104:文化祭三日目!②
僕は学校内をぐるぐると回っていると目の前には沢山の模擬店が。
前に食べたわたあめや、クレープ。
クレープに至っては複数クラスがやっているのもあってクラス毎に微妙に内容が異なっていたりする。
冷凍のフルーツを使うところやジャムをメインにするところや、あえてのアイスなどクラス毎に様々な味を楽しめる。
流石に全部コンプしているとお腹いっぱいになっちゃうから、僕はどこへ行こうか考え中。
するとそんな時に聞き慣れた声が聞こえてきた。
「よう、優希」
「あっ、裕翔」
「たまたま見かけたから声かけたんだが、いい店でもあったか?」
「うーん、多すぎて今迷ってるとこ」
裕翔がどれにしようか迷っていた僕に声をかけてくれた。
「だよなー俺も色々探してはここじゃないあそこじゃないってやってたらもう昼よ。流石に腹ぺこだよ俺」
「だったらあっちの方に焼きそばとかたこ焼きやってるとこあったし、行ってみる?」
「たこ焼きか!うん、いいな、行ってみるか」
「じゃあ行こう行こう!」
「おうっ!」
そして僕達はガッツリ食べられる物を物色しに模擬店を回りはじめた。
僕達は食べ物を分け合いながら色々なお店を回った。
焼きそば、たこ焼き、フランクフルト、王道と呼べるものは大体食べたね。
他にも面白い物があって、チャーハンなんかも売ってた。
鉄板の上で焼いてたんだけど、味付けはそこのクラスの人がバイトしている中華料理屋の味を可能な限り再現したんだとか。
食べてみたけどこれが意外と美味しかった。
こういう模擬店ではまず出ないと思っていただけに意外性の方が強かったけど。
主食をガッツリ食べた僕達が次に目指す物、そう、デザートだね。
え?一昨日一杯食べただろって?
デザートは別腹だし、多少続いたところで問題無いんだよ?
そして僕は一昨日食べていないところのクレープを食べたり、たい焼きや大判焼きも食べた。
裕翔の顔が途中から引き攣っていた。
僕はまだまだ行こうと思えばいけるんだけどなぁ⋯⋯あっかき氷も美味しそう。
でもあんまりお腹膨らませすぎるのも問題かなと思ったので、今日はこれくらいにしておく事にしたよ。
命拾いしたね、裕翔。
そしてそろそろ結果発表の時間になったので裕翔と一緒に体育館へ向かった。
体育館の中に入ると生徒の数や見物人の姿が明らかに増えていた。
皆なんだかんだで楽しんで投票してたのかな?
「結構人多いねー」
「だな、それにしても優希がミスターコンに出るなんて思わなかったぞ俺」
「ん?裕翔、勘違いしてない?」
「勘違い?」
「うん、だって僕が出るのはミスコンだよ?」
「何言ってるんだ優希?」
「うん、僕もそう思うけど、出るのはミスコンなんだよ」
「よくオッケーが出たな」
裕翔は苦笑いしながらそう言った。
「多分ノリと勢いじゃないかな、ははは⋯⋯」
「多分それだわ!」
そして司会の人が現れると会場はヒートアップ。
「それでは開票結果の発表をいたします!
今回本戦出場を果たしたのは十名の方でしたが、まずその中で十位を獲得したのは⋯⋯」
とそんな感じで進んでいった結果発表。
正直僕は十位ないし九位にいると思っていたけれど、まだ呼ばれる兆しは無い。
⋯⋯おかしいな、もう三位の発表だよ?
ちなみに言うと先輩もまだ呼ばれていない。
つまり、どちらかは必ず二位以上にいると言うこと。
皆絶対ネタで僕に投票したでしょ。
うん、きっとそうに違いない。
「お、おい優希、なんでまだ呼ばれて無いんだ?圏外とかあったっけ?」
「無いって言ってた⋯⋯つまり⋯⋯」
「優希は3位以上当確⋯⋯?
お、おめでとうと言えば良いのか?」
「凄く複雑な気分なんだけど⋯⋯」
そんな話をしていると二位の発表が始まった。
これもまた僕達ではなく、僕と先輩のどちらかが一位となる事が確定してしまった。
「オイオイオイ、大丈夫かよ優希」
「ほう、二位以上当確ですか、大したものですね」
「優希!? 戻って来い!?」
「はっ!? ぼ、僕は一体何を!?」
『それでは、二位の発表に行きたいと思います!得票率は23%で、三年生の一ノ瀬遥さんです!』
「あああああああああ!!!!!!」
「優希、おめでとう」
「なんでなのおおおおお!?」
『えー、投票して頂いた方のコメントを紹介したいと思います』
【普段の地味な格好から一転、まるでモデルのような姿になるそのギャップが非常に良かった】
【スタイルが良いことも勿論、今流行っているトレンドを押さえた服でかなり良かった、ああいったおしゃれを普段からしているんだろうなと言うのがその姿から見て取れた】
『と言った意見がとても多く、同性からの投票もかなり多かった印象です!
改めて一ノ瀬さんおめでとうございます!』
でも、二位の人はステージに行く必要は無いようで先輩の姿はステージの上には無かった。
『それでは最後、一位の発表です!
飛び入り参加からまさかの男宣言!
でもその見た目はただの可愛い女の子!
姫村優希くんです!』
その瞬間に会場内では大きな歓声が上がった。
『なお、得票率は30.6%でかなり大差を付けての勝利となっています!ではコメントの方も紹介していきましょう!』
【これで男とか私は何をやっていたのでしょうか、こんなに可愛い男の子が女の子の訳ないでしょ】
『これ書いた人は相当錯乱していたんでしょうね!』
【今日もとても可愛いです、抱きしめたい】
『隠す事を知らない方のようですね!?』
【最近流行のGloryCuteのねこさんパーカーを着ていてなおかつ似合っている。この子に入れる以外の選択肢は思いつかなかったね】
『確かに、非常に可愛らしいパーカーですね。
気持ちは大いにわかりますよ』
【とても似合っていて可愛い、普段から着ていて欲しいです】
『シンプルながら普段から着ていて欲しいとさりげなく要求、私でなければ見逃してしまうところでしたね』
『と言った感じのコメントでした、では一位を取った姫村優希くん、ステージへどうぞ!』
「裕翔⋯⋯逝ってくるね⋯⋯」
「が、がんばれ⋯⋯」
そして僕はステージに立つ。
『優勝おめでとうございます!
まさか男の子が優勝する事になるとはこの司会の目を持ってしても見抜く事は出来ませんでしたね!』
「あ、ありがとうございます⋯⋯」
『それでは、最後に一言をこの場にいる皆さんにお願いします!』
「は、はい!」
すぅーと息を大きく吸った僕は一言、言葉を放った。
「色々おかしいところも多いですけど、投票してくれてありがとうございました!
ただ、一言だけ言わせてください⋯⋯
僕は男ですからね!?勘違いしないで下さいね!?」
僕はそう言うとステージから逃げるように降りていった。
ただ周りから女の子の声できゃー!かわいい反応!
とか色々言われて僕はとても恥ずかしかった。
そして裕翔の所へ戻った僕は何食わぬ顔で椅子に座った。
「優希、おつかれさん」
「裕翔、ありがとう」
「とりあえず、顔真っ赤だぞ?」
「しょうがないよね!?あんな事になったらそりゃ顔だって真っ赤になるよ!心臓バックバクだよ!?」
「お、おう。 なんかすまん」
「いや、裕翔が謝る事じゃ無いけどね⋯⋯」
裕翔が謝ってくるけど、悪いのは裕翔じゃないから⋯⋯
「とりあえず、教室戻ろっか⋯⋯」
「だな⋯⋯」
会場が盛り上がる中僕達は逃げるように会場を後にした。
ちなみにミスターコンはミスコンの前にあったらしいよ。
そして教室に辿り着いた僕達は終了までの数十分間を教室の手伝いをしながら過ごした。
しばらく経つと終了を告げるチャイムが学校中に鳴り響き、学外から来たお客さんは皆帰宅し始めた。
僕達学生は後片付けをしたり、残った食べ物を皆と食べたりして過ごした。
ちなみに今回残ったのはペスカトーレだったよ。
トマトメインで好みが分かれちゃったみたい。
シーフードミックスで作った物にしては美味しく出来ていると思うんだけど、少し残念。
でもクラスの皆が美味しそうに食べてるところを見ると頑張って良かったなって気分になってくる。
全員で食べると量はあんまりないけれど、こういう楽しみも文化祭ならではなのかな?
「それじゃ皆、文化祭お疲れ様!」
「お疲れ様ー!」
「お疲れ!」
「おつかれなさい!」
「おつかれー!」
「むわあああああああ!!やっとコスプレ脱げるううううう!!!皆おつかれ!!」
「お疲れ様!」
片付けも終わり、クラス全員で同時に解散して各自帰路に着いた。
流石にお金の計算まで今やると時間がかかって仕方ないのでそれはまた明後日にLHRの時間にやる事になっている。
売り上げ金の計算などをするためのチケットは全部先生に一旦預けておいたのでそこは安心。
どうせなら明日は振替休日なので今日の夜お疲れ様配信なんかをやってみてもいいかな。
そんな事を考えながら僕は家に到着した。
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