第8話

「今 帰ったぞ」



「父さん お帰りなさい」



「何もなかったか?

石はもってるか?」


帰ってきて いきなり 石の話って

余程 大事な石なのね……



「大丈夫よ ちゃんと持ってるわよ

これ 誰のなの?」



「知り合いがもう 石の事知ってたよ

今度返しに行くことになった」



「え― 早いねえ

でも それなら早く返してあげたほうが

いいんじゃないの?その 知り合いの人に渡して……」


「いや お前自身で返さないといけないらしのだよ」

ちょっと説明にもなってないぞ

どうすれば……


「そうだよね…助けてもらって まだキチンとお礼も言ってないし 分かったわ それまで 無くさないようにしないと」


よ、良かった………

単純だが 筋は通っているし




「こんにちは~鄭関さん 居ますか~?」



「おう 中まで入れてくれ

早かったな」



「そりゃお館さまが

すぐに持っていけと 張り切ってらして」


「そうか すまなかったな」


「ここに置けばいいのかい?」



「あぁ 助かるよ」



「父さん?」



「鄭閑さん………こちらが…」


「あぁ そうだ 明蘭 あいさつを」


??


父さんの知り合いっぽい

とりあえず ペコリ


「こんにちは 明蘭です」




「明蘭様 お初にお目にかかります」



めいらん……さま?


とう………さん?


「どういう事?

様とかつけられるような 身分じゃないですよ~~~」





そうだな……話すか


「明蘭 話があるのだ」




「鄭閑さん それじゃ 俺帰りますね」


「あぁ ありがとな

お館さまには 感謝致します とお伝えしてくれ」


「はいな~ 明蘭様 失礼致します」



「はい また~」






「明蘭 そこに座りなさい」



なんか 丁寧な言葉

重大な話ぽい


荷物………



うちは お金持ちじゃない



あたしは 美人じゃないけど………


年頃


お嫁に行っても可笑しくない




これは………!



「父さん 長い間育ててくれて ありがとうございました」

手をついて 頭を下げる


「あたしはね まだまだ親孝行するつもりだったんだけど 今でも出来てるか分かんないけど でもこれが一番の親孝行かもしれないね……」


涙がつっと落ちていく


「父さんとずっと一緒にいるもんだと 勝手に思ってたけど 父さんの老後を見て 父さんの最後を看取って……うっ……」





この子は何をいきなり言ってるんだろう?





「父さん お嫁に行っても たまには遊びにくるね

子供とか出来たら 一緒にくるよ…」にこ!





「およめ………?

誰のところにいくつもりなんだ?

いきなり 何の話だ?」




「いいのよ 私分かってるから

父さんが博打でこさえた借金の方に売られていくんでしょ?

嫁入り道具持ってきたってことは

お金持ちの じぃさんかしら?それとも 太った出来損ないの金持ちのぼんぼんかしら?うちから近いのかな?じゃあ すぐに来れる距離かも 汁物作って冷めない距離って………」



「ば、ば、馬鹿者!何を言っているのだ

嫁入りではない!わしは 博打などせぬ!

借金もしとらん!」








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