61:ふわちゃんとオフコラボ!③

 着替え終わって部屋に戻って来たボクは深呼吸をして緊張で高鳴る鼓動を抑える。


:出来る限り平常心で行くんだ。

:流されないように気をつけないとね!


『お待たせ、ふわりお姉ちゃん!』


「確かに、ゆかちゃんにも二つ名あってもいいですねー、絶対尊死の白姫ゆか、とかどうですかねー?」

 どうやらボクが離席している間にましゅまろを読んでいたようだった。

 というか絶対尊死って何!?


「あっ、ゆかちゃんおかえりなさ⋯⋯」

 こちらを向いたふわちゃんがフリーズした。

 目を開き、口も開いた状態で。

 あっ、ちょっと口元がにやついてる。


:ゆかちゃん帰ってきた感じ?

:ゆかちゃんおかえりー

:ふわちゃんフリーズしてない?大丈夫?

:待って口元wwww

:すっげぇニヤけてるwwww

:待ってなんか怖いwwww

:流石ふわりなの、そんな顔なかなか出来ないの

:それ乙女がしていい顔じゃないっすよ!?

柿崎ゆる:私もゆかちゃんの前であんな顔になってないよね!?大丈夫だよね!?

:酷すぎて草


 少しその状態が続いていたふわちゃんだったけど、正気に戻ってきたと思ったらいきなり立ち上がった。


『えっ?』

 ドンッ!っとボクは壁に優しく押し付けられた。 ふわちゃんも分かっているのか痛くはなかった。 びっくりはしたけど、ね?


「ねぇ、誘ってるんでしょ!?そうなんだよね!?」

『えっ?いやそのこれは、ふわりお姉ちゃんが喜ぶかなって思って⋯⋯』


「もおおおおおお可愛すぎだよおおおおおお!!!!!」

 そのままぎゅっと抱きしめられた。


『むぎゅぅ!?』


:おい待てなに盛ってるんだよwww

:ゆかちゃん、R.I.P.

:冥福を祈るなw生きてるだろw

:誰か止めてええええええええ!!!!!

柿崎ゆる:何やってるのおおおおおお!!!

:ゆるママ発狂不可避

:おぉう、若いって凄いの

:青春っすね、ってこれアカンやつっす!

:これが古の胸キュンシーン、壁ドン!!


『ちょ、ちょっふぉ!ふわりお姉ひゃん!落ち着いふぇ!』

 ボクは完全にホールドされて動けない。

 た、体格の差で身動きが⋯⋯


「えへへへへへへ、可愛いなぁ」

『き、きこえてない⋯⋯?』


:ゆかちゃんの貞操が!!!

:いや普通気にするのって逆だろ

:まぁ、ふわちゃんだし

:確かに、ふわちゃんだしな

:いやそれで納得するってどんだけ訓練されてるんっすか!?

:私も混ざりたいの...ふわりのお山でふわふわしたいの...

:お前百合かよォ!?

:私は可愛ければなんでもいいの、失礼しちゃうの

:いやむしろそっちの方がやべーヤツなんだが


 コメントも大変な事になっているのがぱっと見でわかるけど、どうやらボクの今の格好はふわちゃんに大ダメージだったみたい。


 ねこさんパーカーにニーソックスは、だめだったみたいだね、ちょっと反省。


 ってちょっと反省してる場合じゃないよね!?

 今は斜め前からだから息も出来るからいいけど、場所変わられたら大変な事になっちゃう!


「うぇへへへへ、お姉ちゃんが撫で撫でしてあげますからねー⋯⋯」

 ふわちゃんはボクの耳元でそう囁く。

 大好きなふわちゃんの声がボクの耳元で聴こえてくる。

『ひゃっ!?』

 ボク思わず可愛らしい声を上げてしまった。

 耳に息が当たって擽ったかったんだもん!しょうがないよね!?


「ひゃっ!?なんて⋯⋯どれだけ可愛い反応してくれるんですかゆかちゃんはあああ!!」

 今度はぎゅっと正面から抱きしめられた。

『むぐっ!』


:あーやっちまったな

:これ中身17歳の男の子だろ?生殺しすぎる

柿崎ゆる:えっちなのはいけないとおもいます!!!!

:しょ、正直羨ましいぜ...

:でもなんでだろう

:ゆかちゃんだと嫉妬心沸かないんだよな

:わかる

:それ!ほんまそれ!

:悔しいけど否定出来ないなの

:女の子同士の絡みにしか見えないっすからね...



 落ち着け落ち着け、ボクは白姫ゆか、殆ど女の子みたいなものとは言え男の子だ、冷静になるんだボク!


「よしよし、よしよし」

 抱きしめたまま撫で続けてくるふわちゃん。


 あっ、やばい、息がし辛くて少しボーッとしてきた⋯⋯


:あれ?ゆかちゃん脱力してない?

:おい、このままだと死にかねんぞ!?

:ふわちゃん正気に戻って!!!!

柿崎ゆる:ゆかちゃああああああん!!!


⋯⋯ボクは⋯⋯


「えへへ、お姉ちゃんの撫で撫ではどうですかー?」


⋯⋯お姉ちゃん?

⋯⋯ボクはふわりお姉ちゃんの妹?

⋯⋯そっか、ボクは妹。

⋯⋯だったらこのまま甘えてもいいのかな。


『⋯⋯きもちいい』

「本当!?よかった⋯⋯ってご、ごめんね!?く、苦しくなかった?」


:やっと気付いたか!

:ふぅ、安心したぜ

:ふわちゃんおいたがすぎますよ!

柿崎ゆる:ふぅ...

:惜しかったの

:アンタ酷すぎるwww

:冷や冷やするっすよ


『おねえちゃん、もっと』

 ボクは手をおねえちゃんの方へ向けてもう一度と言わんばかりのポーズを取っていた。

「へっ?」


柿崎ゆる:まずい!?

:???

:どうした?

:トランスゆかちゃんだ!?

:これはあかん!

:ゆかちゃん!!!!正気に戻って!!!


『おねえちゃん、だっこ』

「ッ!!!!!!!!」


:あっふわちゃんが先に死んだ

:ゆかちゃんの人でなしィ!!!

柿崎ゆる:待ってこれどうなるの?

:あっ止める人が誰もいない

:なんなんすかこの配信!?

:これはワクワクが止まらないのもっとやるの


『おねえちゃん?』

『おねえちゃん、ここでねたらだめなんだよ?』

『うーん、おきないね⋯⋯』

『そうだ!』

『これでどうかな?』

『えへへ、なでなで、なでなで』


:ゆかちゃんが膝枕!!??

:羨まけしからん!!!!!

:かぁー!!!!!!!!!!!!

:卑しかああああああ!!!!!!!

:女ばい!!!!!!!!!!!!

:だから男の子だって!!!!


 白姫ゆかが浮雲ふわりを膝枕して十分後くらいになってようやくふわりの目が覚めようとしていた。

 ただ、無事で済むはずも無かったが。

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