第4話

「無い無い無い無い!何処にも無いぞ!」






ここは曜国王宮


王の部屋




叫んでいるのは


紫絖


曜国王 その人




「何処にあるんだ 何故無いんだ


落とすところなんて無かったはず


…………あの時か!」








お忍びで市民の暮らしを見るために 今日は出掛けた


そこで 馬に轢かれそうになった娘を 助けたのだ




「あの時しかないな」


名前も告げずに帰ってきた




「さて どうしようか


まあ もどっては くるが……」




ことり


「どうされたのですか 紫絖様」




伶笙


王の紫絖の側人である




「何かなくされたのですか?


お探し致します」




「ん― 星を無くしたみたいだ」




ガシャン




「……なんと?」


「星を無くしたと言ったんだが」




ガシャン




「おい さっきから 落として割ってるぞ 茶碗」




「………そんなものは 茶碗なんぞは どうでもよろしい……


皇帝よりさずかった 王の証の星を無くしただぁ?


どうするんですか!」




「そんなに 怒るなよ


あれは 必ず俺のもとに戻ってくるだろ


焦るな な?」




かちゃん かちゃん


割れた茶碗を片付けながら




「そうでした 私としたことが………


申し訳ございません」




「新しく 茶碗をもって参ります」


「おう 頼む」




「あと 早馬で こちらの書状が参っております」




封のされた書状を


紫絖に手渡した






「なんだろうな


この書状の早馬か」




「なにがでございます?


早馬がなにか?」




「いや


俺が星を無くした原因だ


早馬に轢かれそうだった 娘を助けた際に星を落としたらしい」




「おや そんなことがあったのですね


でも 民を助けられたのですから 怒るのはやめましょう」




「で なんなんだろ」




がさがさと書状を開き 読んでいくと






「伶笙 皇帝が譲位だ」






ガシャ―ン

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