第32話 エドルマンの驚愕
エルクハイムに手紙を出そうと書き始めて気付いた、俺が飛んで行けば遥かに早いし飛行訓練にもなる。
六人を集め、飛行訓練を兼てエルクハイムに行って来ると伝えて留守を頼み、ウーニャが全責任を持って指揮しろと留守を預けて深夜に出発した。
夜間飛行は怖いので、王都を出て少し飛ぶと地上に降りて一寝入り。
夜明けと共に出発、高度を約1.000m程度に上げ一路エルクハイムへ、方向案内はフィーィ達だ。
一族の半数が俺の旅の補佐に付き、残りはフィーェと共にウーニャ達と留守番だ。
三日目の夕方にはエルクハイムに着いた。
急いで飛んだ訳ではないが、やっぱり空を一直線に飛ぶと早いわ。
陽が暮れるのを待って屋敷の庭に降り立つ。
* * * * * * * *
「ただいまノイエマン、問題なくやってる」
「アルバート様お帰りなさい。お出迎えもせずに失礼致しました」
「あっ気にしなくて良いよ。空を飛んで来たので用が済んだらまた直ぐに引き返すからね。この屋敷の設計図が欲しいんだ」
「設計図は直ぐに出せますがどうしたんですか」
「王都に屋敷用の土地を貰ったんだ。そうだ未だ秘密だけれどハイド男爵が子爵に陞爵、エスコンティ伯爵様は候爵に陞爵したんだ。で、俺は伯爵になり、王都に土地を貰って年金貴族って事にされてしまったんだよ」
「それは、おめでとう御座います」
「俺の事は貴族扱いをしなくて良いので、今まで通りで頼むよ。未だ連絡が来てないと思うので黙っていてね。候爵様と子爵様には、お祝いを当日に渡したので改めては必要ないよ」
ノイエマンが図面を持って来るまでの間、ヤーナにお茶を貰って先ほどノイエマンに伝えた事をヤーナにも説明した。
「ヤーナ、メイド達は何人居るの。俺のやり方に慣れた者を、何人か王都の新しい家に来て貰いたいんだ。取り合えずはオーセン宰相に頼んで人を世話して貰うから何とかなると思うけど」
「新に五人程雇っていますが、もう少し増やしておきますね」
「それとハイド子爵がアラモナの領主に為ったんだが、元の領主が取り潰しになっていて屋敷は最低限の人数で維持されている。だから人手が必要になるかも知れないので、多めに雇っておいてね。候爵様も人手を出すと言っているけど多分足りないと思う、領地と王都の二カ所の屋敷だからねぇ。陛下の野郎、面倒事を押し付けやがって、糞!」
ヤーナは賢明にも最後の言葉は聞かなかった事にした
ノイエマンの差し出す図面を受け取り、夜の闇に紛れて王都に向けて飛び立った。
帰りは慣れて二日で帰り着いた。
* * * * * * * *
「ウーニャただいま~、上手くやってる」
「アルお帰り。宰相陛下からの使いが来たが、戻り次第連絡すると伝えておいたよ」
「あぁ王都の事情に詳しい執事を、お願いしておいたんだ。貴族風を吹かさない気さくな人をね。明日行ってみるよ」
オーセン宰相が紹介してくれた執事はエドルマンと名乗り、虎人族とエルフ族とのハーフで2メトル以上の隆々とした体格だった。
見掛けは虎人族だがエルフの血のせいで結構な歳らしいく、壮年に見えるが歳は教えてくれなかった。
翌日貰った土地に来てもらい、ウーニャ達を紹介した後で家の図面を見せ意見を聞く。
伯爵としての体面は必要無い無視しろ、小金持ち程度の内装で簡素で実用優先な造りにしたいのだと説明する。
図面を見ていたエドルマンは建物の左右を一部屋づつ増やし部屋と廊下を少し広げれば王都で通用する屋敷になりますと答える。
エドルマンに正門の位置を決めさせて60cm程の門柱を土魔法で造る、塀が5mなので門柱は8mで横に桟を入れ冠木門にした。
驚くエドルマンを無視して屋敷建設予定地に行き、地面を平らに均し玄関の位置決めの後建物の外周を建てる。
次は内壁を造り部屋毎に仕切りを入れ、大きさの調整をした後で天井を張る。次々と部屋が出来天井を張り最後に緩やかな屋根を造って終わり。
一度造っているので慣れもあるのか早かったし、地下の食料庫と酒蔵も抜かり無い。
呆けているエドルマンに、内装は業者を選定して希望にそって仕上げる様に命じる。
明日業者を呼びますとの返事に、概算の予算を決めてもらい工事に掛かることにする。
忘れていたフィーィ達の住む家を建てなきゃと直径6m高さ30mで上を4mと少し絞った円柱を建てる。
「これはなんで御座いますか」
「あぁ忘れていた。紹介するよ」
《フィーィ、フィーェ居るかい》
《居るよ、アール何かな》
《紹介したいので、来て欲しいのだが》
突然俺の横に現れたフィーィ達妖精族に、驚き退け反るエドルマン。
「紹介するよ俺と友誼を結んでいて、共に在る妖精の一族だ。一族と言っても集団や集落の事だがね」
妖精達との会話に必要な方法を教えエドルマンに目を閉じさせる。
フィーィが額に手を当て、暫くして離れる。
《フィーィだよ判る》
「はっは、はい判ります」
「声に出しても彼等には理解出来ないよ。心の中で考え語り掛ければ良いよ」
そうして、驚愕の表情のエドルマンが疲れた顔で帰って行った。
* * * * * * * *
エドルマンは内装関係者を連れて来て俺の希望を伝え、関係者達に間違いなき様にと確認する。。
簡素で実用的な小金持ち程度の見栄えで良いが、材料は吟味し室内は全て板張りで暖炉風のストーブ以外剥き出しの壁の無い様にと伝えた。
内装関係者の一人が、大量に木材が必要になるが王都内から調達すると、値上がりして高額になると言われた。
建物の前に業者を連れ出し、空間収納に保存している大小様々な木を大量に出して見せ、この程度有れば足りるかと確認。
業者が目を剥いて取り出した巨木を見ているが、もっとも目を剥いて見ていたのがエドルマンで在る。
エドルマンは震える足で近寄りマジマジと見つめ震える手で取り出したのは、漆黒に所々白い筋が入った固い木だ。
太さはさほどないが、10m程の木三本の匂いを嗅いで頷くと、慎重に運んで別にの場所に置く。
「アルバート様、これは?」
オイオイ声まで震えているよ、どうしたのかと尋ねる。
「この漆黒に所々白い筋の付いた木は香木です。これは妖精木とか妖精香と呼ばれ、流木で極たまに見つかる珍品中の珍品です。見つかればオークションに掛けられて直ぐに消えていきます。王家の宝物殿にも小枝が保存されている筈です」
またまた面倒な物が見つかったぞ。
と言うか、初見でそんな珍品を良く知っていたな。
「これは、フィーィ達妖精族が好む香りを持つ木で、彼等は時々燻らせて楽しんでいるぞ。たまたま森で見つけたので、頼まれて三本程仕舞って置いたんだ。フィーィ達も短い木を持っていて時々削った物を燻らせて楽しんでいるな」
〈はぁーっと〉と大きな溜め息を吐いている。
そんな事より取り出した木を業者に確認すると、これほどの巨木を多数見るのは初めてだと感心している。
直径6、7m長さ10~15m程度の巨木がゴロゴロと転がっていて、本数は知らないが全て立ち枯れた物なので、直ぐに使えるだろう。
結局製材の為に俺が材木商の所に運び製材してもらう事になったが、俺の所に必要な分を取り分けた残りは、高値で引き取る事で合意した。
内装関係者に出させた見積りで二人の業者を選び、一階と二階を一人の業者に遣らせ三階をもう一人の業者に決め全ての階は同一素材で造ると決めた。
必要になれば三階のメイド達の部屋を客間に改装出来る様にだそうだ。
必要な使用人達はコック、メイド長、厩番や御者等主要者をエドルマンに任せることにした。
メイドは慣れた者を数人エルクハイムから呼ぶので、メイド長と補佐にすると決めた。
他のメイドや馬丁や庭師警備員は、ベテランが現在集めて教育している者達を鍛えれば良い。
人員は多めに雇い入れ、ハイド子爵の所に送る者も鍛える様にしたいと考えている。
内装工事が始まる前にエドルマンを連れて商業ギルドに行き、彼が管理出来る口座を開設して金貨6.000枚分六億ダーラを入金した。
俺が居る時には週一で収支報告書を見せれば、後は任せると告げる。
ふっふっふ、これで面倒事はエドルマンに丸投げだ。
商業ギルドを出ると、エドルマンが二つ程早急に決めて欲しい事が在ると言いだした。
ひとつは苗字と今一は家紋を制定して欲しいそうで、どちらも要らぬ揉め事を避ける為にも必要だと力説された。
名前はショーゴ・アルバートだ鳴海翔梧からだが、万一転位者か転生者が居ればショーゴで気付くかも知れないので。
家紋は円を四つ組み合わせた物で上下に二つの輪を接触させ、もう一つは左右の輪を接触させた物を重ね四つの輪が重なり合う家紋に決めた。
勿論日本の我が家の家紋だが由来は知らない! 興味が無かったのだ。
これも日本の家紋を知る者が見れば、ヒントになるだろう。
翌日エドルマンが王宮に出向き名前と家紋を登録してきたので、これで正式にショーゴ・アルバートとなりアルバート伯爵と呼ばれる事になった。
家紋を見れば伯爵位に在ると一目で判るらしいが、興味の対象外。
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