131:東京でスイーツを堪能!

 とうとう東京へ到着した今日、僕達は時間に余裕どころか完全に時間が余っていた。


 ホテルのチェックイン時間が15時からになっていて、それまで時間を潰さないといけないらしい。


 と言っても荷物と車はホテルで預かってくれているので特に問題は無いけれど。


「それじゃ、どこに行こっか?」

 荷物を預けホテルの外に出た時に薫さんがそう言った。


「僕はどこでも大丈夫ですよ!」

「私もどこでも大丈夫だよお姉ちゃん」


「そう言うのが地味に難しいんだけど⋯⋯まだお昼にも早いし、とりあえず何か見に行こっか?」

 薫さんはそう提案してきたけど、何を見に行くのか、それが一番問題な気がする。


「お姉ちゃん、それだったら渋谷とかどう?あの辺だったらカフェとかも多いからスイーツの美味しいお店とか多いんじゃないかな?」

「あっ、それだったら⋯⋯」

 そう言いながら何かメモを開いて確認している薫さん。


「何か良いところ知ってるんですか?」

「えっとね、優希くんいちごのスイーツが好きだよね?」

「はい!大好きです!」

 僕がそう言うと薫さんはふふっと笑いながら微笑んだ。


「青山の方に美味しいフルーツタルトのお店があるらしいんだけど、良かったら行ってみない?」

「フルーツタルト!いちごは⋯⋯?」

「ふふっ勿論あるよ、本当に大好きなんだね」

「いいねお姉ちゃん!そこ行ってみよ!」

「並ぶかもしれないからそのつもりで行こっか?」

「はいっ!」

 フルーツタルト、楽しみだなぁ。


 そして僕たちは薫さんの言っていたフルーツタルトのお店のある青山に移動を始めた。


 東京メトロの表参道駅で降りた僕たちは駅から出て数分の場所にあるそのお店へ向かって歩き出した。


「えっと、確かここの右側にあるらしいんだけど⋯⋯」

「あっ、もしかしてあそこかなお姉ちゃん!」

「あっそうそうそこだね!混んでると思ったけどそうでもないんだね?」

「寒いから並ばなくて良いのは助かるねお姉ちゃん」

「だね!」

 お店が見えてくると予想に反して大して混んでいなくて、普通に入れそうだった。


「な、なんか店内が真っ白で入り辛いです⋯⋯場違いじゃないですよね?」

「大丈夫、それに優希くんパッと見は女の子だから誰も気付かないよ。」

「そうそう!優希くんは可愛いから大丈夫!」

「そ、そういう問題なんですかね⋯⋯?」

「気にしても時間がもったいないよ!いこいこ!」

「だね、優希くん行くよ?」

「は、はいっ!」

 僕はどこか落ち着かない気分のままお店の中へ入っていった。


「いらっしゃいませ」

 店員さんがそう挨拶をする中お店の中に入った僕の目に入ってきたのは真っ白な店内。


 豪華なシャンデリアが天井から吊るされていて、とても綺麗だ。


 そしてシャンデリアに一瞬目を奪われたボクの目に次に入ってきたのは大きなケーキのショーケース。


 中には沢山のタルトが入っていてどれもとても美味しそう。


「優希くん?」

「あっ、すいません、どれも美味しそうで⋯⋯」

 思わず心奪われるとはこの事を言うんだろう。まるで光り輝いて見えるいちごのタルト、他にもベリー系が沢山乗ったタルトにティラミス、チーズケーキタルトなんかもあり、どれも本当に美味しそう。


 その中でも目が引かれたのは白いいちごを使ったタルト。


「いちごが⋯⋯白い⋯⋯」

 こんなにも白いいちごを見たことがなかった僕はそのタルトから目が離せなかった。


「僕、この白イチゴのタルトにします!」

「優希くんは白イチゴのタルトだね。じゃあ私は⋯⋯このイチゴとベイクドチーズのタルトにしようかな」

「じゃあ私はこの季節のフルーツタルトにしようかな!色々な果物乗ってて美味しそう!」

「カフェスペースでのご飲食でよろしかったですか?」

「はい」

「でしたら、こちらカフェメニューとなっておりますので、こちらからお選びください」

 カフェ用のメニューを見ていると二種類選んで、ドリンクを一緒に頼むとドリンクが300円と言うのがあった。


 普通に頼むより少し安くなるみたいだったのでこれにすることにした。


 そうなると、もう一個選ぶ訳だよね⋯⋯?


「どれにしようかな⋯⋯」

 僕の目に入るタルトは全てがいちご。

 ブランドいちごを使った色々な種類のものがある。


 どうせなら見たことないものにしようと僕はきらぴ香といういちごを使った物にした。


 これも大量にいちごが乗っていて本当に美味しそう。


 値段が一個で1000円超え!?

 っていうか白イチゴは1500円!?

 ど、どれだけ美味しいんだろう!?

 少しくらい贅沢しても⋯⋯いいよね。


「じゃあこのきらぴ香のタルトと白イチゴのタルトでお願いしますっ!」

「じゃあ私はイチゴとベイクドチーズのタルトとイチゴと練乳クリームのティラミスで」

「私は⋯⋯季節のフルーツタルトと4種ベリーのフルーツタルトで!」

「では、きらぴ香のタルトと白イチゴのタルト、イチゴとベイクドチーズのタルト、イチゴと練乳クリームのティラミス、季節のフルーツタルトと4種ベリーのフルーツタルトの6点でお間違いは無いですか?」

「「「はい!」」」


「ドリンクをこちらからお選びください。」

 そう言って渡されたドリンクメニューはコーヒーや紅茶、フレーバーティーがメインになっていて、その中にストロベリーティーがあった。どうせなら全部いちご関係にしちゃおう!


「ストロベリーティーのアイスでお願いします!」

「私はアールグレイのホットで」

「私はどうしようかなー、うーん、アップルティーのアイスでお願いします!」

「ではストロベリーティーのアイス、アールグレイのホット、アップルティーのアイスの3つですね、お間違いはなかったでしょうか?」

「「「はい!」」」


 そして席へ案内され、タルトと飲み物が運ばれるのを待つ。 だけど数分もすればテーブルにタルトと飲み物が運ばれてきた。


「お待たせいたしました、こちらがきらぴ香のタルトと白イチゴのタルト、ストロベリーティーになります」

 そう言いながら僕の前に置かれるタルトとストロベリーティー。

 ストロベリーティーからほのかに香るいちごの香りがとても心地良い。


 そして薫さんと由良さんのところにもタルトが置かれた。


「「「いただきます!」」」

 小さな声でそう言いながらタルトを食べる。

 まずはきらぴ香のタルトからいくことにした。


「んー♪美味しいです!」

 酸味の少ないいちごのようで非常に食べやすくて、それでいて甘味もしっかりしている。

 それに食感がしっかりとあって噛めば噛むほどにいちごの良い香りがする。

 それでいていちごの下にはカスタードクリームがあり、クリーミーなクリームといちごの相性は絶妙。


 その美味しさに僕のテンションは急上昇。


 次は白イチゴの方を食べてみよう!

 ぱくり、と食べた瞬間僕を包んだのはいちごなのにいちごじゃないと思うほどの香り。

 桃とかそういった果物だったのかと思うほどにいい香りがする。

 味はまろやかで甘すぎず、やさしい甘さ。

いちごの下には甘さ控えめのババロアとバターがしっかり香るパイ生地が。

 控えめに言ってとても美味しい。


 もう、言葉なんて必要無いくらい美味しく、ずっと笑顔になっていた。


「んっ!本当に美味しい!チーズケーキといちごの相性が凄くいいねこのタルト」

 薫さんの食べているものもとても美味しそうで思わず見つめてしまった。


「あっ、優希くん気になるんでしょ?」

「はい、あーん」

 そう言って僕にタルトを差し出す薫さん。

 僕は思わず反射的にそのタルトを食べてしまった。


「はむっ!」

「ん⋯⋯美味しいですぅ⋯⋯」

 そこで僕も薫さんに白イチゴのタルトを差し出す。


「薫さん、ありがとうございます!よかったらどうぞ!」

「あむっ」

「あっ、凄く美味しい⋯⋯」

「ですよね!」

 その瞬間にふと我に帰った僕たち。


「「あっ」」


 目の前のフォークを見つめて顔を真っ赤に染める僕たち。


「お、美味しいね!」

 そう言いながらタルトをぱくぱく食べ始める薫さん。


 か、か、間接キス⋯⋯


「そ、そうですね!」

 僕は燃え上がるように体温が上がるのを感じながらタルトを食べ進めた。


 とても美味しかったけど、凄く恥ずかしくて今にも穴があったら入りたい気分。


 その後は渋谷へ行ってチェックインまでの時間を潰したけれど、どこか気恥ずかしくてまともに薫さんを見ることができなかった。

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