67:暑いのに秋物!?
華さんとのオフコラボも終わり週が明けた月曜日、朝になると電話が来た。
「もしもし、姫村です」
「もしもし、GloryCuteの橋本です、優希ちゃんの番号で間違いは無いかしら?」
「橋本さん、ですか?」
電話に出てみると、聞いた覚えのある声がした。 だけど、名前に覚えが無くてつい聞き返してしまった。
「あら、アタシ優希ちゃんに名前教えてなかったわね。マネージャーって呼ばれてた人よ」
「あぁ!マネージャーさんですね!」
僕はマネージャーさんの名前をそういえば聞いてなかった事を思い出した。
「前言っていたIVの話なんだけど、撮影日が今週なら予定が取れるのだけど優希ちゃんは大丈夫だったりするかしら?」
「今週は⋯⋯」
僕は今週のカレンダーを確認して予定が入っていないか確認する。
「問題無いですね!」
「あら、それはよかったわ。それなら今週の水木金の最大三日間の予定でも大丈夫かしら?」
「大丈夫ですよ!」
「じゃあそれでお願いするわね」
「もし優希ちゃん名古屋駅まで出るのが面倒だったらお家の方まで迎え寄越すけどどうかしら?」
「僕はどちらでも大丈夫ですよ?」
「それだったら、場所だけ教えて貰えるかしら?結構駅で拾うのって難しい時もあるのよね」
「分かりました、住所は⋯⋯」
僕はマネージャーさんに住所を教えた。
先輩も教えてたし問題無いはず。
「ありがとう、場所も車なら問題なさそうね。
それじゃ水曜日の朝の九時頃に迎えが優希ちゃんの家に向かうと思うからよろしく頼むわね」
「分かりました!」
電話を切り、僕はとうとうこの時が来たかと思った。
それから念の為に学校の課題を確認して全部終わっている事も確認してもし長引いても問題がない事を再確認。
週明けには学校が始まるから確認は大事だよね。
♢
そしてとうとうやってきた水曜日、朝の九時にスタッフさんがお迎えに来るとの事だったので僕は少し早めに準備を済ませて外で待機していた。
外に出るとまだ八月も後半なので暑い。
なので日陰で待っていると黒色の高そうな車が家の前に停まったのが見えた。
車の運転席から前に僕のメイクをしてくれたお姉さんが出てきた。
えっ?メイクさんが迎えに来るの?
「あっ、優希くんだね、久しぶりだね」
「あっ!はい、お久しぶりです!」
「私が来てびっくりしたでしょ」
「正直びっくりしました⋯⋯」
「優希くんが見た事ある人の方が安心だろうってマネージャーが言ってたから私が行くことになったんだ」
「なるほど!それはありがたいです!」
「それじゃあ今から撮影場所のスタジオに向かうから、私がそこで一緒にメイクもやるからよろしくね」
「はい!こちらこそよろしくお願いします!」
「それじゃ出発するから車に乗ろうか!」
「はい!」
そして車に乗り車を走らせ始めたスタッフさん。
僕は今日の事を聞こうと思い話しかけることにした。
「あの、あれ?そういえば僕スタッフさんの名前聞いてない⋯⋯」
「あぁ!私も自己紹介忘れてた!私は伊藤、
「僕も改めて、姫村優希です!こちらこそお願いします!」
「うふふ、ありがとう。それで私に何か聞きたいことがあったんじゃないかな?」
伊藤さんは運転をしながら僕にそう聞いて来た。
「あっ!そうなんです!今日IVの撮影とは聞いていたんですけど、何か気を付けた方が良いことってありますか?」
「うーん、多分ポーズの指定というよりも今日は映像の良さを活かした動きのある撮影が多いと思うから、結構疲れると思うこと、かな?」
「疲れる、ですか?」
「うん、だからちょっと水分の補給とかはしっかり申告してね」
「なるほど、熱中症になったらダメですもんね⋯⋯」
「一応クーラーはガンガンにしてるはずなんだけどどうしても撮影の際に使うライトって暑いから設定温度通りにならないんだよね」
「機材の問題もあるんですね?」
「そうなんだよ、だから水分補給はしっかりね?あとメイクも落ちちゃう事があるし、撮影の雰囲気に合わせて結構何度も何度も直したりするから違う意味で大変かもしれないかな?」
「気軽に引き受けちゃってよかったんですかね⋯⋯?」
話を聞いていると僕がそんな大掛かりな撮影のメインになるなんて本当にいいのだろうか不安になってきた。
「やる事は言ってもただの撮影だから大丈夫だと思うよ。ただ、今日の衣装は秋物の撮影だから本当に暑かったら言ってね」
「秋物にしては早くないですか?」
「秋物は九月には使う人が出てくるからね。」
「九月ですか!?」
「寒い地域は、の話だけどね?九月後半、でも大体十月入ったら着る人が多いかな?」
「という事は九月に出すのは選んだりする時間っていうのもあるんですか?」
「あっ優希くんは知らないみたいだから言っておくと販売は八月には始まってるんだよ」
「えっ!?」
そんなに早くから販売を開始していたんだ⋯⋯
「ただね、販売はしててもあんまり売れないから少しずつ売れ始める九月の中旬くらいにうちはアピールをするんだ」
「それが雑誌とか今みたいなIVって事ですか?」
「そう、そういう事だね」
「なるほど⋯⋯」
「私も出来る限りサポートはするから頑張ってね」
「はい!ありがとうございます!」
そしてそれから三十分ほど車を走らせると目的地のスタジオに到着した。
「よし、それじゃ行こうか!」
「はい!」
僕は人生初のIVの撮影をするべくスタジオへと入っていった。
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