125:いざ鬼畜ゲー実況!一日目!
十一月の前半、風邪でダウンしていた僕は復帰した時の配信で、新発売されるゲームの中で優先して実況して欲しいもののアンケートを取り、人気のあったゲームを実況していく事にした。
その実況の合間にコミケ用のASMRの収録もやっていこうと考えているよ。
今回のASMRに関しては自分で原稿を考えているから演じやすいはず⋯⋯
そして十一月も後半になると学校では期末テストムードが漂い始める。
僕は普段から勉強しているから特段焦る必要は無いけれど、一部のクラスメイトは勉強会をやろうだとかどの辺が出題されるか予想していたりと自分なりのやり方でテストに挑もうとしていた。
そんな中僕は今ゲームショップに来ていた。
「これがイワナボーイ⋯⋯」
そう、アンケートで一位を取ったのはイワナボーイだったんだ。
このゲームは昔死にゲー界の金字塔と言えるレベルで大ブームを起こすも、時代の流れと共に消えていったと言う過去を持っているらしい。
それでも未だにファンはついていてたまに実況プレイの動画があがるほど。
そんなイワナシリーズの最新作が誰も想像していなかったVRで登場。
視覚、聴覚いろいろな部分から攻めてくる鬼畜ゲームとお店のPOPには書いてあった。
イワナボーイを買った僕は颯爽と家に帰り家に着いた僕はゲームを起動し、完全初見プレイで動画の撮影をしていく事にした。
♢
『動画を見てくれてるリス兄、リス姉こんにちは!白姫ゆかだよ♪』
動画の開始はいつもの挨拶から始まって、今はゲームのタイトル画面で待機している状態になっている。
『今日はこのイワナボーイVRをやって行くんだけど、凄い鬼畜ゲーって噂聞いて不安がやばいけど実際どんな物なのか味わって行こうと思うよ!』
『それじゃ、コントローラーを持って、ゲーム開始!』
するとゲームの画面が進むと小さなイワナのような顔のキャラが立っていた。
周囲には難易度ごとに入口があるようで、難易度に合わせた障害を乗り越える事でその難易度に挑戦出来る仕組みになっているみたい。
『うーん、まだ初心者だしイージーにしておこうかな?えっと、ジャンプは×ボタンで、スティックで左右移動⋯⋯と」
×ボタンを押すたびにぴょんぴょんと飛ぶイワナボーイ。
ここがバタンの押し方によってジャンプの距離に強弱があるみたい。
『イージーはこの針を飛び越えて⋯⋯よし!』
簡単すぎる障害を乗り越えてボクはイージーモードの扉へダイブした。
ダイブした先はドット絵で作られた森の中のような風景。
周りには木が生えていて、その木には林檎が実をつけている。
『これは右に進んでいけばいいのかな?
反対行ったらどうなるんだろう?』
そう呟きながら反対へ進むと全く風景の違うステージに突入した。
『えっ?こっちがまさか正解ルート?鬼畜ゲーって言われるが所以ってこういうところ?
ふっふっふ、ボクにかかれば一瞬で正解ルート行っちゃうもんね!』
そして左側へさらに進んで行くと別れ道が。
『うーん、上かな?下かな?と言うよりも障害物の針が結構地面に配置されてるからしっかり避けていかないとね!』
そして針と針の間をジャンプで飛び越えて行く、そんな時。
『よっ!あと一個だね!結構隙間が小さいから気を使うね⋯⋯これでラスト!』
その瞬間地面に設置されていたはずの針が飛び出してきた。
......いいや、飛んできたと言うべきなのかな?
『えっ』
気付いた時にはもう遅かった。
イワナボーイはバラバラに弾けて正に汚い花火になっていた。
『⋯⋯そんなのってありなの!?』
ボクは驚きながらもコンティニューをすることにした。
すると、なんと難易度選択の画面に戻って来ていた。
『ま、まさか最初から?』
『ま、まぁイージーは簡単に行けるからいいんだけどね...
そして今度は逆にそのまま右へ進んでみた。
『こっちがまさか正解のルートだったのかな⋯⋯?そうだとしたら開発者は相当性格悪いとボクは思うな!』
ぷりぷりと怒りながら進んでいくボク。
『あれ?なんか変なラジカセみたいなのが浮かんでる⋯⋯Save.⋯⋯これがセーブポイントなの!?』
チュートリアルのような物が表示され、ここをR1ボタンを押す事で銃を発射できるのでその銃で撃ち抜くようにと書いてあった。
『それ!』
そして銃弾がラジカセを撃ち抜くと、ラジカセが光り始めた。
おそらくこれでセーブ完了ってことだよね?
そして先へ進むと林檎の木と木の間に落とし穴が掘られていた。
『これを超えてその間にある林檎の木の地面に着地すればいいんだよね?』
そして一個目の林檎の木は難なく突破。
二個目も同じように着地したらワンテンポ置いて今度は地面が沈んでいった。
『いやだからそんなの序盤に持ってくるトラップじゃないよね!?』
それからと言う物同じようなトラップの連続で何回も何回も死んだよ。
林檎が殺意を持ったらもっと大変だったと思う。
そして死亡数が50回を超えた頃、ようやくボス戦へ辿り着いた。
どうやらイワナボーイは自分の父親を探す旅に出ているようで、手掛かりが無いか聞く為にこのボスの下へやって来たというストーリーらしい。
『ストーリーあったんだ⋯⋯』
ボクとしてはその時点で驚きだった。
そしてボスが出てくると今度は射撃の出番。
バンバン撃って敵の体力を減らすよ。
林檎を投げつけたりしてくるけどイージーのお陰か難しくはない。
『体力が半分になった、この調子で⋯⋯』
しかしその瞬間に、画面が回り始めた。
VRのソフトなのでクルクルと、気持ち悪くなりそうなほどの大回転。
『にゃああああああああああ!!??』
そして見事に死んだ。
『こ、こんなの無理だよ!?』
それから長い時間をかけてボクは1面をクリアした。
『コンテニューどれくらいしたか覚えてないよ⋯⋯とりあえず今日の動画はここまで、また続きをあげていくからまた見て欲しいな♪」
そう言って動画の撮影を止めた。
「ふぅ、このゲーム死ぬ回数が凄まじい事になりそうだなぁ⋯⋯編集しんどそう⋯⋯』
僕はそのままの流れで編集を開始した。
⋯⋯撮影は明日もやらないといけないと思うと結構辛いかも。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます