はい、会長はつらそうです

 今回は少しシリアス入ります




 ▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂





「ふぅ………これでよし」


 今日も例に漏れず朝から生徒会長に拉致されたが、今日はまともな用があったようだ。いや、拉致しないで普通に頼めば良くない?


「会長ー!この新品のマットはどの倉庫に運びますかー?」


「それは2番体育倉庫に運んでくれ」


「分かりました」


 2番2番っと………………ちょっと待て


「会長?」


「ん?なんだい?」


「なんで生徒会のメンバーじゃない僕が新しい体育の用具の搬入を手伝って、他の生徒会のメンバーはまず手伝いにすら来てすらないんですか?!」


 これは理不尽だろ!


「ああ、ちょっと怒ってる植付くんも可愛い………というか、一体何を言っているんだい?」


「なにを………って、生徒会の他の人はどうしたんですか?!」


「他の人って言われても………………生徒会は今私1人しかいないよ?」


 うん?だから……


「1人しかいないって、今ここにいるのは、って事でしょう?だったら、他の人はどうしたんですか?、って事で………」


「いや、そもそも生徒会は私1人しかいないよ?」


 は?


「は?」


「心の声が漏れてるよ?植付くん…………そんな所も可愛いけどね」


 いやいやいやいや、待て待て待て待て


「これでも私は超優秀な生徒なんだよ?生徒会のメンバーを自由にする権利ぐらい、教師共から与えられてるに決まってるだろう?」


 教師共って……


「いや、それにしてもそんな権利があるのに誰も指名しないのはなんでなんですか?」


 なんか理由があるのか?


「まぁ……昔ちょっといろいろあってね」


 その言葉を発した時の会長の顔は、苦痛一色だった

 ………………誰にでも話したくない過去の1つや2つはあるだろう


「そうですか。じゃあ作業を続けましょう」


「え………?」


 ん?なんでそんな鳩が豆鉄砲くらったような顔をしてるんだ?


「き、聞かないの?何があったか……」


 いやだって………


「聞いて欲しくないんでしょう?だからさっきも言葉を濁したんですよね?だったら聞きません」


 ………………俺にだって、言いたくない事の1つや2つはあるしな

 それに………


「会長、今自分がどんな顔してるか分かってます?」


「え?」


 やっぱり分かってなかったか……


「泣きそうな顔してますよ。いいんです、嫌だったら無理に思い出さないでいつもの会長でいて下さい。いつもの会長の笑顔が俺は1番好きですから」


「植付くん……」


 泣きそうな女の子から、あれこれ事情を聞き出すのはクズのする事だ。そんな奴に俺は絶対なりたくない







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