第4話
「・・・」
いつ来ても慣れん。
各所執行部長らが本部に召集される際に使用される大部屋の円卓に肘をついて視線を卓に落とす九郎は、張り詰めた空気に内心冷や汗ダラダラで「はよ始まれ。そしてはよ終われ」と懇願する。
まだ、誰もいない室内ですでにガチガチの九郎は見るに耐えないものだが、それは彼の人の本性を知るものにしか伝わらない。
「佐倉部長。まだ誰もいませんよ」
「わ、分かってる」
だけど、なんか落ち着かない。
どっかから誰かに見られてんじゃねーのか?
会議規定でスミレしか連れて入ることができないし、出されたお茶なんて喉を通る音が室内に響き渡るような気がして飲めたもんじゃない。
「失礼する。・・・むむっ。浜渡の坊主じゃねぇか」
ヒィィッ!?
突然扉が開いたことで付いていた肘は卓から離れてしまう。
さらに野太い声が響くと緊張のあまり背筋が伸び切ってしまった。
「・・・天岩殿」
「クハハッ。久しいなっ。しっかし相変わらずの死神面だなおいっ」
天岩の護守人、
大黒と似た体つきであるが纏うものと厚みが段違いだ。
それに、ゲハゲハと豪快な笑いを演出する浅黒い肌と彫りの深い顔面に無精髭。
怖い・・・。
「九郎様、スミレ殿。ご無沙汰しております」
天岩がズカズカと円卓の一席へ向かい出すと後ろに控えていた青年が背の向こうから現れる。
人の良さが滲み出るような華やかさを持った天岩の副官である
「時雨殿。こちらこそご無沙汰しております」
既に満身創痍になり固まってしまった九郎に代わってスミレが頭を下げる。
時雨も去り、天岩の茶をすする音とだけが響く気まずさに耐えていると続々と各所部長と副官達が扉を開いて入ってくる。
円卓の席を埋めていく彼らの名を一人一人思い出す。
天宮の
火ノ杜の
東の
灯先の
茶原の
円城路の
そして天岩の天岩源治と水戸時雨。
最後に俺たちを加えた八人の長と副官。
灯ノ下の主要都市である通称「八所」の長達は無言で総代が現れるのを待つ。
めっちゃ気まずい。
早く来いよ総代・・・。
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