向いてるの首が疲れちゃうよ⋯⋯」

「それじゃ、早速行こっかって言いたいところだけど、実はここお店とか見る場所いっぱいあるみたいだから、その辺りを見に行ってみない?どうせなら暗くなったくらいにスカイツリー行った方がいいと思うんだよね」

「確かに!夜景見てみたいです!」

「絶対綺麗だよねー」

「それじゃ、パンフレット貰ってくるから待っててね!」

 そう言ってお姉ちゃんはパンフレットを貰いに中へ入っていった。


「えっと優希くん、何か気になるものとかあった?」

「えっと、あそこに水族館あるって書いてありますけど、こんなところにあるんですか?」

「あっ、本当だ。優希くん行ってみる?どうせ時間はまだまだあるし!」

「そうですね⋯⋯ペンギンとか見れますかね⋯⋯?」」

「淡水魚とかの水族館じゃなければいるんじゃ無いかな?むしろそっちだったらカワウソとかいそうだけど」

「カワウソも良いですよね!あー、気になって来ました⋯⋯」


「二人ともお待たせ!」

「おかえりお姉ちゃん」

「おかえりなさい!」

「とりあえず、パンフレット貰ってきたけど、どこか気になる所は周りにあった?」

「水族館行ってみたいです!名古屋港のところとどれくらい違うのかちょっと気になります!」

「って事らしいよ?」

「水族館、いいと思う。それじゃあ行ってみよっか?」

「はい!」

「うん!」


 そして私達は水族館に向かった⋯⋯のはいいんだけど。


 正直比較対象が凄すぎて、あんまり凄く感じなかった。 とりあえず優希くんとペンギンが可愛いってことはよく分かったよ。


「うーん、綺麗だったけど長くいれる場所では無かったね⋯⋯どうしよっか」

「お店色々あるみたいですしぶらぶらして時間潰しますか?」

「そうしよっか。」


 その後は色々なお店を見て時間を潰して、夜になってスカイツリーの展望台へ行った。


 妙に恋人の多い夜のスカイツリー、周りの人がイチャイチャしてる中、気まずい空気になったのは言うまでもなかった。


 でも夜景は最高だったけどね。

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