第10話

わしは 光牙様の側人だったのだ


そこで 光蘭 お前の母さんに出逢った」






父さん!


身分を越えて母さんと!


なんて 麗しい!


これが ろうまんちっくって ものなのね!






最近異国の言葉がよく入ってくる


ろうまんちっく とは 非常にドキドキする


ときめくらしい




父さんと母さんが そんな……


駆け落ちかしら?




聞きたいわ!




父さんを期待した目で 見つめると……






「お前 なんか期待しとるだろ」






「そりゃ…身分差あっただろうし……ニヤリ」






「おれは………光蘭に拐われた…」




…………………


なんか拐われたって聞こえた


気のせい………








「気のせいじゃないぞ おれは光蘭につれ拐われた」




「父さん 母さんの事好きじゃなかったの?


婚姻の約束をしてなかった?出来なかった?」






「いや 光牙様からのお許しは出ていてな 大奥様のお許しも出て 婚姻の日取りを決めようとしていたのだ」




「なら 何故??」






「光蘭は 体が凄く弱くてな 結婚しても 家庭で


家事や子育てなど出来ない程だったのだ


だから 大奥様は


同居でなければ 婚姻は認められぬと 条件を出されて 光蘭はそれを 拒んで わしを連れ去った………」




「母さんって それなのに 私を産んだの?」






「そうだ 大奥様は子を生むことも 光蘭は出来ぬのではと思っておられた


だが 光蘭は


わしと婚儀のあとには 子を産みたいと


自分の手で育て 家族で小さい家で過ごしたいと




些細な事で 怒ったり笑ったり わしに、 産まれてきた子に 料理を作ったり 色々したかったらしい」






「母さん…………」

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