<エピローグ>魔王
勇者六十歳
魔王討伐宣言から五年が経過した。
魔族は第三世代から第四世代へ移りつつある。
魔族の食生活が改善されたことにより、寿命が徐々に伸び始めていた。
ある特定の魔族は人間とともに暮らすようになっている。
人間とともに食事をして、人間とともに生活をして、人間とともに寝る。
人間の家で自分の子供を産む魔族も増えた。
生まれた時から人間とともに暮らしている魔族は、自分が人間だと思い込んでいる者も居るようだ。
別の種族は、今まで通り森林で暮らしている。
自然環境の保護を進めているので、食糧不足になることはまず無い。
食料が十分なら、人間の村を襲うこともない。
森で暮らす魔族は、もともと人間の村には近付きたくないのだ。
今までは食料が無いためにやむ終えず村を襲っていただけだった。
そして、人間との交流が難しく攻撃的な種族。
魔王族、その他ごく一部の種族は今もオートバリアーシステムの中で生息している。
バリアーは以前よりも大きなものに改善している。
より広くより高い空間で、ストレスなく暮らせるように工夫されている。
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さらに五年後
【百獣の魔王】と書かれた看板の先には、あくびをしてやる気無さそうに寝転んでいる魔王の姿があった。
魔王族を閉じ込めたオートバリアーシステムはその後何度か改修され、人間が安全に魔王を見学できるように整備されている。
魔王族のナワバリを中心にして広大な敷地の森林全体を「魔族パーク」として一般公開されている。
十分な安全性が確認されたのが昨年だった。
魔王族を見学できるのはもちろん、食事を直接与える事もできる。
魔族パークには色々な種族と触れ合うコーナーがあったり、それぞれの種族別のグッズも販売されている。
グッズ販売の収益は、魔族パークの維持運営費に当てられている。
また、魔族パークに隣接する形で、様々な施設が立ち並んでいる。
・王立魔族病院
魔族も怪我や病気をする。
パーク内の魔族はもちろん、人間と共に暮らしている魔族もここで治療を受けられるようになっている。
・王立大学
魔族の研究は日々進んでいるが、まだまだ未解明なことも多い。
魔族パーク・魔族病院と連携する形で、魔族の生態を研究をする王立の大学だ。
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かつて、魔王を討伐することが人間にとって最優先の課題であった。
現在、魔王及び魔王族は“絶滅危惧種“に指定されており、魔王を含む魔王族を繁栄させることが最優先の課題とされている。
END
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