108:鬼畜なキーワード達とシナリオライターさんと
寝落ち配信をしてしまった僕はその日のうちにスパチャのお礼をする事を決め、キーワードを送ってもらおうと華さんと石油王さんにメッセージを送った。
すると三十分もしないうちに二人から返信が来た。
「は、早すぎる⋯⋯内容はなんだろう?」
そしてまずは華さんのメッセージから確認。
「えっと⋯⋯? 見間違いかな?
おかしいな、サキュバスって見える⋯⋯」
本来なら男が女の人に送るであろうキーワードが何故か僕のもとに。
しかもそれを送ったのは華さんと言う事実。
「うん、気を取り直して石油王さんのを見てみよう」
そう言いながら石油王さんのメッセージを開いてみると双子の文字が。
「いやどうしろって言うの!?」
双子でサキュバスとかどうすればいいの!?
「いや、流石にえ、えっちなのは⋯⋯」
流石にこんなのが理由でBANとかになったら嫌だし⋯⋯
「そうか、健全なもので⋯⋯って思い浮かぶわけないよねぇ!?」
僕はもう錯乱して頭が殆ど回っていない。
冷静になるためにお水を一口飲んで、心を落ち着かせる。
「ふぅ、うん、落ち着いた」
落ち着いたところでアイデアが浮かぶわけじゃないんだけどね。
そして暇なこともありずっとああでもないこうでもないと考えているとお昼前くらいに薫さんから電話が来た。
「ん?薫さんから?どうしたんだろ?」
僕は暇なので電話に出ることにした。
暇じゃなくても薫さんからの電話なら出るんだけどね。
「もしもし!」
『もしもし、優希くん?ちょっと今時間大丈夫かな?』
「大丈夫ですよ!」
『よかった、前言ってた冬コミについての話をしようと思って電話したんだけど、流石にVtuber始めた時期的に申し込みはしてないよね?今回も良かったら一緒に行かないかなって思って』
「いいんですか?」
『うん、問題無いよ。サークル主は私だからね』
「それならお願いしたいです!」
『良かった、それでね私からもお願いがあって、今回の冬コミでグッズを出したいと思ってるんだけど優希くん的には問題ないかな?』
「僕は問題無いですよ!あっ、でもVtuberとかのグッズって権利とかの問題は大丈夫ですよね?」
『デザインは私だから問題は無いよ、ただ無断で出すのが憚られるから一応、ね?』
「僕は大丈夫なのであまり気にしなくていいですよ?」
『それなら発注しても大丈夫そうだね、ありがとう!』
「い、いえ!」
『それで、優希くんは何を出すの?』
「僕に出せるのはASMRボイスくらいしかないんですけどね⋯⋯ただ今少し迷ってて⋯⋯」
『何かあったの?』
僕は事情を薫さんに話すことにした。
内容は少しぼかしたけど。
『なるほど、それだったらシナリオライターさんとかに頼んでみるのはどう?販売を視野に入れてるのならありだと思うよ?』
「シナリオライターさん、ですか?」
『そう、あっちもシナリオ考えるのが仕事だから、結構無茶苦茶なお題にも応えてくれるはずだよ?』
「その発想は無かったです!」
『ただ、いくらくらいで依頼出来るのかはちょっとわからないからそこは調べてみてね』
「はい!」
『それじゃあ私もそのボイス楽しみに待ってるね』
「あ、あんまり期待されても内容が内容なだけに⋯⋯」
『ふふっ、大丈夫。
それに、恥ずかしそうにしてるだけでも可愛いしね⋯⋯』
ボソッっと何か聞こえてきたけど小さすぎて僕の耳には入って来なかった。
「今何か言いましたか?ちょっと聞こえなくて⋯⋯」
『う、ううん!?なんでもないよ!(口にしてたかぁ、危ない危ない)』
『それじゃあ私はそろそろ作業に戻るから優希くんまたね!』
「はい!ありがとうございました!」
そして電話が切れた僕は薫さんの言うようにシナリオライターさんについて調べてみることにした。
調べてみるとそこまで高くない事も分かったのでどの人に頼むかを考える事に。
すると同人音声などをよく手掛けている人が引っかかったのでその人の書いたものなどを調べてみる事に。
ほんわかとした雰囲気のものをよく書いているようでこの人に頼んでみることにした。
「えっと、名前は⋯⋯いずみさん?」
「あれ、どこかで見たような⋯⋯うーん、思い出せない⋯⋯」
僕はメッセージを送り、コンタクトを取る事にした。
♢
私の名前は
ネットではいずみの名前で活動しているフリーのシナリオライターをやらせてもらっている。
基本的にはゲームのシナリオや同人音声のシナリオを担当してる兼業ライターをやっていて、仕事の合間に出来るのが非常に助かっている。
そんな私の所にある日一通のメッセージが。
また仕事の依頼かなと思ってメッセージを見てみると、差出人は⋯⋯
「ゆ、ゆかちゃん!?えっ、嘘!?」
私は夢だと思いほっぺを抓る。
「痛いって事は⋯⋯夢じゃない⋯⋯?」
「えっ、じゃあ本当にゆかちゃんからメッセージ?嘘、しかもASMRのシナリオ!?」
「あー、スパチャ投げてよかったぁ⋯⋯」
「あっ、でも題材というかキーワードがあるんだ。えっと、サキュバスと双子で健全もの⋯⋯?」
「は?」
これ、無理じゃない?
「いやでも、自分の書いたものをゆかちゃんが読んでくれる⋯⋯がんばれ、私」
私は依頼を受け、無い頭を振り絞り必死に内容を考え始めた。
この後彼女の書いたシナリオがウケてゆかちゃん専属のASMRシナリオライターとしての地位を確立していく事になるとは彼女はこの時考えてもみなかった。
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