Lv6 いや、僕の靴は?



テッカ山の登頂は傾斜が険しく、岩肌が鋭いので一歩を踏み出すことができない……


『よし、安全靴を履いて行きますよ〜』

「なんだ、安全靴って!?」

『……え? だから、普通の靴だと貫通してしまうでしょ? なので頑丈な靴を履いて登るんですよ。 え、まさか持ってないんですか……?』


うん、持ってるわけなくない? まずいつそれがいるって言った? 何も言われてないのに『持ってないんですか……?』じゃねーよッ! 普通の靴じゃあだめなの!?真っ赤さ、マッカーサーになっちゃうの!?


「じゃあ、ハルエンくん頼んだ」

『無理です、意地でも来てください』

「僕の足が終わります」

『人生は終わりません』

「おいぃぃぃいッッッッ!!ってか僕の分普通あるだろッ!足の裏がおわっちまうぜ?」

『あ、”治癒”したらいいじゃないですか』


「ほぇ?」   




           ◆




「「プスッ」」


「痛っ」


「「プスッ」」


「痛っ」


「「プスッ」」


「痛っ」


「「プスッ」」


「やってられるかよぉぉおおッッッッ!!!」

『どうしたんですか!急に』

「一歩踏み出すごとに1プスリなんだこっちは!」

『治癒してください、その度に』

「無理だろ! 日が暮れるわ!」


どうやらこのガキ、僕のことを挑発しているようだ……


『あ、いいこと思いついた!』

「なんだ……?」

『足、出してください』

「ほい」


「「木化」」


足の裏がみるみるうちに木に変わっていく――


「おおッ!木になったから貫通しなくてすむじゃん!ナイス」

『あざす』




「……ハァ、ハァア、つ、疲れてきた」

『はい、初心者にはかなりきつい道のりですね。初心者が初めて来る場所ではないかもしれません……まぁ初心者は――』

「その”初心者”ってのやめてくれる!? 毎回いらつくから!」



『――というか、さっきからレベル上がるスパンが短くなってませんか?』


言われてみれば、さっきからレベルが上がっているのをかなり実感している……

もしかしたら険しい道を歩けば歩くほど、レベルが上がりやすいのかも知れない。


――テッカ山 頂上部


『うっひょ〜〜!良いコンコウ石がたくさんあるぜぇッ! 早速、採っちゃいましょうか!』

「うん、これは手で取れるの?かなり硬そうだけど」

『はい、丈夫ですが簡単に採れますよ』


「「キンッ」」

「「キンッ」」

「「キンッ」」


『こりゃあ、いい靴が作れますよ!上質なコンコウ石ばかりだ』

「そりゃあ、良かった……じゃあ早く最後の”ボンドロ牛の革”を取りに行こうか」

『そうですね!もうリーチですよ。じゃあ俺はショートカットしてここから飛び降りるんで、早く来てくださいね!』

「……ん?」


「「「ダッッ」」」


ハルエンが頂上部から下をめがけて飛び降りた……もう姿は見えない。


「……いや、無理だろッッッ!!」


            

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