41:それぞれの気持ち

今回は視点が何度も変わります。

ご注意下さい。

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 僕は今日先輩とばったり出会った。

 本当に唐突に、しかも僕がVtuberやってる事も直ぐにバレた。


 でも、会った瞬間の僕は気まずさが大きかった。 そして先輩と話していると先輩に彼氏がいない事が発覚した。


 でも、何故だろうか。


 嬉しい筈なのに、何故かもやっとした。


 自分でもどうしてもやっとしたのかは分からない。


 でも、先輩に好きな人がいるのか聞かれた瞬間に僕は気付いた。


 いや、気付いてしまったんだ。


 薫さんや華さんが僕に好意を持っているって。 それが男としてなのか、友人のようなものとしてなのかは分からないけど。


 由良さんに関しては弟や妹みたいに思われてるんだなって勝手に思っているけど。


 僕が薫さん達の事が好きか嫌いかで言ったら間違いなく好き、なんだと思う。

 でもこの気持ちがどちらなのか僕には分からない。


「うううううううう⋯⋯モヤモヤするうううう!!!!」

 僕はホテルのベッドで一人、頭を抱えて足をばたばたさせていた。


♢(一ノ瀬遥視点)


「うぁぁぁぁぁぁぁ!!!!大胆過ぎだよわたしぃぃぃぃ!!!」

 わたしはホテルのベッドで今日起きた事を振り返っていた。

 半分逆告白のような事をしておいて、友達から始めようって、恋愛小説や漫画でよくあるやつじゃん!!!!


 他に誰も居ないホテルでわたしは悶えるような気恥ずかしさに苛まれていた。


「⋯⋯でも、まだ優希くん彼女居ないんだよね」

 そう言葉にすると恥ずかしさで顔が熱を持つ感覚を覚えた。

 足も勝手にばたばたと動いてしまう。


 でも、優希くんが居なくなってからぽっかりと開いていた穴が少しずつ埋まっていっているような感覚をわたしは感じていた。


「ライバルは二人、ゆるママとふわちゃん⋯⋯

 わたしだって外見には自信があるんだ、きっと⋯⋯」

 そう呟きながら、わたしは優希くんとどうやって距離を縮めるか考え始めた。


♢(遊佐薫視点)


「ねぇ由良、ちょっといいかな」

「どうしたの?お姉ちゃん」

 私は由良と一緒にホテルにあるバーで二人でお酒を飲みながら話をする事にした。


 私はGODI◯Aリキュールを、由良はティーリキュールをミルク割りで頼んだ。

「実はね、優希くんの失恋した原因の先輩って言うのが今日いたモデルの子だったらしいんだ」

「えっ!?えぇ!?どんな偶然なのそれ!?」

 私は今日あった事を由良に話した。


「それでね、モデルの子が優希くんの失恋した相手って言うのを聞き出していたんだけど、優希くんがその子のことですって言うんだよ⋯⋯」

「お姉ちゃん⋯⋯」


「でも優希くんもそのモデルの子もその気持ちが恋なのか友人としての好意なのかがわからないから友達としてやり直そうって言ってたんだ」

「うんうん」

「私ね、気付いちゃったんだ」

「何に気付いたの?」


「私、本当の意味で優希くんが好きなんだって」

「まぁ、そうだろうね。お姉ちゃん、優希くん好きすぎでしょ」

「えっ!?そこまでバレバレ!?」

「かなりね、というかお姉ちゃんは優希くんのどこが好きなの?」

「可愛いところもそうだけど、家庭的なところとか、何かに一生懸命になれるところとか、それこそ自分自身を塗り替えるほどに、ね」

「うんうん」


「あと、本来なら女装とかするタイプじゃないんだろうけど、私との約束のためにVtuberとしても、売り子もそう、あそこまで頑張ってるところ見ちゃったら、惚れない訳が無いよ」

「なるほどね、お姉ちゃん、方法は一つだけあるよ」

「えっ?何?」

「奪われる前に奪うんだよ」

「えっ?」

「お姉ちゃんが誰よりも先に優希くんを惚れさせればいいんだよ」


「出来るかな、私に」

「出来る出来る、私も協力するからさ!」

「由良⋯⋯」

「それで私は由良お姉ちゃんって呼んでもらうんだ!」

「ふふっ」

「何で笑うのお姉ちゃん!」

「由良らしいなって」

「へへへ、だからさ、お姉ちゃんもっとオシャレになっちゃおうよ」


「えっ?」

「そうと決まったらお姉ちゃんの先輩さんに相談だね!」

「えええええええ!!!!!????」


♢(空木華視点)


「ふんふんふふーん♪」

 私はゆかちゃんとオフコラボが確定して気分も上々、そして今日はなんと!


「いい本見つけちゃいました♪」

 なんとなんと、すいかブックスでゆかちゃん本を見つけたのです!


 しかも!!!!!

「ふわ×ゆか本なんて分かってるじゃないですか!!⋯⋯ただ」

 私はもう一冊の本を見つめる。


「同じ作者でかなりのクオリティなのに、なんでゆる×ゆか本もあるんですか!!!買っちゃったけど!!!」


 内容は⋯⋯ちょっとここでは言えないですね♪


 ただ、この本は家宝にしよう!そうしよう!

 二冊ずつ買っちゃったけど、それも仕方ないよね。


♢(とある同人作家視点)


「へへへ、思ったより売れた。」

「どっちも描きたいからって両方描くのは流石にしんどかったな⋯⋯コピ本になっちゃったし、再販希望多かったらオフセで刷ろうかな⋯⋯」


「いくらコピ本でも優希くんからのゆるママ情報が遅かったら間に合わなかっただろうなぁ⋯⋯」


「次は冬コミ、ネタはまだまだ浮かぶ⋯⋯もっともっと広めるぞ、おねショタの輪⋯⋯

 あれ?私元々BL描きだったはず⋯⋯

 まぁ、いいや。 可愛いし」

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