本当の感情

エクステラはエクスバースから託された記憶を頼りにエクルの部屋へ急いだ。しかし、その扉の前にはエクリールがいた。

「…エクリール、ちゃん…」

「…来たか。さて、オレはもう覚悟はできてる。」

「でも…」

「ああ、分かってるさ。今がどんな状況か。だから俺もお前に託すんだよ。」

「違う!エクリールちゃんはそんな簡単なことしないよ。」

「違わない。私にはもうどうでもいいんだ。」

「…違うでしょ。エクリールちゃんはわかりやすいもん。」

「はぁ、ったくお前は…。なら聞くが私たちは何のために生まれた?」

「それは…」

「ただの道具としてだ!この体も心も全部!今だってそうさ!今こそ形としてはアレの手駒だが、それは元々そう在るべきだっただけだ。」

周り一帯を炎が包む。

「それでもお前は、流れるまま簡単に自由を手にした!お前は私やエクルの辛さを知らない!エクスバースの抱える矛盾だって知らなかったくせに!ただなるようにしただけで自由を手に入れちまった。お前の立場をオレやエクルがどれほど切望していたか、お前の豊かな心をエクスバースがどれほど羨んだか、お前は知らないだろ!」

瞬間、炎をまとったエクリールが飛びかかってきた。

「それでも!お前はまだその自分の当たり前に甘え続けるのか!」

「そ、そんなことは…!ないよ!」

エクステラは飛びかかってきたエクリールを抱きしめた。

「違うよ。私にはわかるよ。エクリールちゃんはお兄ちゃんに恋をしてるんじゃないって」

「私たちはそういう気持ちがあるようにされてるんだ。だが、私はその想いから逃げるわけはもうない。」

「エクリールちゃんはね、お兄ちゃんに憧れてたんじゃないかなって思ってたの。」

「憧れ、か。今思えばそうだったかもしれないな」

「エクスバースちゃんは、自分を見つける研究で気づいたの。私たちが感情だけで行動が定められているわけではないって。私たちそれぞれには感情とは違うものがある。それは…お兄ちゃんへの気持ち。エクリールちゃんは“憧れ”、エクルちゃんは“後悔”、私は“執着”だった。だから、私は別の世界でもお兄ちゃんとの繋がりが完全には切れなかった、エクルちゃんは“後悔”を強くしている初代に同調するようにされていた。それがエクスバースちゃんのたどり着いた私たちの真実。」

「そうか、アイツはそんなことを隠していたのか。」

「エクスバースちゃんは迷っていたの。“私たち”じゃない自分がその問題を口にしてよいのかどうかを。」

「それなら私も“オレ”にこだわっている理由もないのにな。」

そう会話していると、扉が開いた。

「“本当”にそうだったらよかったのにね…」

そこに立っていたのは、エクルだった。

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虚P4 約束の刻、最初の私 虚無~うつな~ @endenemy

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