2ー5「最奥の神器なのです」
「シルル……今何時だ。」
「分からないですよ……もう一日居る気がしてますよ。」
ダンジョンに潜って、モンスターを倒しまくって、たまに罠に引っかかって。
ようやくワタシ達は、何かありそうな気配のある大きな扉の前にたどり着いたのです。
「まあ、この先にお宝があるんだ。そういう部屋には、必ずと言っていいほど脱出口があるってもんよ!よし、開けるぞシルル!」
そう意気込んで、どらどが扉に手をかけました。
「認証失敗。ステータスが不足しています。」
「……は?」
何処からともなく、女性らしき人の声が聞こえてきました。
「おい開けろ!!誰かいるのか!!」
「認証失敗。ステータスを確認のうえ、もう一度認証を。」
「ぐぐぐ……んだよ開かないじゃないかよ……!」
どらどは全体重をかけて扉をこじ開けるつもりらしいですが、扉はビクともしません。
「シルル手伝え……っ!!お前の馬鹿力なら……っ!開けられるだろっ……!」
「はぁ……仕方ないですねー。」
とりあえず、扉に力を込めようと触れた瞬間でした。
「___認証成功。ステータスを確認しました。解錠します。」
そう言い終わると、急に鍵が外れたように、扉はパカッと、いとも簡単に開きました。
「うわぁ?!」
そのまま、先の部屋で転んでしまう。
「あ!シルル平気か?!」
「大丈夫ですよぉ……!ちょっと転んだだけで……。んぇ?!」
顔を上げると――そこには、神秘的な教会のような空間が広がっていました。日光は届かないのにとても明るく、奥のステンドグラスがキラキラと輝いて。
「すっげぇ……なんだよココ。」
「ワタシが知りたいですよ。……なんでこんなところに教会があるんでしょう。」
「こういうとこに、お宝があったりとか……よし!ちょっと探索してくる!!」
どらどはそう言って、教会をはしゃぎ回っていました。
「……ぁ。罠に気をつけてくださいねー。」
「そんなパッと見の罠、俺が見抜けないとでも……この俺がっ!」
「ぶっちゃけ不安ですねー。」
――聞こえますか?
「だ、誰ですか?!」
何処からか聞こえてくる謎の声。思わず返事をしましたが、ワタシ達以外に誰もいません。
――良かった……聞こえてる。こちらです、前の方……
「うぉーいシルル!なんか剣が刺さってるぞー!宝だよな!イヤッホォーイ!!」
――ああそれです、それです。コホン……選ばれし者よ。剣を引き抜き、わたくしを解放してくださいませ。
「えと……あなたは誰なんですか?」
ーーわたくしはSword……違った。『神の
「イシュタリア……さん?」
「……うーむ。」
どらどは剣の前で考え込んでます。
――さあ、剣を引き抜き、わたくしを眠りから解放してくださいませ。
「……すゥー。」
「どらど、抜かないんですか?」
――抜くだけでいいのです……さあ、now!!
「……これ罠じゃね?」
――えっ
「いや……イシュタリアって伝説の武器だろ?99年前まで存在が隠されていた、アレ。」
「本物じゃないんですか?」
「露骨すぎる。音声だけってのも臭い。」
――臭い?!えっどこ?!……じゃなくて。罠じゃないんです、お願いしますよ。
「無理。ここ最奥みたいだし、帰るか。」
「……そう言われると、罠っぽいですね。帰りましょ。」
――ステイステイ!!帰らないで!マイネーム・イズ・イシュタリア!ホントですって!
「「嘘くせー。」」
ハモリました。
――ああもう!仕方ないデスねぇ!!
すると、剣が眩い光を放ちました。
「……これで信じてくれマスか?」
そこには、女神様と言われても信じてしまう程の美しい女性が立っていたのです。
この素晴らしい旅路に花束を!~この素晴らしい世界に祝福を!二次創作~ 狐面 シノ @chibifox505
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