68:お化粧を教えてもらったよ!

 スタジオへ到着した僕はまず、メイクをする為にメイクルームへと案内された。


「それじゃ早速優希くんのメイクやらせてもらうね!」

「はい!よろしくお願いします!」

 僕が椅子に座ると伊藤さんがそう言った。

 プロからの始めてのきちんとしたメイク、ちょっと緊張しちゃうな⋯⋯


「あっ、その前に今日はしっかりとしたメイクの順番を軽く教えてあげるね」

「えっ?いいんですか?」

「というかね、きっと優希くんの事だし他でも女装する機会あるでしょ!だから教えてあげる!まぁ基本だけだから詳しく知りたいなら、知ってる人に聞くのがいいかな?」

 勿論時間ある時なら私でもいいけどね、と付け足しながら伊藤さんはそう言った。

「ありがとうございます!」


「よし、じゃあまずね、顔を洗おっか」

「えっ?顔ですか?」

「これは朝なんかにやった方が良いことなんだけど、まず顔を洗顔料なんかを使って綺麗にしてね」

 そう言って伊藤さんは僕に洗顔料を手渡してきた。


「あっそうだ、優希くんって乾燥肌だったりする?」

「いえ、僕は普通だと思いますよ?」

「ならよかった、乾燥肌だったらまた違う対処法もあるから」

「でも基本は洗顔からなんですよね?」

「まぁ本当はね、あっあと顔を洗うときはぬるま湯くらいの温度がいいよ」

「ぬるま湯ですね!」

 そして僕は渡された洗顔料を使って顔を綺麗に洗った。

 お湯の出る洗面台だったからちゃんとぬるま湯で洗ったよ。


「オッケー、じゃあ次はこれを使ってこの化粧水を塗ってね」

「はい!」

 渡されたのはコットン。

 実家でお母さんが使ってるの見た事があるやつだ!


 僕はそのコットンに化粧水を付けて顔に塗っていった。

「結構たっぷり付けていいよ!それで滑らせるような感じで塗ってね」

「あっ!分かりました!」

 僕は更にコットンに化粧水を付けて塗っていった。

 沢山つけたからか塗りやすい気がする。


「とりあえずこれで最低限オッケー!」

「意外と楽ちんなんですね?」

「本当はね世の中の女性はこれにコットンに化粧水たっっっぷりつけて薄くこれをこんな感じに割いて顔に付けてマスクにしたりして顔に成分をしっかりつけていったりするんだよ」

 そう言いながらコットンを薄く何枚かに割いていた。


「女の人も大変なんですね⋯⋯」

「これでもまだまだ入り口だからね?」

「そうなんですか?」

「これもやる人がいたりいなかったりだけどフェイスマッサージ、といってもやり方は色々あるけど顔のむくみを取ったり、ほうれい線を出来にくくしたりとか色々と効果があるって言われてるものがいっぱいあるからね」

 軽い説明なのは分かっているんだけど、それでもやる事が多くて大変そう。


「か、考えただけでも大変そうですね⋯⋯」

「ぶっちゃけ面倒なら洗顔の後に化粧水くらいやっておけばまぁ、男の子だし、それくらいでもいいと思うよ」

「な、なるほど⋯⋯」

「でも一応今日はしっかりやっていこうか!」

「分かりました!」

「じゃあこれを塗ってね」

 そう言ってよく分からない化粧品を渡された。


「これは?」

「これはうーん、スキンケアって言えばいいのかな?これ一個で必要なものを大体済ませてくれるオールインワンタイプって言われてるものなんだ」


「そういう物もあるんですね!」

 僕は渡されたスキンケアのクリームを手に取り顔に塗っていく。


「今日は室内だけど次はこの日焼け止めを塗ってね、照明とかもあるから念の為に」

「はい!」

「日焼け止めは顔全体にしっかり馴染むように塗ってね」

 僕は次に日焼け止めをしっかりと馴染むように塗った。


「じゃあ次はこれ!」

「これは?」

「これは化粧の下地だね、これを塗っておくとこの後で付けていくファンデーションとかの付きが良くなるんだ」

「なるほど⋯⋯?」

 また分からない単語が出てきたけど、多分大事な物なのかな?


「それでこれをさっきの日焼け止めみたいにしっかり塗っていってね!ちゃんと全体に馴染んでくれれば問題無いよ!」

「さっきと同じ感じですね!」

 僕はまた化粧の下地になるものをしっかりと顔全体に塗っていった。


「よし!本当は次はコンシーラーなんだけど、優希くん顔がかなり綺麗だし隠す部分も無いから次にいこうか、次がかなり重要なんだけどこれ!ファンデーションだね。

 家でお母さんとかが使ってるの見たりとか、物を見た事があるんじゃないかな?」

「あっ!これはありますね!」

 そう言って見せられたのは家でお母さんが使っているのを見たことがあるような物だった。


「化粧といえばこれと口紅!ってイメージが男の人は多いかもね」

「ぶっちゃけそうだと思います⋯⋯」

 正直、これがあったらお化粧終わるくらいに思っていた自分が恥ずかしい⋯⋯

 こんなに付けるもの沢山だったんだね。


「それでこれはパウダーファンデーションって言うんだけど、肌への負担がちょっと少なめなんだ」

「そうなんですね」

 パウダーって事はリキッド、液体もあるのかな?

 違いがよく分からないや⋯⋯


「あと優希くんの場合下手に化粧が濃い方が違和感が強いと思うから、かなり薄めに付けていくね」

「はい!」

「これは大体このスポンジの半分くらいにファンデーションを付けて、中心から外側に向けて全体的に伸ばしていってね。

 濃さは自分でいいと思うのを調整していくといいかな?」

「はい!」

 そしてファンデーションは伊藤さんがやるとの事だったので、お任せする事にした。


「小鼻や唇の周りはこうやって人差し指とかでスポンジを押さえる感じで塗って⋯⋯

 目元は目頭から目尻に向かって薄く塗ってね。 目元は皮膚が薄いからかなり薄めに塗ってくれれば大丈夫」


「そして最後にフェイスラインになじませたらベースメイクは終了!」

「け、結構長かったです⋯⋯」


「お化粧は手間がかかるものなんだよ?」

「身をもって知りました⋯⋯」

「さーて次は、って言いたいところだけど優希くんの場合男の子だからか眉毛は多少は濃い目なんだよね、正直盛る必要性が無いね⋯⋯しかも整ってるから完璧⋯⋯」

「そ、そうなんですか?」

 そう言われても僕にはピンと来ない。


「お母さんに何か言われたりした?」

「えっと、眉毛とかはこまめに自分で剃ったり整えたりした方がいいよってくらいですかね?」

「英才教育じゃん⋯⋯」

「えっ?」

「流石です、優希くんの良さの引き出し方をわかってらっしゃる⋯⋯」

「えぇ⋯⋯?」

 伊藤さんはお母さんの事を褒めているみたい。


「じゃあ流石に目元だけはどうしようも無いからアイメイクだけやっていこうか」

「は、はい?」

「アイメイクって言うのは目の周りのメイクの事でまつ毛を伸ばしたり、伸ばすって言っても化粧品で、これはマスカラで盛っていく感じだね。優希くんの場合は自然な感じでいいから薄めのピンクでいいかな?濃いと優希くんの違和感も凄いだろうし」

「既にちんぷんかんぷんです⋯⋯」

「あはは、情報量が多すぎるかな?とりあえずスキンケアからファンデまで覚えておけばある程度見た目は変わると思うよ」

「わ、わかりました」

 その後ぱぱっと僕の目元を整えて、最後にリップで僕の唇に色を乗せていく。

 リップは薄めのピンクで目元の色に近い自然な色だった。


「よくよく考えたらアイメイクまでは一人だと最初は厳しいかな?」

「が、頑張って覚えます⋯⋯」

「よし!完成!鏡見てご覧?」

 鏡を見てみるとそこにはやはり、見た目だけは美少女になった僕がいた。

 お化粧って凄い⋯⋯


「わぁ!す、凄いです!まるで別人ですね!」

「よく似合ってるよー!」

「ありがとうございます!」

「それじゃあ今の私の仕事はここまで!」

「ありがとうございました!」

「いいのいいの、次はメイク直しやメイク落とすときだね」

「はい!」

「じゃあ一度部屋を出て、右の部屋が衣装を着る為の部屋になってるからそっちにいるスタッフさんの指示に従ってね!」

「はい!」

 僕は言われた通り部屋を出て右の部屋に入っていった。


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気が付けば10万PV突破していました!

ありがとうございます!

なろう版に追いつくまでは基本毎日更新を心がけていきますので良ければお付き合いください!(こちらの内容は若干加筆等しているので完全になろう版とは同じではないです!)

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