第11話
「光蘭は………
母さんはな 凄く幸せそうだった
体は 辛かっただろうが
お前が生まれて……
いつも 泣いてぐずる お前をずっと
離さないでな
代わると言っても もう少し もう少しだけ
って……」
父さん………
「あたしね 母さんの記憶ってあんまりないのよね 頭を撫でながら母さんが
『ごめんね』って言ってるの」
「そうだな 他の親なら 娘の嫁入りを見れるけどな お前が2歳になるころかなぁ
その頃には 光蘭は寝込むことが 多くなって
大奥様や光牙様も 戻ってきて欲しかっただろうが 親子三人で暮らさせて それは光蘭の願いだったから 最期まで叶えてあげたかったんだろう」
「光蘭が逝ってしまった後に 光牙様の所にお前を連れていったんだよ おまえを預けようと思って」
「え?」
「光蘭が言っていた
明蘭は次の領主になると思う」
「それって 未来が視えるってこと?
あたし そんなのできないよ?」
「そう 光牙様がそうしたんだ」
「叔父上が?」
「館に連れていったら
お前は それはもう 光牙様始め
伶笙様
光牙様の次の方だ
王様の側人をされている
伶笙様なんて お前を抱っこしたまんま
ずっと誰にも渡さないでな
皆様 怒ってらしたよ」
「あ
だから 石の事が……」
「そうだな
伶笙様から お前を取り上げた光牙様は
膝の上にお前を抱っこしてな
じっと 目を視ていた
すると 目をつぶって何かを唱えた
『光蘭が 何か言っていたか?』
『はい 次の………』
『暫くは視ることは無い
今 出来ないようにした
きっかけが………時がきたら それは外れる』
そう言って また伶笙様に預けてな
今度は 大奥様が 伶笙様から取り上げて
もう
あれは……」
父さんが遠い目をまた………
「着せ替え人形と化したお前をどうしようかと思っていたら 大奥様が 連れ帰って
大きくなるまで
その時がくるまで
父と子で暮らすがいい
光蘭が 求めていた家族を 続けるがいい
そう 言ってくださって
このぼろ屋に連れ帰った」
「そんな事があったなんて………
あたしはまだ先が視えない
その時がまだ来てないんだね」
そう
まだ 先の事だろう
この時はそう簡単に考えていた
父さんと母さんと あたしとで暮らしてきたこの家 まだ 父さんと暮らせる
「この叔父上の送ってくれた 衣装をつけて
王様に石を返すのね」
「そうだが
王様にお会いしてとなると
それなりの 礼儀作法がいるな
今のままでは 絶対に無理だ
衣装をきてくるがいい
……………特訓だ!」
「ひっ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます