2‐3「ジャイアントトードの群れなのです」

アクセルの街から徒歩一分の平原。

夏の日差しが照りつけるこの平原で、ワタシ「シルル・ベルメール」はとんでもない状況に巻き込まれています。


「…なあシルル。俺たち、完全にタイミングを間違えたな。」

こいつは「どらど」。紅魔族の連れで、クリエイターです。


「今回は、まともなことをいいますねー。ワタシも同じ意見ですよー。」

「笑って言うことじゃないだろっ…!」

どらどは苦虫を噛み潰したような表情でツッコミを入れました。

まあ実際それくらいの状況なんですけど。


「だって…!いくら恋人無しのジャイアントトードが、今年はわらわらいるからって…これじゃあ…!!」


そう。何が起こっているのか。


時期外れの産卵期を迎えようとしているジャイアントトードが、目の前で交尾していたのです。



「確かに、タイミングは最悪ですよー。でも、倒さないと進めませんよ?」

「そんなこと言ったって!!男の本能を妨害するとか…無理に決まってるだろ!!」

「今、関係ないですよねー?」

どらどは、自分から誘っておきながら、のこのこと帰るつもりなのでしょうか。


すると、オスのジャイアントトードがこちらを向きます。

両者石のように固まり、数秒後。


「…あ。」

ケロケロ、ゲコゲコ。どこから湧いてきたのか、ジャイアントトードが追加で十匹程。


「あらー。他の見物客もいたみたいですねー?ねーどらど?」

「えっ…あの皆さん…こんにちは…いい天気ですね。」


その直後、ジャイアントトードはこちらに殺意を向けてきました。




「だぁぁぁああ!!お前らも見てたんだから、お互い様だろぉ!!!」

「しょうがないですよー。神聖な儀式ですものねー?」

「シルルも見てただろうがっ!!!」


目的地まであと五分。アクセルの街はもう見えないのに、ジャイアントトードたちは追いかけ続けました。往生際が悪いですね。


「___あっ?!」

直後、どらどが車輪のようにズッコケました。


「どらど?!」

「シルル…すまない。」

「なんで諦めるですかー!!せっかくここまで走ってきたのにー!!」


じりじりとにじり寄るジャイアントトード。

「ふっ…俺にはこんな死に様が似合うさ。」

「…ぬるぬるで死ぬのがカッコイイですかー?」

「__全然良くない!!助けてシルルぅ!!!」


しょうがない奴ですね。

ワタシは、持っていた大剣を大きく振りかぶり__。


「てぇぇえええりゃあぁぁ!!!」

ジャイアントトードに一撃。まずは一体、真っ二つ。

「どらども手伝ってくださいねー?」

「ありがとうシルル様ぁ!!よし、行くぞ!」


どらどは杖を宙に浮かせると、それを遠隔操作し円を描く。

「地の根源は我にあり。隆起せよ…『ストーンサークル』!!」

すると、岩が地面から飛び出し、ジャイアントトードの動きを封じた。


「今ですね…!『ベヒモスマッシュ』!!」

空中で大剣を振り下ろし、大きな衝撃波を生み出す。

その攻撃は群れに直撃。何体か生き残りましたが、逃走可能になるくらいの深手を負わせました。


「よし、逃げるぞシルル!!」



そして、遂に『ブルームダンジョン』へ到達。

果たしてどんなお宝が待っているのでしょう…。



「せーのっ!あっちむいてほい!!…やっぱり、一人でやるのは難しいわね。」

「…ん?誰か来たのかしら?…こっそり見てみよっと。」

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