78:チャンネル登録者10万人?突破記念配信!③

 チャンネル登録者10万人突破を記念して開催したPSKGの大会、数百人参加すれば良い方だと思っていたボクの予想を良い方に裏切る形で参加者はまさかの千人。


 応募だけならもっと居たからびっくりだよね。


 そしてついさっきようやく予選ブロックの最終戦が終了した。


 つまり、ついにボクの出番がやってきた。


 今から一緒に戦うのは各ブロック10位以内に入った猛者達。


 プロには勝てないかもしれないけどボクだってそれなりに自信は持ってる。


 最後まで楽しんで行かないとね!


『それじゃあ皆、対戦よろしくお願いします!』


:頑張ってねー!

:皆ファイトー!

:俺はゆるママを応援するぜ!

:というかナイトハルトもいるじゃんw

:どうせ皆死ぬ...

:いや間違ってないけどさw

:生き残れるのはラスト1人なのは確かだしな...


『それじゃあ行ってきまーす!』


 そして最終戦が始まった。



 まずボクは激戦区となる工場エリアへ最速で降りていった。


 そして人の少ない場所を選んで漁って行く。


 中に入ると早速アサルトライフルとその弾を多めに入手出来た。


 本当はスナイパーライフルも欲しかった所なんだけど、落ちていなかったので一旦ショットガンを持って近距離に対応する事にした。


 今のボクは中近距離が適正交戦距離になるので遠距離相手だと武器の威力が減衰してしまうので注意しないといけない。


 ただ、工場エリアは薬関係が少ないので拾える物を拾ったら農場エリアを目指していく。


 でも勿論この場所は激戦区、簡単に移動も出来ない。


 ボクの近くではそれなりの人数が撃ち合いをしているようで残り人数がガンガンと減って行く。


 そしてボクも視線の先に一人の人影が見えた。


『初戦闘、緊張するね⋯⋯』


 ボクは距離を確認するとアサルトライフルを構える。


 ちなみに今ボクが装備しているのはM○A1という安定性の非常に高い武器で、かなり昔からゲームでは良く出てくるらしいね。


 ボクはあまり評価されていないこの銃を多用するんだ。


 安定性が高くてHSヘッドショットを凄く狙いやすいから。


 威力が低い武器でも頭に当てればそれは十分な威力に化ける。


 いかにHSを決められるか、相手の背後を取れるかがこのゲームで敵を倒す近道なんだ。


 そして敵の近くまで来たボクは、近距離戦闘になる事を想定してショットガンへと持ち替えた。


 すると目の前に建物から出ようとした敵が出てきた。


『うぁ!?急に出てくるとビックリするからやめてよね!』


 そう言いながらボクは敵に向かってショットガンを撃ち込む。


 敵も反応が良く、頭を狙っていたボクの銃撃をジャンプする事で胴体へのダメージに抑えた様子。


 と言っても、ショットガンに弾はまだ残ってる。


 これで終わりだよ!


『ほいっと!』

 二発できっちり仕留めたボクはささっと敵の遺品を貰って装備が整って来たので移動する事にした。


:あれ?ゆかちゃん普通に上手くない?

:あの敵が急に出て来たのに冷静に対処してたね

:ショットガンあまり使わないって言ってた割にあっさり倒してたな

:かっこいいよゆかちゃーん!

:ゆかちゃんがんばれー!


 応援コメントを読み上げる余裕は今のボクには無いけど、チラッと横目で見ると沢山の人が応援してくれているみたい。


『皆の応援もあるし、出来る限りいくよ!』

 残り人数は50人。

 試合も折り返し地点、頑張ろう!


♢(DIEジェスト)


 今回の試合はゆかちゃんも参加してしかも私なんかと違って本当の実力者揃い。


 気を抜いたら一瞬でやられちゃう。


 さっきと同じように孤島エリアで装備を集めようとした私の前に“それ”は現れた。


 人間離れした反応速度、離れている敵だろうと正確に撃ち抜いていくその無慈悲な狙撃能力。


 そう、ゆかちゃんが見ていたあのエミリーとかいう子だ。


 私はまだ試合中だったからその狙撃能力までは見ていなかったけど、この子はやばい。


 速攻で草むらに匍匐で隠れてやり過ごそうと私は思った。


 ヘルメットも装備しているので簡単には死なないはず。


 そう思った私を嘲笑うかの如くその無慈悲な弾丸は私の頭を穿ち私の出番は一瞬で終わってしまった。



 なにこれ、やばいよこんなの無理だって!

 お姉ちゃんの姿を見る事すらなく一瞬で倒されちゃった。


 アイテムを探していたら突然スナイパーライフルを持った人に出会った。

 距離も近いし、ショットガンを手に入れていた私はいけると思って敵に近付いた。

 そこまではよかったんだ。


 敵がクルッとこちらを向いたと思ったら私は死んでいた。


 どうしたらあんなのに勝てるの?

 訳がわからないよね⋯⋯


♢(エミリー視点)


 私はルーレットでどこのエリアから行くかを決めた。

 どこのエリアでも戦える武器は手に入るから。


 そして選ばれたエリアは孤島エリア。

 このエリアは確か完全ランダム配置だったかな。

 スナイパーさえ手に入れれば私に負けは無いし、まずは武器を探そうかな。


 最初に私が手に入れたのは高威力のハンドガン。


 ヘルメットが無ければ頭に二発当てれば倒せる。

 ヘルメットがあると三発必要だけど、全部綺麗に当てれば問題は無い。


 すると目の前にスナイパーライフルを持った敵を発見。


 距離は中距離、だけど倒せない範囲じゃない。


 私は2倍スコープをハンドガンに装着し、スコープを覗くと即座に相手の頭を撃ち抜いた。

 クイックショットと呼ばれるこの技術はプロならば会得している人も多いけれど、よくその反応速度からチート扱いされる事もしばしば。


 そしてその全てが敵の頭に当たり、敵は遺品を遺して死んでいった。


〈あれくらいの距離、どうって事ない〉


 そして敵の遺品を漁るとスナイパーライフルとサブマシンガンを持っていた。


 正直このハンドガンを頭に当てる方が敵が早く倒せるのでサブマシンガンを持っていくのは無いかな。


 それにこのスナイパーライフルがあれば頭に当てるだけで誰でも倒せるから。


 そしてこの銃を持った私を止められる人なんてもうこのエリアにはいなかった。


 本番と呼べるのはこれから。

 私は中央へ向かい歩き始めた。


〈待っててね、ゆかちゃん〉


 私がゆかちゃんを知ったのは私の国の掲示板サイト。

 日本のコミケに行ったと言う人が居て、その人の載せた写真に彼女、いや彼は写っていた。


 猫の耳のついた彼のパーカー姿を見た私は雷に打たれたような衝撃が走った。


 それから日本のサイトを調べて行くと彼がVtuberをやっている事を知った。

 そして男の子である事も。


 そして他の日に着ていたコスプレも発見した。


 気付けば私はファンになっていた。


 男の子なのに可愛い彼に心が奪われた。


 恋人になりたいとかそう言う気持ちではない。単純に白姫ゆかというVtuberが好きになっていた。


 可能ならいつかお話したいとも思った。


 そして私はもう一つの情報を知った。


 私の国でもそこそこ人気のある日本人のVtuber、閃光のシュバルツ。


 彼の息子が白姫ゆかだったのだ。


 私はネットで公開されていたいまなんじとVライブのライバー募集に応募する事に決めた。


 そしてこの大会で優勝して、もし私がVライブかいまなんじに入る事が出来たら、その時は⋯⋯

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