84:コラボ配信直前!

 記念配信が終了し、一息ついた僕は、お風呂に入りながらまったりとしていた。


 すると突然、お父さんから電話がかかってきた。


『もしもし、優希か?』

「お父さん、どうしたの?」


『あぁ、前言ってたコラボだけど日程が固まりそうだから大丈夫か確認したくてな』

「いつくらいの予定なの?」


『優希が大丈夫なら二週間後を考えてるんだが、問題ないか?』

「二週間後の⋯⋯何時くらい?」

『んー夕方には始めたいところだな』

「夕方なら大丈夫だと思う!」

『おぉ、よかったよかった。それじゃ、また細かい話は前日にするからよろしく頼むな』

「うん!分かった!」

『じゃ、風邪引かないように気をつけるんだぞ』

「はは、お父さんこそ」

『じゃ、おやすみ優希』

「お父さんもおやすみなさい!」

 そして電話が切れ、僕は再びお湯の中に潜り、ぶくぶくと息を吐き、色々考える。


 まだ始めて二ヶ月程度なのに色々あったな、と頭の中で振り返っていた。


 Vtuberを始めるにあたって、薫さんに白姫ゆかのデザインをしてもらって、由良さんにそれを元にした体(3Dモデル)を作ってもらい、僕がその中に入って配信や動画の撮影をした。


 それから何回かのバズを経験して気付けば登録者20万人。


 これが普通では無い事くらい僕だって察してる。


 それでも今まで頑張ってこれた。

 それは間違いなく皆のおかげだったなって、僕は今、そう思える。

 配信で言った事は嘘ではなく、本心だった。


 思えば遠くまで来たものだなぁ⋯⋯なんて僕はお風呂で一人呟いた。



 そして時は経ちその日が近付いてきた。

 えっ?その間に変わったことがなかったのかって?


 じわじわとチャンネル登録者が増えてる事と、学校の文化祭の準備が着実に整って来ているくらいで大きな変化は無いよ?


 ただ、週明けから僕の衣装を決めにかかるって言ってたから、そこが若干不安かな。


 そんな事を考えているとお父さんから電話がかかってきた。


『もしもし、優希元気してるか?』

「うん、僕は問題ないよ!」

『そりゃよかった、とりあえず軽めの打ち合わせだけしておこうか』

「うん!」

『まずタグについてだ、優希の配信の方でもVライブのタグを入れてくれ、そうしないと権利関係の物で使えなくなる可能性もあるから、ここは絶対に頼むな』

「うん、これは前ふわちゃんの時にやったから分かるよ!」

『なら話は早いな、本番の時に忘れないでくれれば問題無しだな』

「うん!」


『そして次はやる内容だが、基本的にましゅまろだ、あとはI'mCraftmanで何か作ったり、雑学解説も何かやったりしようと考えているけど、他にも良いのがないか当日に色々考えてみる』

「お父さんと言えばそういう解説がメインだもんね」

『まぁ、そういう事だな』

「でもI'mCraftmanやるなら建物を指定時間内に綺麗に作れるかとかも面白そうじゃないかな?」


『そういうのもアリだな⋯⋯まぁあとは明日の流れでいいと思う』

「うん、わかった!」

『それじゃまた明日配信の方でもよろしくな優希』

「うん!」

 そして電話は切れ、僕は明日に備えて早寝する事にした。


♢(姫村優斗視点)


「ふっふっふ⋯⋯」

 俺は今からワクワクが止まらなかった。


「自分の息子とコラボとか言う地獄を作ってくれたマネージャーに一泡吹かせてやろうじゃ無いか!」

 だけど初めての外部コラボが実の息子なんて俺が初めてじゃないだろうか。


「時間はかかったが、これで完成だな」

 俺はそう言いながら、パソコンを閉じた。


 明日が楽しみだぜ、マネージャーのヤツを絶対に困惑させてやる。

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