第6話

「鄭関」


「お久しぶりでございます」


「ほんとに久しぶりだ

いつ以来だ?」


「そうですな……」


「伶笙よ まず兄に挨拶などはないのか?

王の側人になったゆえ 礼儀作法は 出来ていると思うていたが このような者がお側におって 王は大変にお困りであろうの」



「兄上 申し訳ございませんでした

只今帰りました」


兄上のおっしゃる通りで まだまだ修行が足りぬな 王の為にもしっかりせねば


「して 何用でもどったのか?」


星の話や 譲位の話をしなければならないが………

ちらりと鄭関の方を見ていると


「構わぬ 鄭関にも関わりある話じゃ

伝えよ」


兄上が仰るので

「実は 皇帝の譲位が決まったらしいのです」


すると さほど驚いた様子もなく

「そうか」


こちらは

「真でございますか!伶笙様!」

鄭関は 驚いているようだ


普通は鄭関の反応が当たり前と思うが

流石 兄上



「兄上は お分かりになっておられたのですか?」


「そうだな その事は視えておったゆえ

なので 星のありかであろう?」


「その事も分かっておられましたか

紫絖様が 無くされて……」


「伶笙様 星は我が娘が持っております」



「なに?娘………明蘭か?」


「はい」


「王は娘を助けて 星を無くしたのであろう?

その娘というのが 明蘭だよ」


明蘭

懐かしいな

「明蘭は元気か?」


鄭関が答える

「お陰様で 元気が有り余っております様で

母親に似ているところを探すのが 大変でございますよ」


「そうか

元気でやっておるか


光蘭には似ておらぬのか」


「伶笙様 顔形は似ておりませぬが

芯の強い所は そっくりで 手を焼きますよ」


光蘭は我々の妹であり

その昔

鄭関の事が好きになった故

結婚すると 家を出ていった


つまり

鄭関は義理の弟であり

明蘭は 姪である


「そうだな」

我々の話も聞かず

出ていった 妹

結婚を反対するつもりは無かったが

光蘭は 非常に体が弱かった


鄭関はうちに使える家人であった

兄上の側人の仕事をしていて

光蘭にあったのだ


お互いにいつの間にか ひかれあって

結婚の約束をしていたらしい


兄上はその事をご存じでいたから

結婚は承諾されていたが


母上が条件をつけた

光蘭を産んだ訳ではないが

どの子にも同じ様に接してきた

そんな母の条件とは


同居であった


光蘭には結婚して過ごす体力が無かったのである 母は結婚は許すが 同居が条件と出した途端

光蘭が鄭関を連れて出ていったのである


「あの時は大変だったな…………」


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