第8話 余韻

千里がスマホを確認する。


「お母さんがシティタワーで買い物するから

こっちに来るみたい」

「そうか。俺は電車で帰るよ」


マグカップを戻しタリーズを出る。


「じゃあ、私はあっちだから」

「ああ。また明日」



手が離れる。

別れて駅へ向かう。

日が暮れ始めてきた。


 


ホームは次の電車を待つ人でやや混み合っている。

フリスクを放り込み音を鳴らして噛む。


何度も見てる車窓が少し遠く感じる。

もうしばらく余韻に浸っていたい。



電車に揺られながら窓の外を眺めていたら

YouTubeで見かけた、とある曲をふと思い出した。

イヤホンを着ける。

 

Amerieという昔のR&Bシンガーの曲らしい。

『 Why Don't We Fall in Love 』

来た時と違い自然と曲に聞き入ってゆく。



一昨日、図書室で初めて会ってから

今までの事を振り返る。

この曲が俺達の波長に合っているのだろうな。

 



俺にはそんな気がした___




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