Lv2 バイトは未経験である

「き、きついな……」


 異世界に服や靴も身につけて転生していたのだが、靴がかなりキツく歩きにくいのだ。スキルが ”歩くだけ強くなる” なので歩きにくいのはかなり致命傷なのである……


「でも、靴なんてどこにも無いよなぁ……?」


 僕は辺りを見渡した。少し遠くに市場のようなものが見える……


「あそこなら売ってるかもなぁ……行ってみよ」


 僕は市場に向けて歩き出した。


『『テレテレテレーン』』


「あ、またレベル上がった」


 ここの異世界は天気がよく風も気持ちいい。転生前の生活では考えられないような価値観である。現世でいう”リス”のような生き物や”ヒツジ”などのような生き物、アニメでよく見る”ゴブリン”…… ゴブリンッッッ!? と、とにかく生き物で溢れている。




――シャマラン市場――


色々な種族の生き物で賑わっている。耳が長い人間によく似た生物、鳥人間、肌が青い人間(?)中には普通の人間もいる。転生して来たのだろうか……


「お、靴屋あるじゃん」


僕は靴屋のおじさん(?)にはなしかける。


「すいません、丈夫であるき易い靴ありますか?」

『あぁ、あるぜ!オイラの靴は一級品じゃけぇのう!』

「ください!靴ほしいんで」

『金はもってんのけぇ!?』

「持ってないです!!」

「けぇれ!!」


金で買うというのは完全に盲点だった。どんな世界でも金は必要なのである……転生前だったら親の仕送りで生活できていたので働いたことはない!(ドヤッ)


『いやぁ、待てよォ?ちょうどええ、あんちゃん。 ”バイト”してくけ?』

「バ、バイトですか?」


無論、バイト経験などあるはずがないのだ。


『今、靴を作る材料が不足してっからよぉ、採ってきてもらいてぇんだけっど』


(んぐぅ、これも神様が僕に与えた試練なのか……? でもここで僕が変わらなかったら、転生した意味がないだろ?)


「わかりました!僕が採取してきます!!」

『おぉッ!ものわかりのええあんちゃんだ!採ってきてほしい材料は3つ。

”ガチガチツル” ”ボンドロ牛の革” ”コンコウ石” の3つじゃ!』

「……え、それどこにあるんですか?」

『大丈夫じゃあ!オイラの舎弟を一緒に同行させよう思っちょるけぇ!』

「は、はい」


(えぇ、僕人見知りだからなぁ……知らない人と二人っきりかよぉ。でも我慢するしかないかぁ………)


『おぉッ!!ちょうど良い時に帰ってきたぞぃ!コイツァ、オイラの舎弟のハルエンじゃあ!まだひよっこじゃがある程度はわかっちょるから頼りにしちゃってくれぇ!』


推定15歳くらいの好青年が来た。からんだことのない年齢層だ……


『ハルエンです!よろしくお願いします、一緒に頑張りましょう!』


「あ、ひゃいっ」


緊張して変な声が出てしまった。






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