43:尊敬するVtuberに相談?

 買い物を終えた僕たちは抽選の結果が出るまでの間お昼ご飯を食べに行く事になった。


 移動の際に暑いのもあって面倒だから先輩と相談してU◯X内で済ませることに。

 U◯X内には複数の飲食店が入っており、和洋中何でもある。


「先輩、何食べますか?」

「うーん、こういうところってお店の数があるから迷うんだよね」


「わかります!和洋中どれも良さそうで⋯⋯」

「よし、じゃあここはどう?」

 そう言って先輩は案内の看板に書いてある洋食メインのお店をチョイスした。


「いいですね!昔ながらある洋食屋を再現ですか⋯⋯オムライスにハンバーグ、絶対美味しいやつですね!」

「エビフライ乗ってるのもあるよ!」

「それも美味しそうです⋯⋯」

「よし、混む前に行こっか」

「はい!」


 僕たちはこの後滅茶苦茶もぐもぐした。


 ちなみに僕はオムライスにハンバーグとエビフライが乗ったプレート。

 値段は少し高いけど大満足!

 好きなものが沢山入ってるって最高だよね!

 ただもう一つ、ソフトクリームが結構いいお値段してたけど値段相応のお味で僕も満足。


 先輩はビーフシチューオムライスを注文していたよ。

 これも美味しそう、また来ることあったら食べてみたいな。


「「ご馳走さまでした!」」

 僕たちは手を合わせてそう言うと、お会計を済ませてお店を出た。


 そしてイベントスペースに戻ってきた僕たちは抽選結果を確認した。


「あっ、わたし当たってる!」

「僕もですね!先輩は誰が当たったんですか?」


「んーと、うるちゃんだね!」

「うるちゃんいいですね!先輩さっきグッズ買ったかいがありましたね!」


「うんうん!優希くんは誰が当たったの?」

「閃光のシュバルツさんですね!!」


「名前だけ中二の人⋯⋯でも優希くん尊敬するVtuberって言ってたしよかったね!」

「聞いた話だとスタッフの悪ノリで付けられた名前らしいですよ⋯⋯でもお話出来るのは嬉しいです!」


 そして自分たちの番号が呼ばれるまで二人は少しの間待機していた。


♢(閃光のシュバルツ視点)


「ふぅー!っと!」

 少し背中が硬くなった気がした俺は背筋をぴん、と伸ばして筋肉を伸ばす。

 座りっ放しは身体に良くないから、この休憩時間に軽く体を動かしておく事にしよう。


「姫村さん、次の人呼んで大丈夫ですかー?」

 スタッフが俺に声をかけた。

「おーう!大丈夫だぞ!」

「了解でーす!一分後呼び出し掛けますー」

「はいよ!頼むな!」


「すぅー⋯⋯」

 深呼吸をして声と自分の被るキャラを思い浮かべ、俺は閃光のシュバルツの皮を被る。


 そしてカメラによってこちらに相手の人の映像が届けられた。

「あ、あっ、あのっ!初めまして!いつも配信見てます!」

 どんな偶然だよ!!!!!?????

 なんで優希がここにいるんだよぉぉぉ!!??


 というか優希、良く一万円持ってたな!?

 ここにいるだけでも相当ビックリしたぞ!?


「いつもありがとう。 折角のイベントだし、何か話したい事とかあるかな?」

 俺はプロだ、皮を被って息子に対応くらい出来ラァ!!!!


「えっと、そのこんな事聞くの変だと思うんですけど」

「なんだい?」

 むむむ、親として息子の悩みを聞くのは当然の事だろう。

 真摯に対応しようじゃないか。


「Vtuberがお金を稼いだ場合って税金どうすれば良いんですか!!」

「???????????」

 俺は思わずアホ面を晒してしまった。


「えっ?えっと⋯⋯君がVtuberをやっているのかな?」

「はっ、はい!まだ駆け出しの身ではありますけど、既に登録者二万人も超えたんです!」


「こ、こじんぜい?」

「はい!個人勢です!!」

「????????」

「えっと大丈夫、ですか?」

 大丈夫、な訳あるかよ!?

 息子がVtuberデビューして個人で二万人突破!?

 一人しか思いつくの居ないわ!!!!!


「もしかして、白姫ゆかちゃん、ですか?」

「えっ?僕の事知ってくれてるんですか!?」

「まっ、まぁね。」

 ウッソだろおおおおおおおお!?!?!?


「それで税金はどうすれば良いのか調べても良く分からなくて⋯⋯」

「そうか⋯⋯ここの時間で説明しきれないから、動画にして投稿でもしてみようか?」

「えっ!?いいんですか?」

「勿論、問題ありませんよ。 他にも新規が増えるのは良いことだし、私のVtuberとしてのジャンル的にもなんらおかしくは無いからね」


「ありがとうございます!楽しみに待ってます!」

「ありがとう、期待していてね」


 そして俺と優希の謎すぎる親子の会話が終了した。


「ふぅ⋯⋯」

「姫村さん、お疲れ様ですーお水どうぞ」

「あぁ、ありがとう」

「なんか凄い表情してますけど、どうかしましたか?」

「さっき、俺の息子見たよな?」

「えぇ、見ましたけど」

 それがどうした?と言った様子でマネージャーが俺を見る。


「Vtuberデビューしたらしい」

「へぇ、親子揃ってとは血は争えないんですかね?」

「それだけじゃなくて、バ美肉してるんだよ⋯⋯」

「はっ?」

「白姫ゆか」

「は????」

「俺の息子のやってるVtuberの名前だよ」

「嘘⋯⋯私の今の最推しなんですけど」

「は?まじかよ」

「まじです、まじ」

「俺、夢でも見てるのか?」

「ほっぺ抓ります?」

「現実だって事くらい認識しとるわ!脳の処理が追いついて無いだけだよ!」

「ちぇー姫村さんのほっぺぷにぷにしてるから触れると思ったのに」

「狙われてたのは俺のほっぺなのかよ!?」

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