第7話
九郎が会議を放り出したからと会議は止まることはない。
異国では『ポーション』と呼ばれ合法とされるソレは大灯国においては指定違法薬物『増幅薬』として異国より持ち込むことを禁じられた薬だ。
そして、『カルミア』は増幅薬や他の違法商品を国内に持ち込み売り捌く大灯国にとって厄介な組織なのだ。
「密偵によると『カルミア』の末端組織まで行き渡る物ではないはずですが・・・」
眉間に皺を寄せ発言したのは若緑色の差し色を入れた隊服を纏う
「元々、今回の強制執行は商館を潰すだけの仕事だったんだが。思わぬ収穫ってやつだな」
火ノ杜の態度が気に入らなかったのか茶原は卓に拳を叩きつけ立ち上がる。
大きな瞳からうっすらと若緑色の揺らめきが漏れだす。
「何を悠長に構えておられる!!把握してるだけでも『カルミア』の構成組織は二十六!その全てに『増幅薬』が出回っているとなれば!」
「落ち着け」
「・・・!!―――申し訳ない」
熱を帯びた茶原は、静観していた
「引き続き密偵達には探りを入れてもらう。新たに末端の組織の幾つかにも密偵を送ることにしよう」
天宮が視線を他の執行部長に送ると、それぞれが返事をする。
「ハハッ。相変わらず、茶原の嬢ちゃんは抑えが効かないご様子」
「火ノ杜。お前もいらぬ事を言うな」
「・・・あいよ」
天宮に釘を差された火ノ杜は冷めた視線を再び天井へ向ける。
「それで、増員はどちらから?」
付いた肘に顎を乗せた
「うむ。増員は灯先より出していただくとしようかのう」
ここまでは総代と天宮様、円城路様の仕込というわけですね。
事の行く末を見るスミレの視線は執行部長たち同様に総代から
異国がすぐそばにある本土と切り離された島、灯先からですか・・・身内を疑っておられるのですね。
「いいでしょう!是非!御助力させてもらおう!」
はっきりとした声音で灯先が自信たっぷりに頷くと総代も白髭を弄る手を止め頷き返す。
「では、次じゃ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます