79:チャンネル登録者10万人突破記念配信!④

 残り人数が五十人を切ったあたりで突然五人連続でキルされ、人数が一気に減った。


『キルログが全員同じ人⋯⋯まさか!?』

 そのキルログにはゆるママの名前と由良お姉ちゃんの二人の名前が。


『ゆるママが⋯⋯やられちゃった?』


:やはり来たか、ラスボスエミリーが

:エミリー頭おかしいwww

:流れるように5連続キルとか人間技じゃねぇw

:しかもこれ3人はプロじゃね?

:えっ?マジじゃん

:プロなんていたの?

:なんかよく分かんないけど凄いんだねー


『ボク勝てる気しないんだけど⋯⋯』


:まぁ、エミリー相手だし仕方ないよなぁ

:というかゆかちゃんまるで配信見てるかのように喋るのやめてw不安になるw

:がんばれー



『とりあえず高所を取りに行かなきゃ⋯⋯』

 ボクはマップ中央付近を見る事の出来る場所にある小さな山のような場所へと歩き出した。


 道中敵には出会わないけれど、着実に人数は減ってきている。


 残り三十人⋯⋯


 するとその瞬間銃声がするとダメージを受けてしまった。


『しまった!』

 考え事をしながらやるのは駄目だなぁと思いつつも意識を切り替えて敵のいる場所を探す。


『見つけた!』


 そこに居たのはあのお父さんの同期のVtuber、旋風のナイトハルトさんだった。


『くぅ!エイムが結構いい!』

 距離があるので威力減衰のおかげでダメージは少なかった。

 でもあっちもそれは分かっていたようで一気に距離を詰めてきた。


 ボクも応戦すべくアサルトライフルでナイトハルトさんを狙うも妙にエイムが定まらない。

 当たるには当たるけど倒せるほどではない。


 ナイトハルトさんはサブマシンガンに持ち替えて近距離戦闘でボクを倒すつもりみたいで、ドンドンと距離が詰まっていく。


『だったらボクにも考えがあるよ!』

 持っていたスモークを一つ投げてその中にボクは入り込んだ。

 そして中に入ったと思わせて横からすぐに出る。


 ナイトハルトさんはスモークに構わずに突っ込んで来た。


 逃げたと思ったのかな?


 それを待ってたよ!


 ボクはスモークを抜けて走っていたナイトハルトさんの後ろをとり、ショットガンで一気にダメージを与えた。

 途中距離が出てしまったせいで三発当てる事になったけど、なんとか倒す事が出来た。


『スモーク持っててよかった⋯⋯』


 そしてボクは山の上を取り、有利ポジションにつく事が出来た。


 そう思った瞬間。


 ピュンッ!と音がするとボクは頭に弾を受け死んでしまった。


『えええええええ!!!????』

:どこ!?

:どこから撃たれたの!?


:キルカメラに映ったのは反対側にある山の頂上に居たエミリーさんだった。


:は?????

:え????

:なにこれ???

:うっそだろお前....

:本当に人間か?

:あれをHSは頭おかしい....


 そして死んでしまったボクはそのまま観戦モードに入り、試合の行く末を見守る事にした。


『皆、ごめんね死んじゃった⋯⋯あんまり見せ場がなかったかも⋯⋯』


:いやいや十分見応えあったよ!

:ナイトハルトとの勝負なかなか熱かったよ!

:スナイパー欲しかったねー

:なんかよくわかんないけど凄かったよー!

浮雲ふわり:ゆかちゃんお疲れ様ですー

柿崎ゆる:ゆかちゃんお疲れさまー私も速攻で死んじゃったよ...

:うん、エミリー相手は仕方ないよゆるママ...

:ゆるママ安心して、プロでもそうなってるから...

:プロですら平然と殲滅する世界一位は伊達じゃない、か


『とりあえず、試合の続き見ていこっか?』


:エミリー視点みたい!

:俺も!!!

:参考になるかもしれないしみたい!

:私もその凄い人のやつ見てみたい!


『うん、わかったよ!それじゃあ、これでいいかな?』

 ボクはそう言うと、画面をエミリーさん視点に変更した。


:・・・?

:なんだこれ

:なんでそれであたんの?

:いや、これよく見ると人影見えるわ

:拡大しないと分かんねぇよ!?

:なにこれ

:ただの景色じゃん...

:やば


『えっ?それで当たるの?』

 エミリーさんはさっき見ていた時もそうだったけど少しでも姿がエミリーさんの視界に入ると即座に撃ち抜いているんだよね。


 超反応とかそういう次元じゃないと太刀打ちなんて出来るわけないよね。


 それから試合は進み、残りはプロゲーマーとゲーマー系Vtuberとエミリーさんの五人に。


 プロゲーマー達はエミリーさんを最大の脅威と捉えたのか他の人には目も暮れずエミリーさんだけを狙い始めた。


 すると、エミリーさんが手榴弾のピンを抜いたまま立っていた。


 そしてほんの少し経つとそれを投げた。


 山の斜面で跳ねた手榴弾は丁度走ってきていたプロゲーマーの一人の目の前で爆発した。

 ピンを抜いた状態で待機していたのは爆破タイミングの調整の為だったみたい。


 そして投げた位置も完璧だった。

 銃では狙えない絶妙なポイントを走っていた敵の位置だけは把握していたのだろうか。

 まさに針に糸を通すかのような正確な位置に投げ敵を倒す、まさに神技だった。


『わけがわからないよ』


:ははは!!!!もう笑うしかねぇ!!!

:嘘だろ...俺の位置完璧だと思ったのに...

:っていうかお前プロゲーマーだったのか...

:やば

:意味わかんないくらい強いのだけは分かったよ

:はえー...

:えっぐ

:こりゃ世界一位ですわ


 それからエミリーさんは圧倒的で、スナイパーライフルで山を登ってくる敵全員を屠った。


 文句無しの優勝だった。


『ゆ、優勝はエミリーさんでしたー!

 えっと、前もって説明してたけど、VCは大丈夫⋯⋯かな?』



:〈はい!大丈夫です!〉

:おぉ、ガチの英語だ

:やっぱアメリカ人なんだなぁ

:わりと最近リアルタイム翻訳機能が来たおかげでこうやって意味を理解できるの最高だよな

:海外の動画だからって敬遠もしなくなったしな

たしかに、Yotubeの運営有能だよな


『それじゃあ、登録されてるメールアドレスにボクのVCのチャンネルのURLを送るから入ってきてもらえるかな?』


:〈OKです!〉

:さて、世界一位の声はどんな声なのかな?

:俺聞いたことあるけど可愛い声してるよ

:まじ?

:期待

:〈ハハハ、期待されるとそれはそれで恥ずかしいですね〉



『あっ、来たね!それじゃあ繋ぐね!』


 そしてエミリーさんとのVCが始まった。

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