第2話 ジャスミンティー

「今日はジャスミンティーなるものを入れてみました。」

かしこまっているのかそうでないのかよく分からないような敬語を使ってお茶を出してきた。

君はよく私の召使いになりたがる。

最近は紅茶を入れるのにハマっているらしい。


ジャスミンティー。花は甘い香りのイメージなのに、これはすごく苦そうな香りがする。

飲んでみると、この苦い香りにはかなりミスマッチな気がする砂糖の甘さが広がった。


「美味しい?」と顔を覗き込んでくるので「美味しいよ」と微笑んだ。

すると嬉しげに色々語り出した。


とはいえ、私はダージリンとアールグレイの違いも分からないほど紅茶についてはよく分からない。

ので、感想を求められても味の好みしか言えないから言葉のレパートリーが無くなってほぼ毎日同じようなことを言っている。


苦いのが嫌いと言ったらどんなお茶でも毎回砂糖を入れるようになって、薄い方が好きと言ったら日に日にお茶は薄くなっていく。


そんなこんなで出来上がっていった今日のお茶は素人の私でも分かる、多分これはよその人に出したら首を傾げられる一杯だろう。


だけど美味しい。何故だろう。

「どうしてこんなに美味しいんだろう。」

と呟いて、きっと君が私の為に作ってくれた特別な一杯だからだね。って続けようとしたのにそれを遮って

「決め手は温度です!」

と、また濃くなりすぎないようにお湯を沸騰させずに時間をかけて蒸らしただのなんだの色々語り出した。


自分で言おうとしながらそういう臭い台詞が好みでない私にとっては、この返しが愉しくて仕方なかった。

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