83: 閑話IF(クリスマスにみんなとオフコラボ!)※若干のネタバレ注意※

 12月24日、今日は俗に言うクリスマスイブ。


 よく恋愛物のお話だとカップルがイチャイチャしたり、告白したりなんてイベントが目白押しの日。


 それ以外だと子供が両親からクリスマスプレゼントを貰ったり、サンタさんにクリスマスプレゼントを貰ったりと子供にとっても大きなイベントの日でもあるよね。


 そんなクリスマスイブの日に僕は、Vtuberデビューをしてから大分慣れて来た薫さん、いまなんじのクリスマス配信をぶっ飛ばしてまでやってきた華さん、そして僕の衣装繋がりで遥先輩と錚々たるメンバーでオフコラボをする事になった。


『オフコラボは良いんだけど、何でお姉ちゃん達はボクの隣に座る為に争ってるの?』

 配信を開始した瞬間は挨拶の為に椅子に座らずに全員で並んでいたけれど、真っ先にボクの隣を争い始めたお姉ちゃん達。


「ゆかちゃんの隣は譲れませんー!」

「わ、わたしだって譲れないんだもん」

「ゆかちゃん、争ってる二人は放っておいてこっちおいで?」

「「何自分だけいい思いしようとしてるんですか!!」」


:来たらいきなり戦争始まってて草

:初手修羅場助かる

:草

:これが負けられない女の戦いってやつか

:ゆかちゃんの周りには猛獣しかおらんのか

川嶋繋:どうして呼んでくれなかったんだい?

:ヒエッ

:悪魔降臨した

:と言うかお前配信中だろwww


『今回に関してはボクがメンバー集めた訳じゃ無いんだよ、だから繋ちゃんごめんね?

 って今配信中なの!?

 それ大丈夫なのかな!?』


川嶋繋:個人的なデートを要望したいね、それと配信中?気にするだけ野暮ってものさ

:速攻で手にかけようとするの草

:個人的なって付ける事で二人きりになる気満々w

:これがキマシタワーですか

:違うと思う


「「「繋さんはダメです!!!!」」」

『ねぇ、実はお姉ちゃん達物凄く仲良いよね??』


:息ぴったりで草

:仲良しかよw

:わろた


『話が進まないんだけど、ふわりお姉ちゃん、今日は何をするつもりなのかな?』

「ふっふっふ、今日はですねー

 まず最初こちら!

 ゆかちゃんにプレゼントをあげちゃおう大作戦のコーナーです!」

『えっ?』

 ボク、そんな話聞いて無いんだけど!?


「私から説明するね。

 今日は私達からゆかちゃんにクリスマスプレゼントをあげちゃうんだけど、三人の中で誰から貰ったプレゼントが嬉しかったのか採点して欲しいの」

 薫お姉ちゃんがそう言うと、次は遥お姉ちゃんが続けて言い始めた。


「それで、ゆかちゃんを満足させられた人が明日のオフコラボと言ってゆかちゃんの予定を埋めておいた一日でデートが出来るって言う事にしたんだよ!」


『ボク何一つ聞いてないよ!?!?』


:草

:ゆかちゃん完全に企画外www

:これはひどいw

:ゆかちゃんの事情ガン無視www


「あっ、ちなみに嫌だったら普通に明日はオフコラボ配信にするつもりだから嫌だったら教えてくださいねー?」

『むぅ、その言い方はなんかズルいかも』

「お、怒らせちゃいましたかー⋯⋯?」

『ふんだ! ふわりお姉ちゃんなんて知らない!』


「あ⋯⋯あ⋯⋯ちょっと東尋坊行ってきたくなりましたね⋯⋯」

『流石に冗談だからそんな危ない所行かないで!?』

「私も冗談ですよー?」


:冗談が冗談になってないw

:こえーよ!!!

:ヤンデレふわちゃん!?

:ちょっといいかも

:メンヘラだろ...

:メンヘラふわちゃん助かる


「いやいや、冗談でもそれは怖いから⋯⋯」

「流石にわたしもそれはないなー」

「ゆかちゃんに嫌われた人生に意味なんてあるんですかー?」

「「無い」」

「ですよねー?」


:ええんかそれで...

:即答すんなw

:酷すぎるw


『スケールデカすぎないかな!?』

「と言うわけで早速プレゼントの方渡していきましょうかー」

『ボクの事ガン無視!?』

「いやですねーゆかちゃんの事無視する訳無いじゃないですかー」

「それじゃ誰から渡そうかな?」

 薫お姉ちゃんがそう言うと、遥お姉ちゃんが提案をしてきた。


「だったら言い出しっぺのふわりさんからどうですか?」

「えっ」

「うんうん、そうしようか」

「わたしは何番目でも良いですし」

「じゃあ先手は頂きますよー!?」

「「どうぞどうぞ」」


:うんやっぱ君ら仲良いよねwww

:息合いすぎwww

:所々ハモるのやめてwww

川嶋繋:僕もプレゼントをあげたいんだけど

:君どうせ自分にリボン巻いて僕がプレゼントとか言い出すんだろ、俺知ってる

川嶋繋:その発想は無かった、ちょっとリボン買ってくる

:あああああああああああ!!!!!!俺余計な事言ったああああああああ!!!!!!

:なんか、ドンマイ


「それじゃ私からのプレゼントはこれですー」

『これ、今開けて良いんだよね⋯⋯?』

「もちろんですよー」

 ボクは渡された紙袋を受け取るとその中身を見た。


「ゆかちゃん最近寒いって言っているのを思い出してこれを買ってきたんですよー」

『わぁー! 可愛いイヤーマフ!』

「それだけじゃ無いんですよー?」

『あっ、マフラーも入ってる!』

「ゆかちゃんには風邪を引いてほしくないので防寒具のセットですーマフラーの下には手袋も入ってますよー」

『あっ、本当だ!』

「痒くなりにくい素材の物で可愛い物を選んで来たので、きっとゆかちゃんにも似合いますよー」

『ふわりお姉ちゃんありがとう!

 コミケ行く時にでも早速使わせてもらうねっ!』

「えへへぇーどういたしましてー」


:ふわちゃんがまとも...?

:想像以上にまとも...

:自分のコスプレ衣装とか送ると思っててごめん

:ふわちゃんにも常識はあったか...


「あの、流石に私も好きな人にはまともなもの送りますよー?」

『す、好きな人⋯⋯』

「あっ、ゆかちゃん照れてますねー

 可愛いですー」

 そう言いながらふわりお姉ちゃんはボクの頭を撫でてくる。


『も、もう! 急に言われるとびっくりするからやめて欲しいな!』

「わ、わたしだってゆかちゃんの事大好きなんですからね!」

「私だって!!!!」

『ふみゅぅ!?』

 そう言った遥お姉ちゃんと薫お姉ちゃんはボクの事を抱きしめて来た。

 ちょ、ちょっと苦しいよ!?


:ゆかちゃんがまた生き地獄を味わってらっしゃる

:羨ましいと思うには思うがこれはこれで辛そう

:ふわちゃんは謎だけどゆるママもHaruちゃんも美人さんだからなぁ...

:ほんまそれ


「あのー、ゆかちゃんが苦しそうなのでその辺りでー」

「あっ、ごめんねゆかちゃん!」

「冷静さを失っていました⋯⋯」

『う、うん、大丈夫⋯⋯』

「じゃ、じゃあ次は私のやつを渡すね!」

『あっ、ゆるお姉ちゃんありがとう!』

 次は薫お姉ちゃんからのプレゼントで、その袋は結構ずっしりとしていた。


「物として残る物とか色々考えたんだけど、ゆかちゃんは甘い物が好きだから、超大人気店のスイーツの詰め合わせにしたんだ。 それと、焼き菓子の有名店だよ」

『この、お店って⋯⋯』

「ふふっ、ゆかちゃん前に一緒に東京行った時混雑が凄くて諦めてたあのお店だよ?」

『ありがとうゆるお姉ちゃん!』

 一度食べてみたかったけど三時間以上待ちの大人気店で諦めていたから、あのお店のお菓子の詰め合わせなんて、凄く嬉しい!


『⋯⋯でもボクだけで食べるのはなんだか勿体ない気がするから後で一緒に皆で食べたいな?』

「ゆかちゃん⋯⋯」

「ほんまええ子やで⋯⋯」

「うん、後で一緒に食べよっか⋯⋯」


:あぁ^〜

:これがてぇてぇですか

:てぇてぇんじゃぁ^〜

:尊すぎて死ぬかと思った

:ふわちゃんの口調がw

:ふわちゃんwww


「そ、それじゃあ最後にわたしからのプレゼント!」

『ハルお姉ちゃんありがとう!中身見させてもらうね!』

「うんうん!」

『これは⋯⋯』

 その袋を開けてみると中に入っていたのはボクが前遥お姉ちゃんとお話してる時に気になると言っていた小説の全巻セットだった。


「前ゆかちゃんとお話してるときにゆかちゃんが気になるって言ってた小説の全巻セットだよ。

 栞やブックカバーとかも入ってるから良かったら読んでみてね」

『うん、ありがとうハルお姉ちゃん!

 これ気になってたんだけど、買おうとするお店どこも何巻か欠けてるところ多くてまだ買ってなかったんだ⋯⋯!』

「ふふっ、そう言ってくれると私も嬉しいな」

 遥お姉ちゃんが恥ずかしげにそう言うと、いざ審査タイムに突入した。


「どれもこれもゆかちゃんの好みにちゃんと合わせて来てますね⋯⋯」

「さ、流石にリサーチはしてるよ」

「当然です!」

『あ、あはは⋯⋯嬉しいんだけど、一番を決めろって言われてもボク困っちゃうな⋯⋯』

「まぁ、そうですよねー」

「実際わたしなら困ると思う⋯⋯」

「私もそう思う⋯⋯」

『だから、明日は皆空いてるなら一緒に遊ぶので良いと思うな!』

「⋯⋯そうしましょうかー」

「それが一番争いにならない良い方法かも」

「そうですね!」


川嶋繋:え?ゆかちゃんで遊ぶ?

:お前は自重しろwwwww

:良い雰囲気が台無しだよwww

:ひでぇwwwww


 そんなこんなで平穏な雰囲気のままクリスマスの配信は続いていき、次の日も皆と楽しく遊んだ。


 だけど、繋ちゃんは許されなかった。

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