第7話 カフェ

エレベーターで一階へ降りタリーズへ向かう。


店内が混み合っていたのでテラス席にした。

薄い雲がかった柔らかな日差しが

テラスに心地良かった。

寺西君がコーヒーとカフェラテを運んできた。



コーヒーを一口飲んでフリスクを放り込み

ガリガリ音を立てる。


「相変わらずだね。さっき映画を観てる時も

ポップコーンをガリガリ食べてたよ」

「ごめん。気を散らせてしまったかな」


自分で言っておきながら相変わらずも何も

一昨日会ったばかりなのに。

それでも私にはそんな気がした。




「私が観たかった映画に付き合わせて

ごめんね。

ラブストーリーなんかつまらないかなって気になってて」


「いや、俺は小説だけでなく

映画も観るものが偏ってる。

思いのほか良くて、今まで観た

ラブストーリーの中では一番だった」



日差し かすかな風 カフェラテの香り

柔らかく静かな時間がゆっくり流れている。



観た後に語りたくなるのが良い映画なのだろろうな。


「自立しながらも欠乏感を抱えたふたりが

偶然の手紙を介して少しずつ穏やかに

波長を合わせながら慈しむ展開が良かった」


「湖の辺の家と季節が移る自然や

シカゴの街並みとか

映像もきれいだったし、音楽も良かったね。

大人の落ち着いたテンポで物語が進む感じが

良いなぁって思った」



たわいもない話と、ふたりの間の空気

肌に触れる夕方の日差しと緩い風

日曜の街の匂い

この時間が止まったままずっと続けば良いのにな。



いわゆるデートムービーだったけど

あの映画のような穏やかで柔らかい雰囲気の恋愛を

私もしたいなと思った。


自分でも気付かない位ゆっくりと

互いの波長がシンクロしてゆくように

進んでいくと良いな。




まだ2日しか経ってないけど

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