第17話 潜在能力

 冒険者ギルドサブマスのグリムスさんに面会、以前ギルドで魔力を測定した魔道具が欲しいのだが、どうすれば手に入るか聞きに来た。

 

 魔力測定盤と身も蓋も無い呼び名だが冒険者ギルドや商業ギルド教会と貴族位しか持って無いし無茶苦茶高いらしい。

 冒険者ギルドに有る魔力測定と魔法の能力の有無だけを判定する魔力測定盤ですら金貨200枚すると言われた。

 魔力測定盤でも魔力と各種魔法の潜在能力の有無迄測定出来る魔力測定盤なら金貨500枚は必要になるらしい。

 

 但し魔法の潜在能力が有ると判定されても発現するかどうかは神のみぞ知るだそうだ。

 

 金貨500枚、5.000万ダーラか

 聞けば大きな街の教会に行けば各種魔法の潜在能力判定迄出来る魔力測定盤が有る。

 但し銀貨5枚の嬉捨が必要になる。

 まぁ5.000万ダーラもする物を使うなら当然だな。

 それに銀貨5枚で魔力と魔法の潜在能力が判るなら金貨500枚も支払う必要は無い。

 

 裕福な者や貴族なら銀貨5枚を払って調べるだろうが平民や貧しい者には無理だ。

 生活魔法の様に多数の者が自然発現して使えるのなら魔力自体は有る、どの様な属性魔法の潜在能力が有るのか知らなければ努力のしようも無いって事だな。


 四大魔法の風水火土に雷氷結空聖闇が10大魔法と呼ばれ、普通に魔法と言われるのは風水火土と生活魔法の5つらしい。

 生活魔法は使える人が余りにも多いので魔法とすら認識されて居ないようだ。

 雷氷結が次に発現し最後が空聖闇は極めて少なく普通に魔法と呼ばれる範疇から外れるので普通は魔法と言えば風水火土になってしまうのだと。

 

 魔法の原点に返れば、先ず生活魔法が使える様になる。

 俺もそうだった。

 生活魔法でもクリーンが使える者が3人の内2人だと聞いた、と言う事はその2人はクリーンが使えない者より魔力量が多い事になる。

 

 クリーンが使える者は使えない者よりも生活魔法の便利度が格段に上だと聞く。

 薪の着火の炎も何とか焚付けに火が付くものから、薪に直接火が付くのと差が大きい。

 ウオーターはコップ一杯の水から料理に使う鍋一杯の水の差だし。

 ライトは手元を照らす明かりから部屋を煌々と照らす明かりだそうだ。

 

 完全に魔力量の差に依って使える魔法の威力を示している。

 生活魔法が使える者は風水火土の魔法潜在能力者といえる。

 

 そうなると妖精族は防御結界と雷撃に空間収納を全員使えるし複数魔法も使っているよな。

 

 現在俺の使える魔法は土魔法・防御結界・雷撃魔法・空間収納・生活魔法で他の能力は不明だ。

 父母に習ったのは之だけで他の能力の有無すら知らない。

 防御結界と雷撃魔法は人並みより劣る位だったが魔力が上がるに連れ強力になった。

 

 魔力量の増大が強力な魔法になるのなら雷撃と結界に空間収納が使える俺は全ての魔法を使う魔力を有する事になる潜在能力の有無は別にして。

 

 魔法の発現は何らかの理由で魔力量が上がった結果、潜在能力として持っていた魔法が使える様になっただけなのだろう。

 とすれば潜在能力が有ると解れば先ず魔力量の増大を優先し魔力の増大に共なって魔法の練習をすれば・・・うんラノベの知識は偉大だ。

 

 この理屈が正しいなら、それに母親が言っていた母親の曾祖母がエルフ族で俺がエルフの先祖帰りなら異常な魔力量の説明が付く、潜在能力が有れば潜在能力の示す魔法が使える筈だ。

 エルフ族は魔法を得意とし様々な魔法を使うと、これもラノベの知識だが。

 

 住宅街が周囲を囲む誰にも見られない敷地、良いものを作ったなぁと自画自賛。

 敷地の中央に立ち魔力を絞りソフトボール大の水球をイメージする。

 先ず水滴を思い浮かべその水滴に雨の如く次々と水滴を加える。

 ふと目を開けると巨大な水球が目の前に有るではないか、びっくりしてイメージが途切れた瞬間に水球は崩れ落ち俺はびしょ濡れになった。

 

 うん、ラノベのお約束の出来事だね。

 此処での魔法の練習は不味いので森でやろう、森の奥なら少々の魔法を使っても誰にも知られないし安全だ。

 

 それと他人に知られず自分の魔力量と魔法の潜在能力が知りたい。

 他に妖精族や使用人達の能力を知るためにも魔力測定盤が必要だが手立てが無い、伯爵様に相談するのが最善か。

 

 ノイエマンに今度は30日程度森に行くと伝えコステロには大量のスープとパンステーキにその他の副菜を作って貰う。

 

 森に行くと言えばノイエマンが煩いだろうから、先手を打ってハイド男爵に面談を申し込む事にした。

 翌日馬車でエスコンティ伯爵邸に出向き執事のナリヤードに迎えられハイド男爵と面談。

 

 「又暫く森に行こうと思っているのですがノイエマンが煩いんですよ。でこちらから護衛を差し向けられても邪魔なので前もってお断りに来ました」

 

 しれーっと一々干渉するなと釘を刺しに来たと告げる。

 ハイド男爵が苦笑している。

 

 「今度はどれくらいの間行くつもりだ」

 

 「まぁ一月位の予定ですけど。それと伯爵様がお帰りになられたら、教会に有る様なお高い魔力測定盤が欲しいのですが御協力頂けるか聞いて貰えますか」

 

 「あんな物をどうするのだ金を溝に捨てる様なものだ。教会に行けば銀貨5枚で調べて貰えるぞ」

 

 「色々と考えている事が有りまして」

 

 ニヤリと笑って答えを濁す。

 

 「護衛はなぁ」

 

 「どうせ裂け目より奥に連れて行くつもりは有りませんし、冒険者だって行きたがりません」

 

 「いや森の奥より街中の事がな」

 

 言葉を濁すハイド男爵に伯爵家が信頼出来る冒険者を、数名護衛に付けて森入るのはどうだと提案する。

 但し今回は20日近くも待って貰う訳にもいかないので、裂け目迄の護衛で引き返して貰うと納得させた。

 2日後には出かけると伝えると、2日後の朝には俺の家に向かわせると話がついた。

 

 帰ってノイエマンに森に行くから2日後の朝に護衛の冒険者が迎えに来ると教える。

 先手を打たれたと悟ったノイエマンははいと返事を返すだけに止めた。

 

 ヤーナに冒険者達が迎えに来ていると起こされてもそもそと起きる。

 冒険者達の食事の用意を頼んで後から食堂へ、5人の冒険者が食卓に座っていたが2人は前回も同行したドルマンとキリンザだ。

 立ち上がろうとする冒険者達を手で制して挨拶をする。

 

 「おはようドルマン、キリンザ今回も来てくれるんだ」

 

 「あぁ楽して稼げる仕事は逃さないのさ」

 

 キリンザの軽口に笑いが起こる。

 ドルマンが伯爵家からの依頼だからな断るなんて怖くてよと追従。

 

 「ハイド男爵も大変だねぇ」

 

 「人事の様に言っているけど街中と森の浅い所には気をつけろって念を押されているんだ」

 

 「森の奥と言わない処が何とも」

 

 ドルマンとキリンザの掛け合いに、肩を竦めて返事の代わりにし朝食に取り掛かる。

 ノイエマンが森の近くまで馬車で送ると言うのを断って歩いて南門を出る。

 

 「今回は前回と少し方角が違うので俺が先頭に立つよ」

 

 そう言って森に入る。

 

 《フィーィ・フィーェ道案内宜しくね》

 

 《任せて、皆張り切っているよ》

 

 《おいおい又沢山来て居るのか》

 

 《うーん半分位かな、子供達の訓練序でだからねー》

 

 《冒険者達に見られない様にしてね》

 

 《分かってる、高い所をに居るから見えないよ》

 

 魔法の訓練に最適な樹木の少ない広い場所を目指してさくさく進む。

 

 出会う野獣達を地面からの槍で一突きで仕留めて行く、慣れているキリンザとドルマン軽口を叩きそれ以外は静かだ。

 討伐でなく護衛任務なので倒した野獣や魔獣は埋めてしまうのだが、オーク3体ブラウンベアとグレイウルフを冒険者達のマジックバックにいれる。

 余録は必要だろうしね。

 

 7日目に裂け目に着いた。

 今回の裂け目は裂け目どうしが複雑に絡みジグザグで下手に進むと崩れる畏れが有る危険な状態。

 冒険者達とは少し手前で別れ絶対に先に進まない様に念を押しておく。

 

 地面を直接固定して橋を架けるが少しの衝撃で轟音を立てて崩れ落ちる所が多数、見ている冒険者達の顔が引き攣っているけど何とか渡り切る。


 ドルマン達に別れを告げてアルバートは一人森の奥に向かう。

 と心の中でナレーションを入れて遊んでいると、フィーェが肩に乗って来てもう見えないよと教えてくれる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る