はい、媚薬を盛られます

 自販機から戻ってきた俺は、財布を鞄にしまおうしたが……


『あれ?鞄開けっぱにしてたっけ?』


「なにしてるんですか?先輩、早くジュース下さい。」


「あ、ああ」


 違和感を拭えないまま、海月にジュースを渡す。


「先輩、水筒持ってきてますよね?一緒に飲み合いっこしましょうよ」


「ええ?俺の水筒の中身、ほうじ茶だぞ?しかもそんな事したら、か……」


「間接キスになる、ですか?」


「うぐっ……そうだよ」


「今更何言ってるんですか、私と先輩の仲でしょう?」


「あ、ああ、そうだよな」


 コイツ、そういうの気にしないタイプか?女子ってのはてっきりそういうのを気にするもんだと思っていたんだが……


「ふひっ……先輩と間接キス……」


「なんか言ったか?」


「いえ、なにも?それより早く飲み合いっこしましょうよー」


 はぁ……まぁいいか。水筒を鞄から取りだして、っと。さて……飲むか……ん?


「おい海月」


 ビクッ!!!


「な、なんでしょう先輩?」


「お前、また盛ったな?」


「な、なんの事ですか?私は別に鞄を開けて水筒の中に薬を盛ったりなんてしていませんよ?」


「しらばっくれてんじゃねぇぇぇぇ!!!」


「いひゃいいひゃい!ほっぺ抓らないでぇぇぇ!」


 これが俺が学校に遅れる原因の2つ目、この後輩はことある事に薬を盛ってくるのだ。




 ▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂






「今回は何の薬だ?」


「媚薬です」


「またか……」


 今、海月は正座を公園のベンチの上にしている、というか俺がさせた。

 前までは麻痺薬を盛られたんだが、ここ最近は媚薬ばっかり盛ってこようとするな……


「なんだ?また実験で成功したのか?」


「はい!」


 実はこの後輩、とんでもなく頭が良く、薬でノーベル賞も取っているのだ!願わくば、その頭脳を少しでもいい方に使って欲しいのだが……


「ちなみにこれを飲んだらどうなる?」


「はい!老人でもたちまち1部が元気になり、1週間ぐらいぶっ続けでセッ……」


「お前が飲めや」


「?!がぼぼぼっ」


 はっ!俺の水筒のお茶をたらふく飲ませてやったぜ。


「しぇ…しぇんぱぁい」


 もじもじ


 目がトロンとしてんな、もう効果が出たのか……


「んじゃ、学校行くわ」


「?!そんな……飲ませておいて放置だなんて、生殺しですよぅ」


 そんなもん知るか


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