31:コミケ初日!★
とうとう今日はコミケ初日、朝は一般参加の人と違い少し余裕を持っての入場。
ホテルで先にメイクをしてもらい、仮のウィッグを被った状態で入場。 衣装を薫さんから受け取り更衣室で着替える。
周りには男性コスプレイヤーの人達がそれぞれの衣装に着替えている。
僕が更衣室に入った瞬間に一瞬こちらを見た人が目を見開いて驚いていた。
確かにお化粧のクオリティが高いからびっくりするよね。
「えっ?女の子?」
「いやここ男子更衣室だぞ、男だろ」
「クオリティたけぇな」
そんな声が周りから聞こえてくる。
その中で僕は渡された衣装を着た。
「おいやべぇって」
「俺、イケるかもしれん」
「あれがリアル男の娘ってやつか⋯⋯」
「運営さん!!!!!仕事して!!!」
僕はそんな声を聞き流しながらウィッグを付け替える。
さっきまでのは金髪の適当に選んだウィッグだったけれど、今から着けるのは白姫ゆかの髪色と同じもの。
「あれ?まさか?」
「マジの男だったのか⋯⋯?」
一瞬僕を知っているかのような声が聞こえた気がしたけど気のせいかもしれない。
他にも話している人は多いからね。
持ってきた鏡で自分の姿を確認してみるととても可愛い自分の姿が映る。
大きく深呼吸をして僕は今から白姫ゆかになる。
ボクの初めてのコミケを楽しまないとね♪
♢
『薫お姉ちゃん、由良お姉ちゃんお待たせ♪』
「あっ、ゆかちゃっ!!!
んっ!お、おかえりなさい」
「ゆかちゃんおかえり!」
白姫ゆかのコスプレをした優希が薫のスペースに戻ってきた。
『えへへ、どうかな?似合ってるかな?』
「うん!凄く似合ってるよ。」
「すっごく可愛いよ!!」
『よかった♪それでボクは何をすればいいのかな?』
「もうちょっとしたら開場の時間だから私と一緒に売り子をお願い出来るかな?」
『大丈夫だよ!ボクに任せて!』
そしてディスプレイの設営を終えた三人は開場の時間を今かと待っていた。
【お待たせしました、只今よりコミックマーケットを開催します!】
会場が拍手に包まれる。
優希、薫、由良の三人も他の人と同じように拍手をしている。
「それじゃあ由良、ゆかちゃん、準備はいい?」
『うん!大丈夫だよ!』
「毎回のことだし大丈夫だよお姉ちゃん!」
「戦いの始まりだよ!」
有名サークルである薫のサークルの頒布物を求めて多くのオタク達が歩いてくる。
ぱっと見ただけで第一波で軽く百人を超える人達が彼女達のサークル目指して歩いているように見える。
「あの人達の歩くルート的にすぐにこっちに来ると思う、気を引き締めるよ!」
『うん!』
「りょーかい!」
そしてサークルの前に来た人が順番に並び始めたので彼女達はその人達の対応を始めた。
♢
「新刊セットぷらすを二つください!」
「はい、新刊セットぷらすを二つですね、三千円になります!」
「どうぞ」
「はい、ありがとうございます!こちら新刊セットぷらす二つになります!」
「ありがとうございます、ゆる先生これからも応援するので頑張ってください!」
「はい、ありがとうございます!」
「新刊セットぷらすを三つください」
『新刊セットぷらす三つだね、えっと、四千五百円だよお兄ちゃん!』
「ヌハァッ!?」
精神的攻撃を喰らうもなんとか耐えお金を渡す事に成功した男は新刊セットを受け取りその場を後にした。
「新刊セットぷらすを四セットお願いします。」
「はい!新刊セットぷらすを四つですね!六千円になります!」
「はい、ちょうどです」
「ありがとうございます!こちらセットになります!」
「ありがとうございます!」
こんなやりとりを行う事約三時間。
「んー!売り切れたー!」
『お姉ちゃんお疲れ様!』
「2人ともお疲れ様!」
「残りは既刊だけだからゆっくりできそうだね、一応ピヨッターで完売したって言っておこうかな」
『結構サークル参加って疲れるんだね、ボク初めて知ったよ!』
「私はもう慣れたけど今日は特にペースが早かったねーゆかちゃんいて助かったよー!」
そんな話をしていると新刊も売り切れ人が来なくなったスペースに四人の人がやってきた。
♢
「あの、ここ柿崎ゆる先生のスペースで間違い無いですか?」
「そうですよー」
「あぁ、よかった!新刊は知り合いに頼んで入手してもらえたんですけどこうやって会いにくるなら売り切れた後の方が迷惑にならないかなと思って今来たんですよ!」
「わざわざ気を使って貰ってありがとうございます!」
「それで僕たちの本題なんですけどゆかちゃんの写真を撮らせてもらいたいんです!」
『えっ?ボク?』
「配信いつも見てます!
3Dモデルも可愛いですけどリアルもこんなに可愛いなんて卑怯じゃないですか!!!」
「私もいつも見てるわよ!
本当に可愛いのね⋯⋯本当に男の子なのかしら⋯⋯?」
『むぅ、ボクだって一応男なんだよ、お姉ちゃん!』
「お、おねえちゃん⋯⋯?」
「待って待って私だって見てるんだよ!
それにしても⋯⋯ふーん、いい衣装じゃん」
『あれ⋯⋯?もしかして前赤スパ投げてくれたRinお姉ちゃん?』
「えっ?覚えててくれた!?
うっそ!やばい嬉しい!!!」
「なんでお前はいつも即バレしてんだよ⋯⋯」
そう言っているのは石油王の格好をした男性だった。
『その服、もしかして石油王さん?』
「あー流石にバレるよな、いつも配信見させて貰ってる、最高に可愛い動画いつもありがとな!これからも応援させてもらうから頑張ってくれよな!」
『うん!ありがとう石油王のお兄ちゃん!』
「ごはぁ!?」
「俺だけ、仲間外れ⋯⋯」
『な、なんかごめんねお兄ちゃん』
「今のだけで生き返れるレベル、ありがとう」
『ううん、こうやってわざわざ会いに来てくれたんだもん!ボクは嬉しいな!』
「はぁ⋯⋯男の子には思えないくらい可愛いなぁ!おい!」
「わかる」
「わかるわ」
「わかる」
「わかるねぇ」
「わかる」
「全員同意は流石に笑うんだが?」
『ねぇお兄ちゃん達、写真撮りたいんだよね?』
「撮らせて貰っていいかな?」
『うん!いいよ!どういうポーズがいいかな?』
「じゃあ笑顔でピースしてるところをいいかな?」
『こんな感じかな?」
パシャリ、と会いに来てくれた人達が写真を撮る音が聞こえる。
「うん!ありがとう!」
「あぁ!家宝にするわぁぁぁ!!」
「ありがとな、ゆかちゃん。」
「可愛すぎじゃん⋯⋯」
「ゆる先生、ゆかちゃんありがとうございました、これからも頑張って下さい!」
「応援してるから頑張ってね!」
「またスパチャで会おう!」
「応援してるからね!頑張ってね!!」
『うん!お兄ちゃん、お姉ちゃんありがとう!
明日はコスプレ広場に行く予定だから会えるかもしれないね!』
「会える事を祈ってるよ!」
そう言い手を振りながらリスナーさん達は別のスペースへと歩いていった。
「どう?ゆかちゃん、今の気分は?」
『ボクに会うためにわざわざ来てくれて、本当に嬉しい!』
「でしょ?これからも頑張ろうね、ゆかちゃん」
『うん!』
「私も衣装のモデリングは任せてね!」
『由良お姉ちゃんもありがとう!』
その後もリスナーの人やゆるママのファンの人とお話をしたりしていると十六時になり撤収の時間になった。
あの四人組以外にも何人かボク目当てで来てくれた人がいてとっても嬉しかった。
ボクのボイスで癒されてくれたら嬉しいな。
♢
【最カワ】白姫ゆかについて語るスレ3【男の娘】
346:名前:石油王
おいっすー
今ホテルに帰還したぜ早速ダウンロードしてボイス聴いてくる。
347:名前:名無しのお兄ちゃん
>>346
おっ石油王も着いたか、俺は今から聴いてくるよ。
348:名前:名無しのお姉ちゃん
>>346
>>347
私も帰ってきたわよ。
速攻でダウンロードして来るわ。
でもこのゆかちゃん本も最高にてぇてぇわね...
349:名前:名無しのお姉ちゃん
さっきぶりです、私も帰ってきたよ。
ダウンロードはとっくに終わってるから逝ってきます。
350:名前:予言者
俺も混ぜて...
なんで俺今日現地行けなかったんだ....
明日は行けるのに....
せめて感想だけ教えて欲しいぜ...
351:名前:石油王
>>350
任されたぜ
352:名前:名無しのお兄ちゃん
>>350
待っててくれよー
353:名前:名無しのお姉ちゃん
>>350
女性向けバージョンの感想でよければいいわよ?
354:名前:予言者
皆ありがとう、なんだか暖かいな。
♢(六時間後)
419:名前:予言者
おーい?
皆どうしちゃったんだ?
420:名前:予言者
あれ?マジで皆いなくない?
421:名前:予言者
しゃーない、寝るか...
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