第9話
「それは…………
本当なの父さん?」
じっと父さんの目を見る
「博打もせぬし お前を嫁になど
まだ出せぬわ!」
「じゃあ あれはなんなの?」
明蘭は 箱を指さす
「あれは お前のその石を渡しに行くときに
着ていく衣装や装飾だ」
「え」
そんなに 高貴な人だったのか……美形様
「そうだ あの方は 名前を紫絖とおっしゃる」
「…………紫絖様」
「そうだ そしてこの国の王でもある」
「おうさま?………王様?」
「そしてお前が持っているその紫の石は
この国の王が皇帝より授かった 王の証なのだ
不思議なことに その石は無くしても 必ず持ち主の王の手に戻るようになっている」
明蘭は 石を取り出し じっと眺める
あの方が この国の王様
この石は王の証………
「父さんは この石の事を知ってたのね
でも それって 普通のあたしたちじゃ 知らないことよね?何故父さん知ってたの?」
さて どこから話したものか………
あれは………
「ちょっと 父さん!」
「あ あぁ すまぬ 自分にとじ込もっておった ハハハハ」
「そうだなぁ
先程荷物を持ってきた者が
お前の事を 明蘭様と言っていただろう?」
「ええ」
「まぁ お前は 今は こんなところに住んでいるがな もっと大きな館に住んでいるのが 本当なのだよ」
「?あまり意味が分からないのですが……」
「あの 荷物 箱を届けてくれたのは お前の叔父上 青の一族の頭領 青 光牙様なのだ」
「青の一族………叔父上 青光牙」
「そうだ」
「父さん 青の一族って?」
明蘭よ そこからか………鄭関は遠くを見つめた
「青の一族とは 未来が視えるという 異能の持ち主の一族だ お前の母がその一族頭領 光牙様の妹なのだよ」
「か、母さんが? 妹?」
「そうだ」
母さん…………
私の頭を撫でながら……
お母様を許して………って
お姫様だったのね
だから お母様って
母さんをじゃなかったんだ
今 納得が……腑におちた
光牙叔父上
母さんは光蘭
光がつくのね
「じゃあ 母さんも先が視えたの?」
「青の一族の異能は 一代で一人だけ
今の代は 光牙様だけなのだ 母さんは
光牙様の次に 視える能力はあったらしいが
光牙様程はなかったな」
なかったな…って
父さん 知ってたの?
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