Lv13 靴屋とプログラマー
大食いチャレンジで臨時ボーナス2万円を手にした僕は、ハルエンと一緒に靴屋に戻ることにした。
「そろそろ新しい靴出来上がったかな?」
『はい、師匠なら30分もあれば最高の品質で靴を仕上げれますから!!』
「おぉ……さすがハルエンの師匠だな。ってか、ハルエンも靴職人になるの?」
『いえ、プログラマーですね』
「へ……?」
一瞬、時間が止まった……
「プ、プログラマー?」
『はい、靴づくりなんて機械がしたら良いんですよ』
「え、でも、人の手で1から手作りするという人の手にしか出せないリアリティとかがあるんじゃ……?」
『そんなもん、ありゃあしませんよぉ……だれが作ったって一緒。だったらプログラムを作った方がよっぽど人の役に立てる……そう思ったんです』
弟子って……何なのだろう。
弟子って……小麦粉で作られた、水と練り合わせて薄く伸ばして焼いた、カレーにつけて食べるアレなのだろう。
弟子って……ナンなのだろう……
「「グフッ」」
『何一人で笑ってるんですか……?』
ハルエンに変な目で見られた。なんだか恥ずかしい……
『着きましたよ』
そんなこんなで靴屋の前まで来ていた。
『おうッッ!!とびっきりの靴、つくってやったぞぉいッッ!!』
「ありがとうございます!!」
『よぅしッッ!!受け取れいッッ!』
師匠がピカピカの靴を僕に差し出した……!
『おぉぉッッ!!やっぱり師匠の靴は他と違いますね〜!機械じゃあ到底だせないクオリティがありますし!!』
(こいつッッ!!さっき言ってたのとまるっきり違うじゃねーかッッ!!完全に舐めてやがる!)
『ほぉらァッ!履いてみぃ、オイラの真骨頂じゃぁいッッ』
「はい、是非履かせていただきます……」
僕は恐る恐る靴に足を入れる……
おぉッッ!!この締め付け過ぎず、ゆるゆる過ぎない構造……そして重量も軽く、歩きやすい……さすが師匠。ベテランの技術がこの靴の中にしっかりと凝縮され、詰まっている……これはさすがに機械じゃ無理だろう。このリアリティ……称賛に値する。
『ここからはお前の冒険だ、人の意見は気にすんな。その足で一歩ずつ進んでいけ……後ろに下がっても良い。だが、けして過去を振り返るな。お前にはいずれたくさんの仲間ができる……健闘を祈るぞ』
『う、うぅ……短い時間でしたが、俺はすげぇ楽しかったっす。うう……分かれるのは少し寂しいですが、あなたの道を応援します!がんばってください!!!』
泣いている姿を見ると、数分前まで憎たらしく思っていたハルエンが急に愛おしく感じる……まったく恐ろしい男である。
『ありがとな……』
「こちらこそ……」
「行ってきます………」
『きをつけてな………』
「「いや、どこにッッッッ!!!???」」
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