第5話

先程から ガシャンガシャンと

茶碗を割っているが

最後の ガシャ―ンは一組全て割っていた


「譲位ですか………」

「らしいな」

「らしいな……って そんなに落ち着いて仰られて……どうなさるのですか? 次期皇帝は目指されないのですか?」

「落ち着いてはいないぞ

慌ててないだけだ

皇帝にはなるよ

俺以外に誰がなれる?」



大した自信の様に聞こえるだろうが

実際 他国の王など 問題じゃないし

じじい ばばぁ お子ちゃま 能無し

適任は俺しかいない

譲る気もない


この大陸を統べるのは 俺だ


「でも 手元に星が無いのは ちょっと動き出すのが 遅くなるな……早く戻ってこないかな」


「我が兄に尋てみましょうか?視てもらった方が 早いのではないでしうか?」


私の一族は異能の視る能力があり

探し物や先 未来が見えたりする

一族全ての能力ではなく 1代で1人だけの限られた力

私にはその力は少しだけ

胸騒ぎがする それくらいの予感がするくらいしかない

長兄は 当主であり 一族の長い歴史の中でもその視る能力が高いのだと言う


余談であるが私の兄妹は非常に数が多い

父が 嫁いできた母と作った子供が6人

それ以外に 作った子供が6人

合わせて12人

王族でもないのに よくそこまでつくったもんだと思うが 能力の有る無しを考えるとそれでも良いのかもしれない

兄妹は全て 生まれた時から 同じ屋敷で 母が面倒を見ていた 成人してからは 皆 屋敷に居たり 出ていったりと バラバラだが 皆仲が良い

ただ1人 妹を除いて………


「伶笙?」


「………申し訳ありません 少しぼ―っとしてました」


「珍しいな もっと ぼ―っとしといていいぞ ハッハッハッ」


「紫絖様!

それで 如何なさいますか?兄に視てもらいますか?」


「そうだな 視てもらおうか お前 今から行ってこい 家に帰るのも久しぶりだろう 急がなくて良いから 今日はゆっくりくるがいい」


「かしこまりました では その様にいたします」


「おう!」


そのまま 紫絖様の前から退出をし


「誰か 馬の用意を」

「かしこまりました」


「兄上の事だから 屋敷に居ないなんてないだろう そのままいくか」





「兄上〜〜〜〜いらっしゃいますか〜〜〜?」

がらっ

戸を開けると

兄と男が座っていた


男だった












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