大人編 秋次郎の相棒、クローディア

  

 ルークは鎌倉警察署の秋次郎に、「参加者40人のスマートフォンやパソコンに、不登校者や一人で子育てをしている親、温泉小や源泉中の教師への暴言が多いですね」とため息をつきながら言った。

 秋次郎が「『凶器』として使われた40台のスマートフォンやパソコンを、鎌倉警察署にある20個のハンマーで使えなくしたよ。

 書かれていたことはメモ帳に書き残し、手帳に貼るんだ」と答えると、肩に乗っていたメスのコミミズク、クローディアがブルーシートに止まって丸太の上に座っている男女を見た。


 「砂浜で丸太に座ってビールを飲むと、踊りたくなる!」拓也の父親でカメラマンの石松千太郎と、妻でテレビ局アナウンサーのトミコがビールを飲み踊っている。

 クローディアが大声で鳴きながら、かぎ爪で千太郎のカメラとトミコが持つ手鏡に

傷をつけた。二人は激高し、木の棒を振り回してクローディアの目に当てようとする。

 ルークが二人に近づき、「『ビーヘイバー』での飲酒は禁止です。子役の仕事で得たお金で、あなたたちが酒を飲んでいると拓也くんからも聞いています」と毒バチたちを見ながら言う。

 二人は激怒した毒女王バチに腕を刺され失神し、秋次郎に手錠をかけられ鎌倉警察署へと送られていった。


 「ありがとうクローディア」ルークが顔のまわりの羽をなでると、クローディアは

小声で鳴きながら丸太の上に止まりあくびをする。

 「12歳の娘の腰を蹴った46歳の母親が、クローディアの鳴き声を聞いて冷や汗をかきながら玄関に座り込んだんです。

 女の子は鎌倉警察署の個室で、毎日クローディアに温泉小の授業やテニス部の話をしながら笑みを見せています」


 秋次郎が言った時、「火事だ‼」と短髪を紺色に染め『マラソン』と白い字で書かれた紺の半袖シャツとベージュのズボンを着た23歳の息子トウジや5人の男子大学生たちの声が聞こえて来た。

 『ビーヘイバー』参加者の一人で茶色のパーカーとズボン姿の元タクシー運転手、純子が地面に投げたスマートフォンが太陽の熱で温度が上がり燃え始めたのだ。

 ルークがホースを持ち、水をかけるが火は桃や真希、和希たちがいるベージュのテントへと近づく。

 強一や亮介、美月たちがアーノルドから渡されたペットボトルのフタを開け、ルークのホースに水を入れていた。


 高見家のメスの黒柴ようかんが、桃に向かってちぎれるほどしっぽを振りながら一緒にベージュのテント内に入る。

 父親の和希と母親の真希が、「娘と待っていてくれ」「火を消してくるわ」と言ってようかんの耳をなでてからトウジや男子大学生たちと一緒にホースを引っ張り、水を出す。

 クローディアがかぎ爪で持った小さいハンカチ20枚を亮介たちに渡し、直美のいる紺色のテントへと入っていった。


 


         


 

 

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