たらこバター
澪凪
未成年飲酒
初めて2人でデートをした日
「ねぇ、なんでなぎささんって目を合わせてくれないの?」
同学年ながら年下であることを忘れずに私に対して「さん」を付けてくれる彼
「苦手なの。相手に気持ちを見透かされるような気がして。」
こうすけは、私の心の中を読み取ろうと必死だった。
「俺のこと、年下だと思ってる?」
思ってるよ、と返したらそのまま怒って帰りそうな雰囲気を醸し出す君はとても年下とは思えない色気を出していた
「年齢差気になるなら、飲もっか。」
私は法令違反の未成年飲酒を吹っかけた
彼は真面目だから断るだろうと思った
しかし、彼はうなずき、ミスドを5秒もかからないうちに飛び出た
彼の見た目ではお酒は買えないことは分かっていた
お互い未成年だが、私の方が大人びていて、経験値もそれなりにある
「何飲みたい?」
お姉さんぶって聞いたら彼は強がっていた
「ストゼロ」
そんなの飲んだら潰れるくせに、とは言わない
余ったら私が飲めばいいだけの話だ、と割り切り、ほろよいや梅酒などを買って、公園に向かった
「ねぇ、なぎささんはさ、話したいことないの?」
「じゃあ、なぎさ、って呼んでよ」
彼の中での壁を壊そうとした
「分かった。」
こうすけは、私のことをなぎさと呼び、自分の生い立ちや環境の話をした
「ごめんね、なぎさ。俺の話ばかりで」
彼はきっと罪悪感でいっぱいだろう
酔いも回って距離が近すぎる
私の過去の話をしてさっさと終わらせようとした
「なぎさ、帰せない。そんな状態のなぎさほっとけないよ」
何言ってんの?
ふと、鏡に映る自分を見たら、泣きじゃくり、こうすけに抱きついている
今日だけは、とお願いをして一緒に帰宅路についた
「こうすけ、月が綺麗だね」
こうすけは理系のはずで、意味は伝わらないと思っていた
「なぎさ、俺今死んでもいいよ」
思ってもいない言葉が返ってきた
夜道を歩く時間が止まればいいのにと思った
たらこバター 澪凪 @rena-0410
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
三角関数と君/澪凪
★2 エッセイ・ノンフィクション 連載中 16話
腎臓、1個いくら?/澪凪
★30 エッセイ・ノンフィクション 完結済 144話
禍々しい渦は棘に絡み合って/澪凪
★5 エッセイ・ノンフィクション 連載中 11話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます