第11話 冒険者を集めて
雇った者の中には褸切れの様な服を着ている者が多いので、統一したデザインの服と靴を与えやる気が出る工夫もした。
こうなると賃金を掠め取る者や、衣服を剥ぎ取る者も出てくる。
分かっていた事なので、伯爵様と連携し屑共を捕獲し犯罪奴隷送りに忙しい。
被害者には即座に報告する様に言い含め、衣服を与えた者で着用していない者は仕事から外した。
自分達が守られていると分かると、被害者は即座に報告に来るので後は簡単で街の屑の処理が早い。
工事が本格化して宿や伯爵邸から通うのが億劫になり、ドームを多数造って寝泊まりしている。
ベッド等は2本の棒にキャンバスを張った物にX型の足を付けたキャンプでお馴染みの物を大量発注した。
人が増えるとさぼる者や陰で他人を脅したりする者も混じるが、真面目に仕事をしている者から聞き取りして即座に排除。
悪質な者のはガルム達に渡して処罰してもらい、それを記録に残して今後に活用する予定。
護衛のガルムとバルドスは俺の手際に呆れていたが、工事の規模からすれば極めて少ない人数なのは理解していた。
人が増えた南門の工事現場の近くに飯場村が出来て、物売りまで現れる始末で笑ってしまった。
但し工事現場は飯場村からは見えない様に、高い塀に囲まれて夜間は出入りが出来ない様に完全閉鎖となる。
そして俺は皆とは別のドームに篭り尋ねて来る妖精族達と会合、と言う名のお喋りを楽しむ。
週に1度の休みの日には時々冒険者ギルドに顔を出し、サブマスを通してオークやホーンボアを解体してもらいお肉を持ち帰る。
そんな日の夕食はお肉三昧である。
ウーニャ達6人には、工事が終れば俺が貰う土地に建てた、住宅の管理運営をしてもらおうと思っているのでそれとなく話している。
城壁側の住宅の管理は、別の考えが有るのでそれは又ってことで保留だ。
オークのパープルとレッド、ホーンボアのパープルとレッドの仮払いの金貨75枚。
オークションに出したオークのレッド種が手数料を引いた残り、金貨80の800万ダーラ、パープル種、金貨65枚の650万ダーラ。
ホーンボアのレッド種、金貨75枚の750万ダーラ、パープル種、金貨52枚の520万ダーラ。
合計27.200.000万ダーラ。
エスコンティ伯爵に売ったゴールデンベアとブラックウルフの代金、金貨850枚 85.000.000万ダーラ。
城壁建設に対する報酬は距離にして約20.700m、20m金貨1枚として1.035枚だが門等の建設も有ったので金貨1.100枚で110.000.000万ダーラを貰った。
伯爵様も工事の人員が段々増えて出費が嵩んだが、正規の工事に比べれば遥かに安く済んでほくほくだ。
結果
冒険者ギルドから27.200.000万ダーラ。
領主様から魔獣の代金85.000.000万ダーラ。
城壁の建設費110.000.000万ダーラ。
合計 222.200.000万ダーラ、金貨2.222枚になった。
溜め込んでも仕方が無いので、そこそこ散財して街の経済に貢献しよう。
ウーニャ以下6名の冒険者達にはボーナスとして1人金貨5枚を与え、住宅の家賃は1ヶ月銀貨1枚と格安だ。
貰った土地に建てた住宅の管理運営をしてもらうので、住む場所は管理する住宅の中から選ばせた。
6人とも給与は週休1日で、25日仕事をして金貨2枚と銀貨5枚の250.000万ダーラなので喜んでいる。
その他の冒険者で就職希望者には、城壁の方の住宅を斡旋し給与は220.000ダーラ~180.000ダーラ。
住宅は大きさに依り格安価格の10.000ダーラ~15.000ダーラにした。
別途領主様への税金(住民税)が、1ヶ月銅貨5枚の5.000ダーラを家賃に組み込む。
家賃収入は今後20年間無料だが、住民税はそうは行かなかったね。
住民税が住宅7.000戸として月に35.000.000万ダーラで、年間420.000.000万ダーラ
7.500戸とすれば月37.500.000万ダーラで、年間450.000.000ダーラの計算だが、取らぬ狸のって言葉頭に浮かび苦笑い。
余録として、伯爵様はスラム化していた場所の住人が新しい仕事と住居を得て移動すると、住んでいた住宅を取り壊していった。
同時に旧城壁も取り壊し、新たな土地の確保と壊した城壁は建設資材にして売る積もりらしい。
尚、旧城壁の取り壊しは契約外なので領主様のお仕事、取り壊しは石材,ガラ,土と分類する等結構人手が掛かる。
それらの仕事を貧しい者達に与えたので、治安も結構良くなったみたい。
スラムや貧しい住民から搾取していた裏の連中は、安全な住宅に引っ越した者達からの通報を受けて、続々と捕縛されている。
捕まった連中は犯罪奴隷落が殆どで、罪の軽い者は追放処分とし着の身着のまま僅かな生活費を持たされて街から放り出されている。
暫くはエルクハイムの街も静かで安全だろうと、住民から好意的にみられている。
自分の住む街が安全なのは良いことだ。
伯爵邸での最後の朝食を済ませ執務室に挨拶に行く、雑談の後伯爵様に一つ頼み事をする。
「伯爵さまお願いが有るのですが」
「おっ珍しいな、内容に依るが聞こう」
「城壁に沿って造られた住宅の管理運営をお任せしたいのです。その際家賃収入の6割を伯爵様に、残り4割を私の取り分としたいのですが」
伯爵様唸ってますね。
「但し現在入居している従業員と入居者の家賃はそのままで、従業員は継続雇用でお願いします」
「それで良いのか。余りにも私に分が有りすぎるのだが」
「はい、元々森で暮らす積もりでしたが魔獣が思わぬ高値で売れました。それで街にも拠点を作ろうと考えていた時に、城壁のお話しだったのです。必要な家も手に入れたし、城壁の家賃と貰った土地に有る住宅の家賃で気楽に暮らせます」
伯爵様呆れ顔で俺を見ているが、小市民な日本人としては豪奢な生活を望んでいる訳でも無いのだ。
「貰った土地には干渉しない約束なので、あの土地に住まう、つまり住宅地に住まう者は基本的に伯爵領の法に従わせますが、あくまでも優先順位は私で宜しいですね」
にっこり笑って釘を刺す。
伯爵様顔が引き攣ってますが、苦笑しながら頷かれた。
新しい家の管理運営は、執事長のナリヤードに人選を頼んでおいたので行けば判るだろう。
メイドはメイド長エメラに頼んだら、慣れたメイドが居る方が楽だろうと今まで世話をしてくれた、メイドのヤーナをメイド長にして送り込んでくれた。
伯爵様の監視下になるのは今も同じなので良しとする。
一人ひとり人選して雇うのが面倒なのもあるし、仕事に関しては任せても良い人材を入れてくれるだろうとの目算もある。
伯爵様やハイド男爵、執事長のナリヤード他多数のメイドに見送られヤーナと共に伯爵家の馬車で送ってもらった。
新しい家の前まで送ってもらい、礼を言って馬車を帰す。
未だ入居者も少ないので閑散としているが、そのうち1階部分は全て店舗や事務所として貸し出す予定だ。
少し広めに作った階段を上がり2階が我が家の玄関になる。
見掛けは他の住宅と同じだが3階に上がる階段が無いので、俺の住宅専用の入口って事だ。
玄関扉の所に伯爵家の第3執事のノイエマンが立っていた。
「アルバート様、お帰りなさいませ」
「やぁ、宜しく頼むよ」
深々と頭を下げるので、俺の時には会釈程度で良いと告げる。
開けてくれれたドアを通り中へ入ると、使用人達がずらりと並んでいる。
ノイエマンが一人ひとり紹介して行く。
メイド長、ヤーナ
料理長、コステロ、妻メリーヤ
助手、オーロン
メイド、シエリル・姉
メイド、シアリル・妹
メイド、ヨニーチェ
メイド、ミリンディ
メイド、キーチェ
厩番、ゴルマン・父
厩番、ゴルトン・息子
厩番・御者、ザルタン
厩番や馬車と言っているがこの世界に馬が居ない、変わりに馬より大きい驢馬がいる。
まぁ驢馬も馬が付くからよいか。
紹介される度に皆深々と頭を下げるので、俺に取っては極めて気まずい。
「アルバートだ宜しく頼む。ノイエマンにも告げたが伯爵家ではないので俺に対しては会釈程度で良い。ノイエマン頼むぞ」
玄関ホールは2階に、一階は調理場や食料庫雑務室等になっている。
折り返し階段を上がると玄関だ、入ると8m×8mの小さな玄関ホールになっている。
ホールの正面突き当たりは手洗いになっていて、普通の来客は全てホールで済ませる。
ホール左突き当たりに有るドアを入ると廊下が、右にドアが続き手前から来客用応接間とサロンが有り次に折り返し階段となる。
階段の奥は食堂でその奥が執事の執務室や使用人の控え室、4階はバス・トイレ付きの客室で2部屋と4部屋になっている。
俺の部屋は使用人控え室の奥、執務室に入り突き当たりの左に目立たぬ扉がある。
扉を開けると空き部屋が4室で折り返し階段の奥が、俺専用の執務室、居間、バストイレ、寝室だ。
4階は街路側は全て使用人の居室、敷地内向き側に執事のノイエマンとメイド長のヤーナの居間と寝室が両端に有る。
天井高が3mなのは御愛敬だね。
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