第23話 処分

 ブラックカード見て動きが変わったよ。

 

 「ギルマスのヤンセンですか少々お待ちを、失礼ですがお名前を」

 

 アルバートだと名乗るとそそくさとカウンターの奥に消える。

 ブラックカード凄げぇなー、成人前でギルドカード持てないから良い身分証明だと思っていたけどギルドカード作ら無くても良いかな。

 

 「アルバート様お待たせしました。今日はどの程度卸して頂けますか」

 

 「先ほども言いましたが、ホーンラビットが50匹位野豚が10頭位マウンテンシープも10頭位で後オークも10頭位出したいのだけど大丈夫ですか」

 

 「その位なら問題在りません。ですがオークはどの程度お持ちですか」

 

 「オークは多分100は超えるかな」

 

 「分かりましたオークをもう10頭程出して貰えますか。今解体場に案内致します」

 

 「ヤンセンさん敬語は不要ですよ。それにアルバートと呼び捨てで結構です」

 

 「いえいえそう言う訳には参りません。周囲に問題を起こさせ無い為にも必要です」

 

 肩を竦めるだけにして解体場に案内して貰う。

 解体場のバールカと名乗る責任者が現れ場所を指定して来る。

 先ずホーンラビットを50匹、間違わない様に10匹づつだす。

 次に野豚を10頭にマウンテンシープを10頭

 オークは20頭欲しいと言っていたな。

 

 並べる終わると解体責任者のバールカが唸りながら他にも持っているか確認してきた。

 何が欲しいのか聞くと野牛が欲しいんだが最近採れないんだよとぼやく。

 野牛を10頭出すと喜ばれた。

 

 「坊主が王宮でレッド種10体出したアルバートか」

 

 「はい、そうですけど余り話題にはしないで下さいね」

 

 「判った。ギルマス暗闇の森の奥の獲物も貰って良いか。最近品薄で困っているんだよ」

 

 「パープルやレッドは無しだぞ。王宮で各種10体も売り払ったすぐ後にギルドから出すのは不味いからな」

 

 後ろで俺達の遣り取りを聞いていたドガール様と護衛のヤハトマとクースが呆れている。

 その後追加でゴールデンベア、ブラックウルフ、グレイウルフ、ブラウンベアやら、ラッシュウルフ等十数頭にフォレストスネイクまで要求されて提供した。

 

 ギルマスのヤンセンさんがレッド種の支払いが有るのでギルマスの部屋までよばれた。

 ギルマスルームのソファーに座ると黙って一枚の紙を差し出す。

 

 ゴールデンベア・レッド、金貨850枚

 ブラウンベア・レッド、金貨680枚

 ブラックウルフ・レッド、金貨760枚

 斑のラッシュウルフ・レッド、金貨880枚

 シルバーフオックス・レッド、金貨1050枚

 グリーンフオックス・レッド、金貨630枚

 ホーンボア・レッド、金貨550枚

 ビッグホーンボア・レッド、金貨800枚

 ワイルドボア・レッド、金貨750枚

 フォレストタイガー・レッド、金貨900枚

 合計金貨7.850枚

 ギルド手数料20%金貨1570枚

 差し引き金貨6.280枚 62.800万ダーラ

 

 「はぁー凄い金額になってますね」

 

 「まあまあ妥当な金額になっていると思うぞ。ホーンボアの様に洒落で書いたら買えたってのも有るしな。ギルドに預けるか。商業ギルドでも良いぞ」

 

 「これって冒険者ギルドと商業ギルドの両方に預けたらどうなるんですか」

 

 「どちらに預けても合算されるから問題無い」

 

 「じゃー冒険者ギルドに預けます。今日の代金も振り込んでおいて下さい。詳細は後日で良いです」

 

 冒険者ギルドに用が有る時は受付カウンターがどんなに混んでいても、横からブラックカードを示して俺かサブマスを呼び出してくれと言われた。

 冒険者御用達の服を誂えたいので良い店の場所を聞き礼を言って冒険者ギルドを出た。

 

 「アルバートって無茶苦茶だね」

 

 「ドガール様、私は無茶苦茶なんてしてませんよ」

 

 「でもギルドで出したあの魔獣と野獣の数を見ればそう言いたくなるよ」

 

 「あれは森を歩いていると襲って来た物だけを倒したんです。獲物を求めて殺しまくった結果では在りません」

 

 「森を歩くって暗闇の森だろう、それも谷の向こう側。聞いた話しでは谷の向こう側に行けるのは、ゴールドランク以上でパーティーを組んだ者達だけだそうだよ」

 

 「パーティーねぇ、別に一人でも問題無いけどなぁ。あっ此処だ」

 

 護衛の二人が苦笑いしながらついて来る。

 

 店に入るとローブ、フード付きジャケットパンツ、ブーツや帽子か飾られている。

 店員に今着ている物より高性能なフード付きジャケットとパンツにブーツが欲しいと告げる。

 俺の着ている服を確認してから徐に奥から生地を抱えてやって来た。

 

 「この生地ですと奥地の機織り蛛から作った生地で丈夫な上に撥水能力も高いし強い魔法付与にも耐えられます。魔法付与は7~9個位は付与出来ます。但し魔法付与は専門の付与師にお願いして下さい」

 

 フード付きジャケットとパンツ、膝下丈のフード付きローブとブーツを注文した。

 フード付きジャケット、金貨22枚

 パンツ、金貨15枚

 フード付きローブ、金貨12枚

 ブーツ、金貨15枚

 合計金貨64枚で各二着作ったので金貨128枚だ、ブーツは二足も要らないかとも思ったが有っても困らないし空間収納に入れておけば問題無し。

 

 「ドガール様この後魔道具店に寄りますがドガール様は先に帰られますか」

 

 「いや面白いから着いて行くよ。冒険者の使う物なんて初めて見る物ばかりだし勉強になるよ」

 

 「別にコンロとか簡易ベッドとか寝袋が勉強にねぇー」

 

 魔道具店に入るとドガール様玩具箱の中に入った様な顔つきでワクテカ。

 俺は魔道コンロや魔石ランプに幅広の簡易ベッドを購入包丁代わりの少し大きいナイフも一つ買ってドガール様を見るとテントを覗き込んでいる。

 

 「アルバートテントは買わないの?」

 

 「俺はテントは必要無いんです」

 

 「でも夜にはどうするの、雨の日も」

 

 不思議そうに聞いてくるので俺は土魔法が得意なので土でドームを造るんですよ。

 見たいと言うので帰って護衛騎士達の訓練場の一角を借りて、直径5メートル程のドームをつくって説明する。

 

 「これで暗闇の森の奥地でも安心して眠れますし見張りも不要です」

 

 「大型の魔獣やパープル種レッド種に襲われたらどうなの」

 

 「壊れませんよ。試してみます」

 

 護衛のヤハトマがこれを攻撃してみても良いかと聞くので存分にやって下さいと勧める。

 このドーム厚さ5センチで俺の魔力をごってり入れているのだ、ロングソードが刃零れしたり折れても知らないぞ。

 

王都の伯爵邸での暮らしは退屈の一言フィーィとフィーェは王宮の中の森に居を移して結構楽しくしているらしい。

 でも広い森の方が楽しいので王都から外れた森に他の仲間達が移動してきて集落を作っているので良く遊びに行くと聞いて王都を出ることにした。

 

 夕食の時に伯爵様にそろそろ王都を出るつもりだと告げる。

 行き先はエルクハイムだが森を抜けて帰るつもりだから護衛は要らないと告げる。

 

 伯爵様慌ててましたが陛下に頼んだ魔力測定盤はどうするのかと聞くので、手に入ったら受け取っておいて貰えますか頼んでおく。

 直ぐに出発するのかとの問いには2~3日市場で食料を買い込んでから出るので王都には未だ居るが明日の朝には伯爵邸を出ると告げる。

 市場の近くの宿に泊まって買い物しないと伯爵邸からでは時間が掛かって不便だからね。

 

 陛下に別れの御挨拶はしないのかと問われたので、俺は陛下の臣下では無いし何か依頼を受けている訳でも無いので必要ないでしょうと切り捨てる。

 

 伯爵様諦めて首を振ってるよ。

 又珍しい物が手に入ったら売りに王都に来ますから、それに王都にはエルクハイムで手に入らない物も沢山あるからこれっきりでは在りません。

 

 「いずれ王都滞在用の家でも買う予定ですからその時には宜しくお願いします」

 

 と頭を下げておく。

 ドガール様が羨ましがっっていたがドガール様と俺とでは基本的に住む世界が違うからね。

 

 翌朝食事を済ませた後、伯爵邸の皆様に謝礼を言って別れを告げた。

 貴族街から冒険者ギルドまで遠いので馬車で送ってくれた。

 

 ギルドに寄れば又別れの挨拶等で長くなるのは目に見えているので、中には入らず市場に向かうが朝とはいえもう陽も高く屋台等は昼食の準備に余念がない。

 良い臭いがする屋台に寄り道しながら摘み食いし美味しければ4~5人前から7~8人前を買い込んで空間収納に保管する。

 思ったより大量に買えたので早めに宿を探す。

 清潔そうな宿を見つけ早めに寝て早朝王都を出るとしよう。

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