第3話 森は宝庫
アルバートの記憶では
1時間/60分、1日/24時間、
1週間/6日、1ヶ月/30日、1年/360日
距離は、キロメートル、メートル、センチ
重量は、トン、キロ、グラム
貨幣は
鉄貨100ダーラ
銅貨1.000ダーラ
銀貨10.000ダーラ
金貨100.000ダーラ
白金貨1000.000ダーラ
鉄貨100ダーラ、日本の百円程度と思われる。
後は知らない。
貨幣は基本丸型らしい、てのは辺境の村の子供で現金を手にする機会が無かったからだ。
100ダーラ以下は無く100ダーラに満たない物は複数の商品で100ダーラにして販売だ。
どうも地球からの転生者か転移者が複数居るのでは無いかと疑っている。
日々魔力を練り身体強化に防御結界と雷魔法の練習で、土魔法は素養が在ったのでさほど練習しなくても魔力の増大と供に自由に扱えた。
就寝前に全ての魔力を使い切るか魔力を放出し酷い脱力感をともなって寝るのが日課である。
これは元々の魔力の底上げで、いずれこれ以上は無理だと分かるらしい。
収納魔法は母の曾祖母が収納魔法が使えたと聞いているので、魔力の増大を続けれは或いは習得出来るだろうと教えてくれた。
魔法が使えると判ってから3年少々身体の側に何か小さな穴の様な物が感じられ、母に報告すると小石を拾いその中に入る様に念じてみろと言われた。
これも日々練習しているとある日ふっと石ころが消えた、収納魔法が習得出来た瞬間だった。
嬉しくて食器やナイフ等手近な物を入れていたらすぐに入らなくなりがっかりだった。
母に報告すると寝る前に穴の様なそれに魔力のありったけを毎日流し込めと言われ、続ける事で容量は増大を続け今では直径5メートル程の土の球体が感覚としては数百は楽に入ると思う。
感覚的に空間収納の中に納めた物が収納全体のどれくらいを使っているか分かるからだ。
取り合えずアルバートの身体でも、鳴海彰吾の意識でこれからは生きて行かなくてはならない。
全てを片付け生活に必要な物を空間収納、ラノベではインベントリって言うのかな、に放り込む。
家を土に戻し父母の墓に別れ告げて森に入る。
エルクハイムに行きハイド男爵に会うにも懐が心許ない。
何せ村長のゴルムやマルセル達捕縛に関する賞金は金貨22枚。
その内10枚を堀や塀の跡地にハイド男爵の命令とはいえ、植林する為に村人を使ったので賃金として支払ったのだ。
残ったのは金貨12枚と家に在った小銭が少々、物価の基準が違うが日本円にして120万円少々だ。
これではエルクハイムに行けば飲食費と宿代で長くは持たないだろう。
暫くは森で今以上の気配察知の訓練と鑑定の練習がてら薬草採取を頑張らなければ、母から鑑定を習ったがラノベとは大違い。
知っている薬草なら草を見て薬草名、効能、食用、毒草等と判る、まぁ分かって当然か。
知らない草花だと食用不可とか不味いとか根や葉が食べられる、薬草、効能、葉とか花びらや蜜の利用が判る程度の大雑把さだ。
然しこれだけでも大助かりである、名を知らなくても薬草と鑑定出来る物は全て採取。
葉や花びら・蜜・根は土魔法で壷や瓶を造って入れておく。
毒草も使い様では薬になると前世の記憶で、毒物として別の容器に蓄える。
村で採取していた薬草と違って森の奥に来ると、同じ薬草でも葉の繁り具合や大きさ葉の厚さが全然違った。
森の奥とは言ってもまだ裂け目と呼ばれる谷を越えていないのに、これ程良質な薬草が採取出来るなら裂け目の向こう側は期待出来るな。
時折現れる野獣や魔獣は気配察知の能力が向上したのか相手の威圧なのか遥か手前で判るから土魔法でドームを造り中に篭って楽にやり過ごせる。
特に魔獣は野獣と違い人を見れば即座に襲って来るから油断がならない。
ドームで無理なら土魔法で獣の足を埋めて即拘束してから土槍で突き上げておわり。
如何に強い獣でも足の全てを付け根迄埋められ固定されたら俺に勝てないのは当然だ。
煩い程の鳥の鳴き声に目が覚めた。
もう朝か、土魔法で造った夜営用ドームの換気用隙間から明りが差し込んでいる。
ハイド男爵と別れてから大分経つので、もうそろそろエルクハイムに向かって移動を開始してもよいかな。
一度村の方に向かってもよいが大森林の奥へ奥へと入り、薬草採取しながら適当に彷徨ったので現在地が分からない。
男爵に貰った略図では東に向かってハルツ村・オルソック町此処から北に向かってダルダ村・ルサルカ町・領都エルクハイムとなっている。
取り合えずは北に向かってから適当な所で東に向かえば良しとしよう。
夜営用のドームを土に還し足場を固めて、石柱を造る要領で垂直に持ち上げてゆく。
むき出しのエレベーターである、木々の間を抜けて見渡す限りの樹海の上に出て方角を定める。
ぐるりと見回すと昨日迄に美味しいもの珍しい薬草等の場所を示す目印の石柱が枯木の様に点々と聳えている。
さて今日は何が見つかるかな、のんびりと周囲を観察してお金になりそうな植物を鑑定しながら歩く。
昼頃迄に花や蜜を少し手に入れて昼食を取ろうとしていたら厭な気配。
慎重に周囲を探ると50メートル程先に大型の獣、鑑定すると【魔獣・危険・美味しい】との結果。
お肉は頂いて毛皮は売るので傷付けない様に魔獣の足下に穴を開けて落とし即座に固定、後は土槍を一気に突き上げる。
死んでいるのを確認してから空間収納へぽい!
在って良かった空間収納♪沢山入るし腐らない。
これが無ければ森を彷徨い続ける事などとてもじゃないが無理、採取した薬草類も相当な量になっている筈だ。
北に向かって歩き始めて十日程経った、そろそろ東に進路を変えるかと考えていると魔法を使っている音が聞こえる。
魔物にしては各種の魔法を連続して使っていて、それと同時に多数のブーンっといった羽音が聞こえる。
音のする方に近づいてみると、立ち枯れの巨木に蜂が群がっていて巨木に開いた穴の中から蜂に向かって魔法で反撃している。
結界を張って静かに近づくと大きな蜂だ。
周囲を警戒していた蜂の一匹が俺に気づいて近づいて来たので雷撃で撃ち落とす。
鑑定すると【蜂・肉食・危険】日本のスズメ蜂でも危険なのに、丸々と太った体長約60センチ以上は確実な蜂だ。
うん確かに危険だよな。
幹の直径7~8メートルは有りそうな巨大な立ち枯れの中から、多様な魔法で防戦しているのはホビットの様な小人族かな。
取り合えず助けるか。
まず巨木をチョコレート・コーティングする様に土魔法で覆ってゆく。
巨木に群がっていた蜂達が邪魔をされ、怒ってブンブン周囲を飛び回り俺にも多数が襲い掛かって来る。
蜂の集団を包み込む様に雷撃魔法をお見舞い、三度繰り返すと大半が焼け焦げて落ちた。
残りの蜂を個別に撃ち落としながら、巨木のコーティングを剥がす。
「おーい大丈夫かー」
声を掛けても返事が無い。
土魔法でハンマーを造り巨木をコンコンとノックしていると、又数匹の蜂が未練がましくやって来る。
そいつを一匹ずつ撃ち落としていると、樹の洞から小さな顔がひよっこり現れた。
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