128:コミケ前の衣装合わせをしよう!
イワナボーイVRの実況で詰みセーブをしてしまってから数日が経過したころ、僕はコツコツと裏でゲームを進めていたけれど、そろそろコミケの準備をしないといけない時期になってきた。
以前缶バッジをクローズドでやるという話になっていたけれど、想像以上に購入希望者が多くなっていた事もあり、業者の人に相談をしたらなんと全てをパッケージングしてくれる事になった。
1セット作った時の単価は上がるけれど、皆が喜んでくれる形にするのが一番だと思うし、これでよかったと思う。
価格設定は当初の予定から一気に変わって6種の缶バッジプラスASMRボイスのダウンロードコードのセットで2000円に変更。
本当はもうちょっと安くしたかったんだけど薫さんに止められたんだよね⋯⋯
これは作る際の個数が一気に増えた事に要因するんだけど、一個あたりが想像以上に安かったのが一番の理由。
1個当たり60円にプラスして纏めて包装するために1セットあたりプラス20円でやってくれるとの事だったのでそれでお願いする事にした。
個人的には1000円でもいいと思うんだけどどうやらあまりにも下げすぎると相場自体が崩れる可能性があって、少ない個数でやってる人からするとかなりの痛手を受けちゃうんだって。
僕達みたいに一気に作れる人はいいのかもしれないけど、そういう人たちは缶バッジだけでの販売をあまりしないらしく、新刊セットに1個2個入れることが多いのだとか。
ただ僕の描いた絵の缶バッジが入れられるのは恥ずかしいけど、覚悟は決めたよ。
そしてその事をピヨッターで告知すると多くのリプライが返ってきた。
殆どが好意的な内容で全種類たすかると書いてあった。
僕としても皆が喜んでくれる方が嬉しいからよかったと思う。
そしてコミケへ行く時の準備でもう一つ重要な事、それが⋯⋯
♢
「優希くん、似合ってるよ」
「あ、ありがとうございます⋯⋯」
そう、コスプレ衣装だ。
僕は今薫さんと一緒にGloryCuteに来ている。
つまり、今回のコミケ用の衣装を作ってもらっていたって事だね。
僕だけでなく薫さんもコミケ用の衣装をお願いしていたみたいで、薫さんも今衣装を着ている。
薫さんの着ているのは狐耳を付けた巫女さん衣装。
とても綺麗で、そして可愛い。
実はハロウィンの時に着ていたゆかにゃん衣装もコミケ用に作っていたものの一つで、残り二つ、それの衣装合わせに来ているのが今。
今回はメイド服と可愛い和服の衣装が追加で用意されたよ。
今着ているのはメイド服。
ただ普通のじゃないよ、もうすぐ新年って事もあってまさかの巫女メイド。
赤と白のオーソドックスな見た目の巫女服にフリルがあしらわれている。
スカートの部分も少し短めになっていて可愛さを全面に出している。
「うんうん、やっぱり似合ってるよ優希くん」
僕を見ながら頷いて薫さんがそう言った。
でも何故だろうか、何かうずうずしているように見える。
「は、恥ずかしいです⋯⋯」
僕はもじもじとしながらそう言うと薫さんがぷるぷると震えた。
「それ本当にずるい⋯⋯可愛くてやばい⋯⋯」
「えっ?」
何か聞こえた気がするんだけど小声すぎて聞き取れなかった。
「な、何でもないよ!?」
「そ、そうですかね?何か聞こえた気がしたんですけど⋯⋯」
「気のせいだと思うかな!?」
「気のせいだったらいいんですけど⋯⋯」
「と、とりあえず衣装の大きさは問題無さそうだね!」
「えっと、そうですね!問題無いですよ!」
「うんじゃあ次の衣装着てもらおうかな!」
「次のは確か和服系でしたっけ?」
「そうだね!」
「和服なんて着たことないですけど僕に似合いますかね?」
「とりあえず着てみてもらえたらこっちで見て判断するよ!」
「分かりました!じゃあちょっと着替えてきますね!」
「いってらっしゃい」
そして僕は衣装を着替えて戻って来た。
部屋に入る時に鏡を見て少し気付いた事があった。
「薫さん、この衣装ふわちゃんの衣装に雰囲気が似てるんですけど⋯⋯」
「というかふわちゃんの衣装のカラーリング違いに少し手を加えたものだからね」
「えっ!?」
「実はこれに関してはふわちゃんからの依頼でね、自分の衣装そっくりのものをゆかちゃんに着せたいんだって。コラボやオフコラボする時に良かったら着て欲しいって言ってたから」
「えっと、それをコスプレにして問題は⋯⋯?」
「元々いまなんじはコスプレに関しては寛容というか公式がOK出してるから大丈夫だよ?」
「あっ、そうだったんですか?」
「そうそう、だからその点については心配しなくて大丈夫」
「それなら安心して着れます!」
「うーん、それにしてもやっぱり優希くんは素材がいいからか可愛い服が似合うね。色々デザイン考えるのが楽しくなっちゃう」
「あはは、そう言ってもらえると嬉しいです」
「そろそろ恥じらう必要も無いと思うんだけどね⋯⋯」
「そ、それとこれとは話が別です!恥ずかしいものは恥ずかしいんです!!」
「まぁ、恥ずかしがるところも可愛いからいいんだけど。」
「か、かわっ!?」
「ふふ、顔真っ赤にしちゃって可愛い」
「か、からかわないでください!」
「からかってないよ、本音だよ?」
「うぅ⋯⋯」
僕の事をからかうような事を言う薫さん、その悪戯な笑みが普段見ていたクールな薫さんのイメージと違って少しドキっとした。
最近こんな感じの薫さんを見れる事が多くなった気がする。
「そんな事言うなら僕だって!」
僕だってやられっぱなしは嫌なんだよ?
「何かな?」
顔を傾げながら僕にそう聞いてくる薫さん。
すぅ、と息を大きく吸って気分を落ち着かせてから僕は話し始めた。
「その、薫さんも綺麗で、それに凄くか、可愛いですよ⋯⋯」
「ふぇっ!?」
これは常々思っていた事で、決して嘘ではないよ。ただ、口に出すのが死ぬほど恥ずかしいだけ。
「これは嘘じゃないですよ!本音ですからね!」
「思わぬ反撃を喰らっちゃったね⋯⋯」
少し悔しそうな事も言いつつも少し顔を赤く染めているあたり、反撃は成功したのかな?
「アナタ達何をやっているのよ」
そんなやりとりをしていると突然声がかけられた。
「あっ、せ、先輩!?いつの間に!?」
「橋本さん!?」
「いや結構前からいたわよ?」
「えっ、そうだったんですか?」
「全然気付かなかった⋯⋯」
「何で初デートのカップルみたいな事してるのかアタシには分からないけど、衣装の方はどうだったかしら?」
「えっと、特に問題無いです!」
「か、カップル⋯⋯」
「そう、ならよかったわ。
それと体を動かしてみて違和感とかはないかしら?」
「それも大丈夫ですね!」
「それなら大丈夫そうね、それにしてもその衣装もよく似合ってるわよ」
「あ、ありがとうございます!」
「それで薫ちゃんは何でそんな顔を真っ赤にしてぷるぷるしてるのよ⋯⋯」
「先輩のせいですからね!!」
「アタシのせい!?どう言うことよ!?」
そして無事にコミケの準備を進め終わった僕達はいよいよコミケが目前に迫ってきた。
あっ、でもその前にクリスマスがあるね!
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