第12話 不埒な輩は排除
追加情報として、城壁と一体化して建設する住宅は4階建てにする。
建物の壁自体が城壁の強度を上げ、建設材料の削減に寄与する。
1階辺り1.600~1.900戸を見込、4階建てで7.000~7.600戸の予定で在ることを話す。
道路等を含めれば18.000メートル×250メートルの相当数が伯爵家の自由に出来る事になる。
建設予定住宅数にも驚いていたが自由に出来る土地の広さは魅力的だった様である。
エスコンティ伯爵・ハイド男爵・執事長に事務方と思われる数名で話し合っていたが、簡単に結論が出た様だ。
「アルバート君、大工事に成るが出来るのか?」
「はい、壁自体は一日400メートルを目処に建てられます。2ヶ月も有れば城壁は完成します」
「そんなに早く建てられるのか」
「明日の夜に街の外で壁を造って御覧にいれます。壁よりも壁と一体化させる住宅の方が面倒です。建設を始めるに能って住民達からの目隠しと、情報統制の手筈を整えて下さい。野次馬に妨害されたく在りません、出来て仕舞えばこっちのものですし」
翌日の城壁造成見学の護衛は伯爵家から2名とウーニャ以下6名の8名で行う事になった。
夕暮れ時に一番人通りの少ない西門から伯爵様御一行が出発。
伯爵様以下ハイド男爵に執事長と伯爵家の護衛ガルムとバルドス他5名にウーニャ以下6名の冒険者で護衛、城壁から3キロの所を仮設キャンプ地として月が登るのを待つ。
《フィーィ・フィーェ見える。俺達の処からお月様の方を見ているから注意してね》
《見えてるよー。判った、近くにはゴブリンとホーンラビットとスライムしか居ないよ》
《有り難とう》
俺達一行は土魔法で直径10メートル程の夜営用ドームを造り、中で冒険者達が焚く焚火でお茶を沸かしのんびりしている。
馬車や大型の驢馬達は高さ5メートル程の塀に囲まれて草を噛んでいる。
この世界には馬が居ないのは驚きだがサラブレッドより大きな驢馬いる、しかも蹄では無く牛や山羊の様な足元だから荒れ地や山岳も行けるらしい。
月も程よい高さに登ったので始める事に、土のドームを消し準備。
目印の左の位置から右の位置まで一気に高さ14メートル厚さ2メートル長さ600メートルの壁を造る
呆気にとられる伯爵様や同行の護衛や冒険者達御一行様を案内する。
「伯爵様確認して下さい」
左の端に行き厚さと高さ裏側の堀を確認したら反対側まで歩く。
途中任意の場所を示して貰い、そこを崩して厚さが2メートル有るか確認して行く。
「一日400メートルと言いましたが今日は600メートル造ってみました」
「身体は何とも無いのかね」
「はいこの程度で有れば何の問題も有りません。壁の強度は現在の城壁の1.3倍程度になります。流石にお試しで造った壁並の強度にすると身が持ちませんので」
「然し最初に見たときも驚いたが凄まじいな」
「時間が有るので住宅をどの様に造るかも見ておいて下さい」
そう告げて壁から少し離れて貰い壁から直角に50センチ程の壁を10メートル6メートル10メートルと間を空けて4枚造る。
壁と壁の間に3メートル間隔で横に繋げて仕切り4階建てにする。
「建物と建物の間に6メートルの間が有りますがそこに階段を付けます。が面倒なので今日は止めておきます。伯爵様これなら壁が倒れる事も無いし上は兵士が歩くにも支障は有りませんよね」
「あぁ、あぁ問題ない」
了解を得たので明日からは城壁建設の下準備を冒険者達とすることに決定。
ウーニャ達に明日から当分の間来られるか確認し、下準備が終わったら冒険者をもう少し増やすので真面目で口の固い者を選んでおいてと頼む。
伯爵様にも了解を貰って夜明けを待って西門から帰還。
新たにウーニャとキルザに頼んでいた冒険者15人を護衛に雇った。
ウーニャ達何時ものメンバーを三組に分ける。
300メートルの長さの蜘蛛の糸を持たせてウーニャとエミリーは城壁に、キルザとサイナムは常に城壁から300メートル離れた位置に立つ様に指示する。
その位置に俺が土魔法で1.5メートル程の杭を10メートル間隔で立てて行く、キューロとヘムは50メートル程離れて着いて来る様に指示した。
但し俺が立てた杭を見て左右に振れが無いか常に監視し注意してとお願い。
ガルムとバルドスは常に俺の周辺で警戒監視だ。
単純で退屈な作業は二日で終わったので、翌日は全員で25・50・75・100・125・150メートルと離れて立てた杭の列が歪になって無いか見て回る。
俺は10メートル間隔で立てられた杭の中ほどに杭を立てて行くのを延々と続ける。
流石に疲れた。
翌日からは夜間作業で門が閉じられてから300メートル離れた位置に新たな門を造る。
一気に造ると噂になるので徐々に造るが、新旧の門の間は通路を挟んで高い杭を土魔法で造り目隠しだ。
十日後には東西南北の門がほぼ完成した、後は門扉を付けるだけだがこれは伯爵の仕事。
新たに立てた門の左右は徐々に城壁を高くしていったので、余り噂にはなっていないらしい。
5メートル程の高さの城壁を一周させた翌日からは、徐々に徐々に城壁を高くしていった。
同時に城壁の外に城壁に沿って幅2メートル程の外周路をつけ堀を挟んで連絡橋を多数付けた。
東西南北の本通路と各方角毎に均等に3本づつ付けたので総数は16本にもなったがこれらは点検用である。
冒険者も城壁建設が進むとどうしても人手が足りなくなる。
最初に集めたウーニャ以下6名と15名の冒険者だと支障をきたす様になったので、伯爵様に掛け合って人を増やす事にした。
だが問題発生、多数の冒険者を使うと街の諸々を請け負っていた冒険者が居なくなるのでギルドから待ったが掛かったのだ。
ウーニャ、キルザ、エミリー、、サイナム、キューロ、ヘムの6人を集めて意見を聞くと、仕事が無くて困っている者は沢山いると聞いた。
スラムとその周辺に住む者達だ、真っ当な仕事に就きたいが雇って貰えない者が多いのだとか。
人が増え読み書き出来る者は、出退勤の管理から伯爵邸への連絡を含め仕事は有るので身体が不自由でも雇う。
そう云ってウーニャ達に知り合いで真面目な者を集めさせた。
浮浪児も居たが真面目に仕事をするなら雇ったので人はどんどん増える。
彼等には通勤が大変なのでドームの宿舎を造り無料で寝食を与える代わりに真面目に働くなら工事が終っても仕事は有ると約束した。
新たな城壁内の草苅から小動物の排除、後片付けから水の運搬と必要になる仕事が次々とわき出て来る。
仕事の打ち合わせすら儘為らない世界では伝令は欠かせぬ存在で足の早い者なら少年少女も雇った。
褸切れの様な服を着ている者が多いので統一したデザインの服と靴を与え、やる気が出る様な工夫もした。
こうなると賃金を掠め取る者や衣服を剥ぎ取る者も出る、分かっていた事なので領主様と連携し屑共を捕獲し犯罪奴隷送りに忙しい。
被害者には即座に報告する様に言い含め、衣服を与えたのに着用していない者は仕事から外した。
自分達が守られているのが分かると被害者は即座に報告に来る様になり、後は簡単で街の屑の処理が早い。
工事が本格化して宿や伯爵邸から通うのが億劫でドームを多数造って寝泊まりしている。
ベッド等は2本の棒にキャンバスを張った物にX型の足を付けたキャンプでお馴染みの物を大量生産した。
人が増えるとさぼる者や陰で他人を脅したりする者も混じるが、真面目に仕事をしている者に聞き取りして即座に排除。
悪質なのはガルム達に渡して処罰して貰う、それを記録させて今後に活用する予定。
護衛のガルムとバルドスはその手際に呆れていたが工事の規模からしたら極めて少ない人数なのは理解していた。
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