Lv10 もはや何でも良いから食わせろ
『食べられる野草はあまり数は多くはありません。ですがこの森の何処かに必ずあります!絶対見つけましょうね!』
「うん、腹が減って仕方ないんで早くしようか……」
とにかく僕はお腹が空いて仕方ないのだ……草でもなんでもいいから体内に取り入れたいのである。
『まぁ、どうせ食べるなら一番美味しい野草が良いですよね!』
「うん、まぁ食べられるならなんでもいいけど美味しいほうが良いね……」
『今回、探す野草はずばり!”ミカク草”です!』
――ミカク草とは
説明しよう。ミカク草とは口に入れた後、頭に想像した食べ物の味に変化するという希少性の高い野草のことである!!
「なるほど……その野草さえあればなんでも食べた気分になれるってことか!よし、今すぐ探すぞハルエン!!」
『はいッッ!!絶対見つけてやりましょう!ミカク草!』
漢達の熱き野草採りが、今始まる……!!
◆
『まず、ミカク草はそう簡単に見つかりません。なぜなら似ている草がたくさん存在しているからです……』
「ミカク草の特徴を教えてよ」
『まず、葉がハートの形をしています。そしてよく茂みの中にポツンと生えていて、匂いが無いというかんじですかね……』
「なるほど”葉がハート” ”茂みの中” ”無臭” がポイントね……早く探そう!!」
「『グゥウウウウ……』」
僕とハルエンのお腹が同時に鳴った。
『そうですね。早いとこ見つけましょうか……』
「「ガサガサガサ……」」
手当たり次第に辺りの茂みを散策する……
「ハルエン!この草はどう!?」
『それは”ネバネバ草”ですね。さわると半日はネバネバが残りますよ』
「くそッッ」
どうやらそう簡単には見つからないらしい……
「「ガサガサガサ……」」
とにかく周辺の茂みを散策する………
「ハ、ハルエン!この草はどう!?」
『それは”ビリビリ草”ですね。ふれると電撃が身体中を駆け巡りますよ』
「お、おぉぉ……危ないね」
どうやらかなり見つけるのは困難なようだ……
「「ガサガサガサ……」」
とにかく諦めずに茂みを探し続ける…………
「ハ、ハルエン……こ、これはどう……か、な」
『それは”草”ですね。草です」
「おぉ、草……草!?」
「っていうかハルエンてめぇさっきから突っ立ってるだけじゃねぇかッッ!!なめてんのかカスがッッ!」
僕は空腹のあまり使ったことの無いような暴言を口にしていた……
『あ、ってかそういえばこの前俺がほとんど採ったんでしたわ』
「えっ?それってミカク草のこと?」
『はいっ』
「アハハハッッ、それ、アハハハッッ」
「ウフフフフッッ、フフフッ」
「アハハハハハ……」
「「「ベチンッッッッ」」」
◆
『ば、ばの、ぼぐがばえにどっだやづぼのごじでるんで……(あ、あの、ぼくがまえにとったやつのこしてるんで……)』
「よし、じゃあそれ食べよっか』
『ばい(はい)』
ハルエンがバッグからミカク草を取り出した。
『ばい、どぶぞ(はい、どうぞ)』
「ありがとう!これでやっと食事が――」
「「バッッ」」
何者かにミカク草をうばわれた……!!
「ウッキッキ〜ウキキッッ」
ミカク草を手にした猿がこちらを馬鹿にしている。
『ヌスミザルですッッッッ!!!!』
「このクソザルッッッ!!!」
「ウキウキウッキ〜ウキウッキ〜」
ヌスミザルが軽快に走り去っていった……
「『グゥゥゥ……』」
また、僕とハルエンのお腹が同時に鳴った……
『もう、寝ますか……』
「……うん」
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